パルキッズ通信 特集 | バイリンガル教育, 早期教育, 英語のイメージ回路, 英語学習方法, 言語獲得
2017年12月号特集
Vol.237 | 英語学習のキーワードは1000時間?!
4ヶ月で身につく理由と、10年かけても身につかない理由
written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1712/
船津洋『英語学習のキーワードは1000時間?!』(株式会社 児童英語研究所、2017年)
ひとつの言葉を身につけるのには、どれくらい時間がかかるのでしょう?これは悩ましい疑問です。直感的には「1年やそこらで身につくわけはない」ことは皆さまお分りではないでしょうか。 英語を含め外国語を学習する機会はたくさんあります。例えば、大学時代のいわゆる「二外」。大学では、英語以外の「第二外国語」を必修化しているところ少なからずありますし、渋々、あるいは嬉々として仏・独・中などなどの外国語を履修された方も少なくないでしょう。大学の力の入れ方にもよるのでしょうけれども、仮に週に2コマを2年間続けると、30週/年×2コマ/週×2年×1.5時間で180時間となります。宿題の時間を含めてその倍として、360時間にわたり「二外」に接することになるわけです。しかし、いかがでしょう。360時間の学習で実際に使えるレベルの運用力を身につけることは、現実的には言語の天才でない限り不可能でしょう。 これはもっともなことです。大学に入る以前からせっせと勉強している英語にしても、なかなか当初の期待通りの能力を身につけることが難しいのですから、それよりも遙かに短い時間しか勉強することのない「二外」を身につけることは、どう考えても現実的ではありません。そもそも、最初からそんな短時間で身につくことは誰も期待していないのでしょう。しかし、外国語を勉強するからには、何らかの「淡い期待」を抱いて勉強に取り組むのだと思います。そして、いざふたを開いてみれば、どこかで覚えのある、例のあの感覚がよみがえります。そうです。英語で経験した「いつまで経っても身につくことが想像できない」、あの感覚です。 今回は、ひとつの言語を身につけるのにどれだけの時間が必要なのか、もしくはどのような環境が必要なのかを、それにかかる金銭的コストも含めて考えてみようと思います。 まずは、いきなり卑近な話から始めてみましょう。先に挙げた大学の二外、2年間で8単位取るとして学費としてはいくらかかっているのかを計算すると、以下のようになります。私立大学の文系の学費を4年間で400万円として、卒業に必要な単位が124単位だとすると、単純に割り算して1単位あたりのお値段は32,000円です。仮に8単位履修すると、25万円程払ったことになります。しかし、残念ながらフランス語は身につきませんでした。果たして高いか安いかの判断は皆さまにお任せするとして、引き続き見て参りましょう。
| 英語が「できる」とは
ひと口に「言語を身につける」と言っても、我々における日本語のような母語の獲得もあれば、学校教育での英語やその他の外国語の学習もあります。さて、言語を身につけるということはどういうことなのか、まずはその基準を決めてみましょう。ちなみに、パルキッズの英語獲得メソドでそのゴールと設定しているのは、英語を直感的に理解できるレベルの能力を身につけることです。直感的に理解できるといっても、それこそ“直感的に”理解できないかもしれないので補足しますと、我々日本人が母語である日本語を無意識のうちに使いこなしているのと同様に英語を使いこなせるようになることです。 ヒトの言語の使用には、いくつかのレベルがあります。我々は言語を論理的な思考のツールとして使用することと同時に、直感的に外界のモノやコトと頭の中のモノやコトを繋げる為にも使っています。 例えば、終業時間も過ぎて、仕事もひと段落してホッとしていることろに、同僚から「このあと1杯どう?」と誘われたとします。頭の中ではこの「1杯どう?」に直感的に反応して「ビール」が(もしビール好きであれば)思い浮かびます。そして「ビールを飲みたい」という欲求と呼応して、「いいねぇ」と反応するかもしれません。しかし、家族が夕食を準備して家で待っているのであれば、「でも今日はやめとく。また今度誘って。」