2017年4月号パルキッズ塾
Vol.48 | わが子の英語教育お悩みナンバー1は?
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1704/
小豆澤宏次『わが子の英語教育お悩みナンバー1は?』(株式会社 児童英語研究所、2017年)
4月から新年度が始まります。入園、入学など多くの子どもたちにとって生活環境が変わる時期でもあります。それと同時に、「そろそろうちの子も英語を始めないと…」とお考えの親御さんも多いでしょう。実際、新年度が始まる前後は『パルキッズ』に関するお問い合わせも1年で最も多くなります。
さて、これまで『パルキッズ』に関するお悩み解決を主眼に置いて、様々な取り組みのヒントやアイデアをお伝えしてきましたが、今回は少々その枠を広げて、英語教育に関する一般的なお悩みをピックアップして、そのお悩みを『パルキッズ』で解決できるのかということについて考えてみます。
もしこれからお子さまの英語教育をスタートしたいとお考えであれば、これから紹介するお悩みをお持ちかもしれません。また、現在『パルキッズ』にお取り組み中の方にとってもお悩み解決の糸口になるかもしれません。
| 英語に興味を持って学んでほしい
「わが子には英語に対して興味を持って学んでほしい」そうお考えの親御さんは少なくありません。特に親御さんが学生の頃、英語が苦手で苦労した覚えがあるといった場合、このお悩みは多いように思えます。苦手意識から興味を持つに至らなかったというわけでしょうが。
なぜ、興味を持ってほしいのか、それは英語に興味を持つことで、好きになってくれるのではないかという考えがあるからでしょう。そもそも親が子どもに英語に興味を持たせることはできるのか、それについて考えてみましょう。
皆さんは子どもの興味をコントロールすることはできると思いますか?私は正直難しいと考えています。子どもは親とは違う1人の人間です。何をきっかけに、何に対して興味を持つかということは誰にもわかりません。
先日ある親御さんと話をしていたときに、なるほどと思ったことがあります。その親御さんのお子さん(男の子)は電車に夢中で、車両の種類や路線名など、電車に関することにとても詳しいのです。親御さんが言うには「自分たちは電車にまったく興味がないのに、どうしてこの子がこんなに電車に夢中になったのかわかりません」とのことでした。物心つく前から他の子よりも電車に関する情報を与えていたわけではなく、外出時に時折乗る程度だったそうです。
なぜ、この子は電車に興味を持ったのか、もちろん電車に触れる環境があったのは当然ですが、それは誰かが意図して興味を持たせたのではなく、偶然そうなったとしか言えないのではないでしょうか。
これは英語だけでなくあらゆることに言えます。ピアノ、テニス、水泳、サッカーなど、環境を与えることはできます。しかし興味を持つか持たないかまではコントロールすることはできません。つまり「興味をもってほしい」という親の願いは宝くじを買うようなものなのかもしれません。
| 英語教育は興味を持たないほうがうまくいく
英語に興味を持たせることは難しいことがわかったところで、そもそも興味をもたなければ英語力が身につかないのか、というところに話を移していきましょう。『パルキッズ』は「無意識の学習」「ながら学習」という形の取り組み方です。子どもたちは日々流れる『パルキッズ』に対して、興味を持つどころか流れていることすら意識していません。これは我々日本人が、幼児期に身の回りに溢れる日本語に対して、特に意識することなく触れることによって日本語を身につけることから、このように指導させていただいています。
また、私たちは日本語を身につける際、日本語に対して特に興味を持たず、好きという感情もなかったはずです。そのため、英語においても、特に興味を持ったり、好きになったりしなくても身につけることができるとお伝えしています。
さらに言うと、英語教育に関しては興味を持たせようとすることで、うまくいかなくなる場合があります。興味を持たせようとするということは、英語の音を意識させるということです。そして、意識させるということは、好きになることもあるでしょうが、嫌いになる可能性もあるからです。そもそも興味を持たなくても、意識させなくても身につけられる英語を、意識させることで余計なリスクを背負ってしまうことになります。先にお話ししたように、子どもの興味をコントロールすることはできませんから、そのリスクを回避することは非常に難しいでしょう。
「英語に興味を持って学んでほしい」というご質問に対する答えとしては、まず興味を持たせることは難しく、そもそも興味を持たない方がうまくいく可能性が高いので、「興味を持たせる」ということを考えない方がよい、というものになるでしょう。
| ある程度理解できるようになってから始めた方が良い?
次は英語教育をスタートするタイミングについてのお悩みです。今では幼児期に英語教育をスタートすることは当たり前の時代になりました。早く始めた方がよいというのはどの親御さんもご存じなのですが、「でも…」と二の足を踏んでしまう、それはなぜなのかを考えてみましょう。
私が思うに、そういった親御さんは頭のどこかに「英語は勉強することで身につく」というお考えがあるのかもしれません。そういった方は、例えば0歳の子どもが「勉強」(おそらく鉛筆を持って机に向かって学んでいる)をしている様子をイメージできず、英語教育のスタートになかなか踏み切れないようです。つまり、本来の「英語を獲得する」という流れと、私たち親世代が中学校から行ってきた「英語を勉強する」流れを混同してしまうことによってこのようなことが起こるのです。
そして、幼稚園に通うようになって、ある程度、園での取り組みができるようになった頃にようやく、わが子が英語を勉強しているイメージができるようになるのでしょう。それぐらいから英語教育をスタートする親御さんが多いように思います。
| 英語は勉強して身につくものではなく、獲得するもの
『パルキッズ』では、英語は勉強して身につくものではなく、獲得するものだと考えています。当たり前のことですが、我々日本人は日本語を勉強して身につけたわけではなく、環境に身を置くことで身につけました。そもそも言語を身につけることにおいて、環境から身につけるというのが最も自然な方法です。
かといって、英語圏の子どもたちが英語を勉強していない、ということではありません。英語を獲得した後に、我々で言う国語として英語を勉強します。つまり、我々親世代がやってきたように、いきなり勉強というステージから英語教育をスタートするのではなく、まず獲得があって勉強という流れが本来の英語教育のあるべき姿だと認めることができれば、英語の早期教育を抵抗なくスタートできるでしょう。
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小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。