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2013年10月号パルキッズ塾

Vol.06 | なんで英語をしゃべってくれないの?

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1310/
小豆澤宏次『なんで英語をしゃべってくれないの?』(株式会社 児童英語研究所、2013年)


 掲示板やお電話で寄せられるお母様からの取り組みのご相談で多いのが「○○してくれない」という内容です。お母様の期待に反して「英語に興味を示してくれない」「絵本を暗唱してくれない」「DVDを見てくれない」というものです。その中でも特に多いのが「英語を話してくれない」というご相談です。1年間淡々とかけ流しをしてきたのに、お子さまの口からひと言も英語が出てこなければ、お母様がご不安になるのもわかります。あまりにもその状態が辛くて「うちの子は『パルキッズ』と相性が悪いんだわ」それがエスカレートすると「うちの子は『英語』と相性が悪いんだわ!」と英語教育自体をあきらめてしまうお母様がいらっしゃることは、指導員としてとても悲しいものです。
 こういった結論に至る原因は、そもそもお母様の頭の中で「英語が身につく=しゃべること」という図式ができているからなのでしょう。果たしてこの図式は本当に成立するのでしょうか?単純にしゃべってほしいのであれば、英会話スクールにでも行けば簡単な挨拶や先生の指示に対する返答、また、色、形などの基礎概念はすぐに口から英語で出てくるようになります。しかし、これがお母様の求める英語力と言えるのでしょうか?
 まずはお母様がお子さまに求める英語力とは何なのかをはっきりさせましょう。
 『パルキッズ』であれば、「小学生で英検準2級レベルに達すること」です。もちろん中学校で習うような英文法を先取りしたり、英検準2級の単語帳とにらめっこをしながら合格するのではありません。ネイティブの子どもたちが読むような児童書で読書ができる英語力をもって合格することがゴールです。実際私がこれまで見てきた子どもたちの多くが、小学生の間に英検準2級に合格しています。そして、特筆すべきは会話のテストである英検の二次試験でも、事前に試験の流れを数回シミュレートするだけで、高得点で合格するということです。簡単な挨拶やクラス内でのやりとりといった会話を教えてもらっていない子どもたちが、知っている単語を使いながら質問に答える様子を見ていると、これこそがお母様が求める英語力なのだろうと感じます。日本語ですら二語文を話し出すまでに2年はかかります。目先のお子さまの様子にお母様が左右されないよう、なぜ幼児期の今、わが子の口から英語が出なくてもよいのかという理由を一緒に見ていきましょう。


| かけ流しをしている内容が口から出てこない

 Q パルキッズを始めて半年ほどたちました。毎日欠かさず1日90分のかけ流しをしています。しかしこれだけかけ流しをしているにもかかわらず、息子の口からひと言もパルキッズの内容が出てきません。せめてフラッシュワードなどを覚えてから次へ進む方がよいのでしょうか。(パルキッズプリスクーラー/4歳)

 取り組みはしっかりできているようですね。であればお子さまの頭の中には確実に英語のリズム回路ができつつあると言えるでしょう。単なる音の連続だったものから、単語単位で英語が聞き取れるようになってきているのです。目には見えませんが、お子さまの英語を聞き取る力は、確実に身についてきていますのでご安心ください。
 さて、お母様のお悩みは「インプット(かけ流し)」がそのまま「アウトプット(しゃべる)」ことにつながっていないのではないか、ということですね。『パルキッズ』による言語獲得は取り組み自体は簡単なのですが、お母様の期待通りに「インプット=アウトプット」という図式が簡単には成り立ちません。なぜなら母国語を含め、言語獲得自体が、そもそも「インプット=アウトプット」という図式が成り立たないからです。
 幼児は身の回りにあふれている言語情報をえり好みすることなく吸収していきます。我々が単語をひとつずつ覚えたのとは全く異なり、周囲の言語情報を片っ端から吸収していきます。ただその情報はすぐには整理されないため、容易にその情報にアクセスすることはできません。かけ流しを継続したり、絵本を暗唱することによって、それらの情報に繰り返しアクセスすることで、その情報への道筋ができあがり、ようやくアウトプットが可能となる下地ができあがるのです。さらに物心が付き、自分の興味・関心が向くものが出てくると、それらへのアクセスがさらに頻繁になっていきます。我々が中学校のカリキュラムで習ったとおりに単語が口から出てくるわけではありません。恐竜が好きな子であれば英検準1級レベルの「herbivore(草食動物)」や「carnivore(肉食動物)」は口から出てくるのに、我々からすると簡単だと思える果物の名前は出てこない、ということはよくあることです。
 また、アウトプットの準備はできていても、周囲の環境やお子さまの性格、母国語が完成期を迎えるといった、英語力とは全く関係のない原因から英語が口から出ないことがあります。
 今は目先のアウトプットに気を取られず、アウトプットをするための下準備をしっかりと行っていきましょう。