と答えるのかもしれません。 このありふれたやりとりの中に、少なくとも2つの段階の言語使用があります。ひとつ目は相手の言葉に反応して「ビールを思い浮かべる」直感的な使用と、もうひとつは「やめておこう」と考える論理的思考での使用です。言い換えれば、前者は具体的なモノやコトを頭の中に思い浮かべる、つまり外の世界と内側の世界を結びつける役割を果たしていて、それに対して後者は抽象的な思考のために言語が使われています。 まだ物事の道理の分からない幼児たちは、直感的に行動します。目の前にケーキを置いて「食べてはいけません」と言っても、それを食べたいと感じれば、食べてしまいます。まだ論理的な思考が未熟なため、そのように直感的な行動を取ってしまうのです。しかし、そんな幼児たちでも、直感的な言語使用はできています。「こっちへ来なさい」と呼べばやって来ますし、「食べなさい」と言えば食べるというように、程度の差こそあれ親の語りかけに反応できます。 つまり、論理的・抽象的な思考をする回路は未熟ですが、幼児たちは周囲で発話される日本語の音声を聞き取り、それが具体的な内容であれば、無意識のうちに頭の中でイメージ化してしまうだけの言語能力を持っているのです。 さて、音声を聞き取って直感的に理解できる回路と、論理的な思考をするための回路、これらを我々と英語力の関係に置き換えてみると、いかがでしょうか。まず、英語の音声を聞き取ってそれを直感的にイメージする回路を私たちは持っていません。また当然のことながら、英語で抽象的な思考をする回路も持っていないことも自明です。
| 「訳す」ことではない
「論理的な言語の使用」と「直感的な言語の使用」との違い、また、そのうちの「論理的な言語の使用」については、我々は常に日本語で行っているので、理解しやすいと思います。しかし、一方の「直感的な言語の使用」に関しては無意識に行ってしまうだけに自覚しにくいものです。 繰り返しますが、頭の中のモノやコトと、外界のモノやコトを結びつける作業に関しても、我々は日常的に行っています。大人ももちろんですが、日本語を身につけ始めている幼児たちも、無意識のうちに、日本語という言語を用いて、常に頭の内側の世界と外側の世界を繋いでいるのです。しかし、それを自覚することはありません。 「どんな果物が好き?」と問われて、好きな果物、例えば「リンゴ」が思い浮かべば、言語の知覚(入力)は成功裏に行われたことになります。「昨日の晩ご飯は?」と問われて、カレーなりお寿司なりの昨晩の食事が思い浮かべば、これは言語の直感的な使用ができていることになります。 これを英語に置き換えてみまょう。”What fruit do you like?” や ”What did you have for dinner last night?” に反応して、リンゴやカレーが思い浮かぶのであれば、英語の知覚(入力)回路は身についていると言えます。そして、英語が分からない人たちに共通しているのは、英文を耳にして、それをイメージすることができない点です。 また付け加えると、これらのイメージ(リンゴやカレー)を産出(出力)するのは別の作業で、別の能力が必要となります。まず、「リンゴ」や「カレー」という名前を知らなければいけませんし、加えて声を出すための肺活量を始めとした、様々な身体的発達やそれらを司る技術が必要となります。これに関しては長くなるのでここでは触れないことにします。 しかし、ここで問題となるのは、英語を直感的に理解できるということを「日本語に訳せる」ことと思い違いされているケースが珍しくないということです。仮に、子どもたちが英語で耳にした文章を頭の中でイメージできていたとしても、その内容を日本語で説明できるかというと、これはまったく別の能力であることに気づかなくてはいけません。 いずれにしても、「英語を直感的に理解できる」ということは、英語を耳にしたとき、日本語に訳すなどの作業を経ずに、反射的に頭の中でイメージが勝手に思い浮かんでしまうことと言えます。それが言語を身につける第一段階です。そして、その能力を持っているか否かを一概に測るのは極めて困難です。 しかし、ここでは強引に英検の級に置き換えるとして、直感的な理解は英検準2級を中学生のうちに楽々合格できる位の英語力、また、ある程度論理的な使用ができるレベルは高校生のうちに余裕をもって英検準1級を合格できる程度の英語力としておきましょう。 さて、ではそのレベルの英語力を身につけるのに、どれくらいの時間とお金がかかるのでしょうか。
