一般的に漢字は「書いて覚えるもの」と思っていませんか? 正しい筆順で誰もが読めるような字を書けるようになることはとても重要です。しかし、考えてみてください。それはアウトプットです。
私たちが英語教育や国語教育において一貫して持っている信念が、「インプット主義」です。口にしたり書いたりする能力も重要ですが、その前に聞いたり読んだりして正しく知覚された情報を正確に理解することの方が先に行われるべきなのです。

読めない漢字をドリルの繰り返し練習で覚えるではなく、まず漢字を読めるようにすることが重要なのです。

漢字はもちろん単独で意味を成します。「海、山、川、水、空」、、、などなどのやまと言葉は漢字一文字で表されることが多いのですが、現代日本語の語彙の中で最も重要な位置を占めるのは漢字を組み合わせた熟語です。
その熟語を作り出すのに最も頻繁に使用される漢字が小学校で習う漢字なのです。「一喜一憂」「四苦八苦」「十中八九」「右往左往」「上意下達」などなど、数字や上下左右、内外などの空間に関わる漢字など基本中の基本の語は小学校で学びます。

漢字には一般に音読みと訓読みがあります。漢字を覚える際には当然のことながら、これら両方を覚えなくてはいけません。

また音読みに呉音、漢音、唐音があります。例えば「日」は「ヒ」と読みますが同時に「ニチ・ジツ」とも読みます。これらの読みは書きながら覚えるのではなく、インプット方式で学習していく方がよほど楽です。

国語力は語彙と理解力で決定されます。理解力は絵本や物語の読み聞かせなどから育てていくことができます。同時に物の名前を覚えることが語彙を豊かにすることを意味します。そして、その語彙の元になる概念は漢字や漢字の組み合わせで表されるのです。

つまり、語彙を豊かにするためには漢字の知識が不可欠なのです。漢字は書いて覚えることも大切ですが、その前に読めるようになることが先決。繰り返しの大量インプット方式なら小学生で習う程度の漢字はあっという間に覚えてしまうのです。

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