| スクールに通えば英語が出てくる?

 Q うちの娘の友だちで英会話スクールに通っている子がいます。その子は私の前で「Hello.」とか「See you.」など、簡単なものばかりですが英語をしゃべってくれます。しかしうちの娘は2年以上『パルキッズ』をかけ流しているのに絵本の暗唱以外の英語を全く口にしません。やはり英会話スクールなどに通わせた方がよいのでしょうか。(パルキッズキンダー/4歳)

 2年以上『パルキッズ』をかけ流しているのに暗唱以外は口から英語が全く出てこないわが子。一方、英会話スクールに通うお友だちは無邪気に英語を口にする。お母様としては心配になるのもうなずけます。しかし、ここで考えなければいけないのは、どちらの子も同じ英語教育を受けているように見えて、実は全く異なった教育をしているという点です。
 英会話スクールなどで学ぶ、挨拶や自分の名前、年齢、自己紹介的な内容といった基本的な会話のやりとり、曜日や数、色、形、大小、空間認識などの基礎概念は教えることができ、さらに簡単に覚え発することができます。ただそれがそのまま「使える英語」と言えるかどうかは別問題です。大人でも英会話スクールに通って、買い物やレストラン、税関でのやりとりなど、特定のシチュエーションでの会話は少しばかりの時間を割くだけで、英語が苦手だと感じている方も含め、どんな方でもすぐにできるようになります。だからといって英語を身につけた、もしくは自分の英語力が「使える英語力」になったと感じられている方は少ないのではないでしょうか。
 残念ながら、基本的に言語は教えられて身につくものではありません。もちろん英語との相性が抜群で、さらに血のにじむような努力をした結果、英語を身につけた稀な方もいらっしゃいます。しかし、日本人が日本語を身につけたように、通常、言語とは自分が身につけたことすら気づかない無自覚の状態で獲得していくのが自然なのです。そしてそれは、お子さまの周りにごくありふれている母と子の日常会話、家族間での会話、絵本の読み聞かせによって達成されるのです。さらに読書ができるようになったら、本を読むことで言語力をさらに磨いていくのです。
 教えてもらえば簡単にできるような英語が口から出る出ないでショックを受ける必要はありません。本来あるべき英語力とは目には見えないところにどれだけ蓄積されているかが重要で、それが年齢を経るにしたがって、さらには読める様になるにしたがって、目に見える成果として現れてきます。インプット量が圧倒的なパルキッズ生とシチュエーション学習しかしてこなかった子の差は、後になればなるほど大きくなっていきます。
 また、今お子さまの口からは暗唱は出ているわけですよね。でも、お母様の前では無邪気に英語を口にしない。とても賢いお子さまのようですね。賢い子は周りをよく見ています。暗唱はしなければいけないとわかっているので口から出すけれど、日本語で通じるお母様にわざわざ英語で話す必要がないことがわかっているのです。つまり英語を話さなければいけない状況とそうでない状況をきちんと判断しているということなのです。誰でも彼でも英語で話すというのは一見英語ができる様ですが、実はとても不自然な行動と言えます。話は逸れますが英語を好きにさせたり、興味を持たせたり、楽しませたりというのも、英語を日本語に置き換えてみるとよくわかるように、とても不自然なことだと言えます。
 今、お子さまは順調にかけ流しでインプットされた情報を絵本の暗唱によって読解力へと結びつけ、さらにそこから表現力を蓄積している段階です。とても順調と言えます。もしどうしても会話の場を作りたい、ということであれば、お子さまが小学校に上がり、簡単な英書を読めるぐらいになった時に、英会話スクール通わせるためにとっておいたお金でハワイのサマースクールなどに行かせてあげるとよいでしょう。そこでは英語を話さなくてはいけないシチュエーションです。外国人や周りの環境に慣れるまでに多少の時間はかかるかもしれませんが、こういった場でネイティブと自由にコミュニケーションをするわが子を目にできるでしょう。


| 突然、英語が出なくなった?