| 留学生の場合
親の海外赴任に帯同して海外で生活をすれば、子どもたちが英語を身につけられるのは当然です。一方で、赴任はないけれども海外生活を体験することも可能です。子ども本人が自発的に英語を身につけようとした場合に、その選べる手段のひとつには留学があげられるでしょう。制度としている学校もあるでしょうし、また AFS(http://www.afs.or.jp) や YFU(http://yfu.or.jp) などの公益法人もあります。それらは基本的にはボランティアで運営されていて、1年間の留学にかかる費用は150万円ほどです。 私自身も、この機関を利用して高校2年生の夏から1年間、米国中西部の田舎町に留学しました。到着してから1ヶ月ほどで新学期が始まりましたが、当初から周囲に満ちている英語はほとんど理解できませんでした。しかし、秋が終わり雪が舞い始める頃、到着から4ヶ月程経ってみると、先に触れた「直感的な英語の理解」ができるようになっていたのです。 耳から入ってくる英語が、日本語を耳にしたときのように、次々と、しかも勝手にイメージとして頭の中に結像するようになったわけです。つまり、聞き取れるようになり、さらに理解できるようになったのです。 その後は楽なものでした。それまで、黙りきりだった少年が、突然、会話に反応するようになり、さらには自ら喋るようになりました。当時のホストマザーから「最初は意味が分からなかったが、最近は英語で寝言を言うのでどんな夢を見ているのか分かる」と言われたことを未だに覚えています。部活動やバンド活動などを通じて友人も増え、それはそれは楽しい時間を過ごせるようになったのです。これも偏に英語を理解し、話せるようになったおかげです。当時はわずか1年足らずの留学にもかかわらず、生意気にも「石の上にも3年」などと、自らの体験を回想したものでした。 さて、ここでのポイントは「4ヶ月」という期間です。極めて短い時間で、原始的で幼児的な、直感的にイメージできる「英語の回路」を身につけたことになります。さらに言及しておくと、当時、私は17歳です。世に言われる「外国語獲得の臨界期」などはとうに過ぎた年齢にも関わらず、直感的に理解できる英語の回路を身につけることができたのです。17歳で、しかも4ヶ月間です。これは幼児期を逃して英語を身につけようとしている人たちにとっては喜ばしい事実でしょう。 ただ、付け加えるとすれば、4ヶ月ほどで英語が分かるようにはなったものの、残りの留学の期間があったからこそ「消えない英語力」として残ったのだと今では信じています。4ヶ月で終了であれば今と違った英語力だったかもしれません。しかし、原始的な、直感的な英語の回路は短時間で身につけたことには変わりありません。 では、これを時間に換算してみましょう。4ヶ月間、寝ても覚めても英語漬けの生活です。基本的には、自分の部屋に閉じこもることをしないように心がけていたので、宿題をするときと寝るとき以外はずっと英語が周りにある生活をしていました。最初の4ヶ月間で、少なくとも1000時間ほどは英語を耳にし続けるか、あるいは宿題の英文に取り組むなど、日本語は一切存在しない英語のみの生活に浸されていたことになります。つまり、英語に触れたのが1000時間で、ついでに金員も記しておくと150万円(1年分)です。 ただし、私の場合には留学する前に6年間(小学5年から英語塾に通っていたので)、英語とは関わり続けていたので、単純に留学だけで身につけたとは言い切れません。また、留学の試験に合格するためにそれまで習った英語が役に立ったことは言うまでもありません。しかし、学校の先生には申し訳ないのですが、どうも感覚的に「学校で習った英語の上に今の英語力がある」とは感じられないのです。今の自分の英語力の原点は、留学時代に身につけたと感じています。
| 文字が分かる方が習得が早い