 Q 今年から幼稚園に通い始めた次女なのですが、環境の変化からか、それまでブツブツと『パルキッズ』の歌や「としおの1日」のフレーズを口に出していたのが、急になくなりました。絵本の暗唱も嫌がる様になってしまい、このまま英語が消えてしまうのではないかと心配です。(パルキッズプリスクーラー/4歳)

 これまで口にしていた英語が急に出なくなってしまった。取り組みが中断されていないことを前提に、3つ理由が考えられます。
 まずひとつ目が「日本語の完成期を迎えている」という理由。2歳を過ぎて二語文を話し出し、そこから3歳あたりまでを日本語の完成期と我々は呼んでいます。この頃の子どもは、何でもかんでも日本語を聞きたがったり、話すのも日本語ばかりになる時期です。お母様が暗唱用の英語絵本の読み聞かせをしても、かけ流しで日本語以外の音を聞いても嫌がったりすることがあります。それまで無邪気に英語を口にしていた子も、この時期になると英語がパッタリと口から出なくなることはよくあります。これは一時的なものですから3歳を過ぎてしばらくすると、日本語一辺倒だったお子さまの様子も次第に元にもどっていきます。しかしお子さまの年齢と、入園してからそういった状況になったことを考えると、これが理由ではないようです。
 2つ目の理由は、「下の子に対するライバル心」です。これはお子さまが長子で、下の子と同じ取り組みを行っている場合によく起こります。性格の傾向として上の子は慎重で、無邪気に何でも口にしません。一方下の子は上の子のマネをしたり、無邪気に英語を口にします。上の子は下の子には負けたくないという気持ちから、常に自分にプレッシャーをかけています。暗唱などのアウトプットの取り組みで同じものを与えると、下の子はプレッシャーがない分、上の子よりも楽にできるようになってしまいます。こうなると、上の子は負けたくないので下の子と同じ土俵に上がらないようにします。土俵に上がらなければ負けることはありませんからね。こうなると上の子は貝のごとく口を閉ざしてしまいます。しかし、お子さまが長子でないことから、この理由も当てはまらないようですね。
 最後の理由として、「幼稚園でお友だちに何かを言われた」ということが考えられます。ついついお友だちの前で英語がポロッと出てしまい、それをからかわれたのかもしれません。入園するまでは常に母親と一緒なので、この様なことは起こりませんが、一度幼稚園に入ってしまえば、子どもは母親の助けを借りることができないので、必死に自分の身を守ろうとします。周囲に同化して多数派に属そうとします。みんなが英語を話していないことに気づくと、自分も話さないようにするのは当然の行動です。ただお母様としては、それまで無邪気に英語を口にしていた子が急に口を閉ざしてしまうと、「うちの子の英語力は消えてしまったのかしら?」と心配になってしまいます。しかしこれは英語力とは関係のない、子どもなりの処世術なのです。おそらくお子さまの英語が突然出なくなった原因はここにあると推測することができます。本人の中で日本語と英語のバランスがとれるまで一時的に英語を口にすることがなくなるかもしれません。しかし、先ほどお伝えしたように、この英語が出なくなっているという状態は、実際の英語力とは関係ありませんので、必要以上にナーバスにならず、これまで通りかけ流しや読み聞かせを継続していきましょう。

 我々に馴染みのない自然な形での言語習得法を実践していると、つい口から出る出ないといった目先のことに気を取られてしまいます。そういった時こそ最終的なゴールを改めて自分で確認し、些細なことに振り回されず取り組みを継続していきましょう。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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