ところで、現在、実弟の家族が米国で生活をしています。今や甥っ子も大学生ですが、その甥っ子が幼稚園の時に家族で移住をしました。ところが、どうも彼は英語をピックアップするのに時間がかかったようです。弟も留学して英語を身につけた類いなので、数ヶ月で英語が分かるようになったあの「感じ」も知っているはずです。しかし、その彼が言うには、年齢が低いと少し余計に英語の習得に時間がかかるようなのです。 これに関しては、あくまでも想像の域を出ませんが、母語の確立が未だ曖昧な幼児期を逃すと、ひょっとすると「文字情報の知覚能力」が外国語の獲得に何らかの影響を持っていることが疑われるのです。もちろん、幼児期であれば、母語同様に音声情報のみで母語以外の言語を身につけることも可能です。しかし、何歳からか具体的には分かりませんが、幼稚園児くらいの年齢になると、文字情報も与えた方が良いらしいのです。 第二言語習得に関する様々な論文を読みあさっていると、中学入学より前に英語学習を始めた方が、英語の聞き取り能力は高いのですが、同じ英語学習でも、音だけで学んだ子は発音が悪く、文字を同時に与えた子は発音が良いらしいという結論にところどころで出合います。 中学以降に外国語を身につけた人たちに共通しているのが「英文に大量に触れること」なので、音声に限定することなく、視覚からの文字情報も入力することが言語獲得に有効に働いていると言えるでしょう。さて、少し横道にそれていますが、次に母語獲得にかかる時間を考えてみましょう。
| 母語は2年
幼児はだいたい2年くらいで母語を身につけます。ただ、2年というのはあくまでもコミュニケーションが始まるという意味での獲得ですので、知覚のみ、つまり「聞き取ってそれが脳内でイメージされるレベル」の言語力においては、もっと早い段階で身につけていると考えられます。ただ、1歳代ですと、あまりにも理解できる語が少ないので、だいたい2歳くらいで日常的に周囲で行われていることが、大まかに理解できるようになると考えて差し支えないでしょう。 幼児が育つ言語環境は、留学生が経験するような環境とはまるで異なります。留学生が体験するのは、家庭内会話、学校での授業や部活、友人との会話、それに加えて大量の読書があります。この点、幼児の場合には家庭内の会話以外は経験することはありません。 特に核家族化が進む今日では、両親と交わす家庭内の会話ですら、留学生がホストファミリーと交わす量より少ないかもしれません。仮に母親との会話のみを中心に考えれば、多くても1日に1時間半から2時間ほどではないでしょうか。 「いや、私は毎日2時間以上赤ちゃんに語りかけている」という方もいらっしゃるでしょうけれども、逆に30分も話しかけない母親もいるわけです。それでも、いずれの家庭に育った子も、2歳の段階では大体同レベルの日本語力ですので、中間を取って1日1時間半の親子間での会話が存在するとしましょう。 すると、1.5時間/日×365日/年×2年でおおよそ1000時間です。整理すれば、留学生が英語を身につける場合には、1000時間・150万円+αのコストがかかり、幼児が母語を身につける場合にも1000時間はかかりますが、金員としては母親や家族の語りかけのみで0円、お金はかかりません。ここで共通する「1000時間言語に触れること」に何かポイントがあるのかもしれません。 ちなみに、学校教育における英語学習に費やす時間は中・高の6年間でざっと600時間、そのほか塾で取り組む時間を加えると6年間で1000時間ほどです。また大学の第二外国語では360時間で320万円。その成果の程に関しては、ここでは触れないことにしておきます。
| 急いては事をし損じる
以上のことを踏まえて、あくまでもまったくの仮説ですが「1000時間、外国語に触れる」ことを軸に、幼児や小学生の英語習得を見て参りましょう。 例えば、週に1回1時間、英会話教室に通ったとします。1年間で50時間です。これを20年続ければようやく1000時間になります。週2回通ったとして10年かかります。1000時間の英語とのふれあいを達成するには、どうやら、週に1度や2度の教室通いだけでは難しそうです。 英語との触れ方には様々な形があります。この点、幼児の学習よりは大人の学習の方に軍配が上がりそうです。なぜなら大人の場合には、相手や時や場所を選ばず、「読書」という方法で大量の英語に触れ続けることができるからです。幼児の学習や、まだ文字が読めない段階での学習は、指導者が必要で、場所や時間にかなりの制限が生じます。もちろん、逆に幼児期の場合には大人には叶わない「音からの学習」が可能ですので、そのメリットを活かして、家庭内に英語の環境を作り出せば、英語と触れあう時間はかなり増やすことが可能です。 さて、以上を具体的にパルキッズの学習と照らし合わせてみましょう。パルキッズでは、1日90分間、英語と触れあうことを目安にお勧めしています。つまり、仮に週休2日として月に25日ほどパルキッズをかけ流したとすると、オンラインレッスンの時間も含めて、半年間で250時間ほど英語に触れることになります。1年続けると500時間です。500時間では、目標の1000時間にまだ半分しか届いていません。 忙しい日常の中に時間を見つけて、お子様にパルキッズに取り組ませていらっしゃる親御さんの熱意には、まったく頭が下がる思いです。それだけに、日々取り組むうちに1年も経てば「かけ流しとレッスンに1年間 “も” 取り組んだ」と感じてしまわれるかもしれません。しかし、冷静に考えてみれば「まだ1年間 “しか”」取り組んでいないのです。 大学の二外よりは取り組んでいますが、まだ留学生ほどは取り組んでいない。「石の上にも3年」ではありませんが、やはり数年かけてじっくり取り組むことを心がけないといけないのでしょう。 また、習慣化することが苦手なご家庭では、週末にオンラインレッスン部分のみに取り組むといった状況も見受けられますが、オンラインレッスンだけでは、総じて英語と接する量が満足できないことになります。こちらも、習慣づけが大切ということになります。 また、これとは別に、集中的に1日中英語漬けにするようなケースもごく希にみられますが、すでに述べたように、幼児期の学習は文字の認識ができる子の学習よりは時間がかかるので、単純に倍の量を詰め込んだとしても、半分の期間で目標が達成できるとは限りません。逆に親御さんが一生懸命に熱を入れれば入れるほど、無意識のうちにお子さんにプレッシャーがかかってしまい、幼児期特有ののんびりとした、無意識の学習が難しくなることもあります。「急いては事をし損じる」とでも思っておいた方が良いでしょう。 淡々と2年間かけ流しを続け、オンラインレッスンを継続すれば、ようやく留学生が経験する英語の入力量に達し、同時に幼児たちが母語を身につける過程で耳にするだけの英語情報を耳にしたことになります。その結果、英語を耳にして直感的に頭の中にイメージが浮かぶ、そんな英語の原始的、直感的な回路を身につけることができます。気の遠くなるような話かもしれませんが、数字をみれば、以上のようになるのです。 さて、色々と見て参りましたが、言語習得するためには、まず正しい方法を選択することが必要です。幼児期なら音を中心とした母語習得に似た方法が適しているでしょうし、小学生以降になれば、文字の学習も織り交ぜて取り組むのが効果的です。また、中学生以降では、読書などを通して、英語に接することが必要となるでしょう。 そして、英語と接する時間の目標を定めることも大切です。幼児期ならば、かけ流しで1000時間を目指せば良いわけですし、小学生ならば、それに文字を加えてコンスタントなレッスンに取り組むことを目標とする。さらに中学生以降ならば、多読に取り組むなどなどで、1000時間を達成するように目標を設定すると良いでしょう。英語との接し方について、年齢に合った正しい方法を選んでいるのであれば、幼児期の母語獲得や、留学生の外国語獲得のように、効率よく、英語を身につけることができるはずです。 遠回りのようですが、それが最も近い道のりです。「石の上にも3年」いなくては身につかない上に、「急いては事をし損じる」のです。 1年があっという間に経過することを、感じない大人はいないでしょう。きちんと取り組むにせよ、そうでないにせよ、同じようにお子様の1年間は過ぎ去って行きます。そして、それを2度繰り返した時には、目標の1000時間は自然理に達成されているのです。 直感的に英語をイメージできる回路が身につけば、そこから先は、読解力を通して英語力を磨き、さらにロジカルシンキングのトレーニングで、論理的な言語の運用力を磨く。こういった親の我が子の教育に対する一念はお子様たちの未来に計り知れない福音をもたらすことでしょう。
船津 洋(Funatsu Hiroshi)
株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。