2017年7月号パルキッズ塾
Vol.51 | 間違っていませんか?パルキッズの取り組み方
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1707/
小豆澤宏次『間違っていませんか?パルキッズの取り組み方』(株式会社 児童英語研究所、2017年)
以前、幼児・児童期の英語学習は私たち大人が思っているような「勉強」ではなく、環境を与えることで自然と身につけることができる「獲得」であるということはお話ししました。
そのため、子どもたちが意識的に「学習しよう!」と思って学習する必要はありませんが、代わりに親が環境を与える働きかけを、毎日コンスタントにおこなう必要があります。
お電話や掲示板で「英語は週1回1時間アメリカに行っても身につきません」とよくお伝えします。どれだけ良い環境でも、コンスタントに与えなくては、思うような英語力を身につけることはできません。
パルキッズでは1日90分のかけ流しが最も重要な取り組みになりますが、同時にインプットした内容を定着させるオンラインレッスンも非常に重要な取り組みです。
せっかくパルキッズをスタートしたのに、何かしらの原因でこの2つの取り組みが中断してしまうと、当然ですが英語力は身につきません。逆を言えば、お子さまによって伸びに差はあるものの、正しく取り組みを継続さえすれば、誰でも身につけることができるのです。
そのため、パルキッズでは継続を促すために、取り組みが中断している方にお知らせが届くような仕組みになっています。
さて、先に挙げた2つの取り組みで、特にオンラインレッスンが原因で中断してしまう方がいらっしゃいます。その原因としては、「取り組み方を誤解している」というものが最も多いようです。
今回は、皆さんが誤解している例をいくつか取り上げて、解説をしていきたいと思っています。これをご覧になって、「あら、そうだったの!」と誤解に気づいていただき、取り組みの軌道修正をしていただければ幸いです。
| 取り組みは子どもがやるもの?
最も多い誤解として、「オンラインレッスンはお子さまがやるもの」と思っていらっしゃることです。幼児教室に通ったご経験のある方であればおわかりかもしれませんが、幼児期の取り組みは基本的に親がやってみせるのが大原則です。
「取り組み=勉強」と思ってしまうと、どうしてもお子さまに自分で取り組んでほしいと思ってしまいます。子どもが答えるまで待ったり、ダラダラと取り組む様子を見て叱ってしまったり、大人と同じことを子どもに求めてしまうのです。
先にもお伝えしたように、幼児期の取り組みは勉強ではありません。親の手で英語環境に触れさせるのが目的です。そのため、基本的には親がやっているのを見せてあげるだけで構いません。もちろん親が答えを教えてあげて、正答に導きクリックさせてあげるのも良いでしょう。短時間でパッと取り組み、サッと切り上げることがポイントです。
すると日によっては、または年齢を経ると「ママ、わかるからやらないで!」と自分でやるようになります。そしてその時に思いっきり驚いてあげてください。
幼児期の教育は「待ちの教育」です。親からすると歯がゆい思いをする時もあるでしょうが、そもそもオンラインレッスンは親がやるもの、と考えることでそのイライラも緩和されるはずです。
| 完璧な取り組みなんて幼児にはできない
親には「こうやって取り組んでほしい」という取り組み方の理想像があります。子どもが楽しく積極的に取り組んでいる姿を想像されているかもしれません。
また、せっかくパルキッズを買ったのだから、1レッスンでも無駄にしたくない、という思いでお子さまに取り組ませている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、往々にしてこうした親の期待を子どもは裏切ります。裏切るというと語弊があるかもしれませんが、こういう理想型というのは親側の思いであって、子どもたちは親の期待通りには取り組むことができないのです。
幼児期の子どもは、気分屋です。日によって、時間帯によって気分がコロコロと変わります。楽しそうに取り組む時もあれば、イヤイヤと駄々をこねることもあります。これは英語学習が嫌になっているわけではなく、ただ単に他のことがしたかったり、お腹が空いていたり、眠かったりと、どちらかというと本能的な欲求によるところが大きいのです。
親からすると、子どもが嫌がるのには何か深い理由があるのだろう、この教材はうちの子には合わないのだろう、と大人ならではの解釈をします。実はそんな深い理由はないのですが。
こうしてみると、そもそも親の理想通り、すべてのレッスンをこなすことはできないことがわかります。普段は親がやってみせる。その日その時によって、画面を見てくれることもあれば、よそ見をしていることもあるでしょう。しかし、それが幼児期の取り組みとしては当たり前の姿です。
「あらあら、今日は気分が乗らないのね」ぐらいの感じで、サッとレッスンを終えましょう。年齢的に深く考えながら学習ができない幼児にとって、よそ見をしていても、画面を見ていても、その後の成果には大差はありません。
重要なのは、取り組みの環境を与えるということです。どんな形でも取り組みさえすれば100点です。一方取り組まなければ0点です。親が幻である取り組みの理想型を追い求めるのは止めましょう。
| 中断の原因となる2つの兆候「夜9時以降の取り組み」にご注意
これまでは取り組む前の親の姿勢について話を進めてきました。ここからはもう少しテクニカルなところに話を進めています。
パルキッズではオンラインレッスンの取り組みで、ある傾向が見られる方には「取り組み方が間違っていませんか?」といったお知らせをお送りしています。なぜならこの傾向が見られる方は、オンラインレッスンを中断してしまう確率が高くなるからです。
その「ある傾向」とは2つあります。ひとつが夜9時以降に取り組む傾向、そしてもうひとつが、1日に同一教材のレッスンを3レッスン以上取り組む傾向です。
ひとつづつ解説をしていきます。
まず、夜9時以降に取り組むということについてです。夜9時となると、おそらく夕食も終え、さらにお風呂にも入った後であることが想像できます。中高生であればその時間帯に勉強するのも当たり前ですが、幼児期であれば就寝の時間です。
想像してください。大人でも夜9時以降、夕食を食べ、お風呂に入った後に仕事をするのはどうでしょう。なかなか「よし!やるぞ!」とはいきませんよね。本を読んだり、テレビを観てリラックスしたいところです。大人でもそうなら、幼児ならなおさらです。リラックスしたい(本来であれば寝る時間)時間帯に、オンラインレッスンをするとなると、気分も乗らず愚図ってしまうのも当たり前です。
愚図るわが子に無理矢理レッスンをさせるのも親としては辛いものです。親子でこのような状態ですから、遅かれ早かれ取り組みが中断してしまうのもわかります。
できれば取り組みは朝の時間帯、それがむずかしければ夕食前に済ませてしまいましょう。
| 中断の原因となる2つの兆候「まとめ取り組み」にご注意
2つ目の「1日に同一教材のレッスンを3レッスン以上取り組む傾向」について話を進めましょう。オンラインレッスンが中断したことによって、期限内にレッスンを終わらせるために、1日数レッスンまとめて取り組むことに関しては問題ありません。ご自身の意志でそうされているわけですから。しかし、恣意的に、特別な理由がないのに1日数レッスンまとめて取り組んでいる場合は注意が必要です。なぜ、まとめて取り組んではいけないのか。それは、お子さまがレッスンに飽きてしまうからです。 長く取り組みを続けるのに良い方法としてよくご紹介するのが、お子さま「もう少しやりたいな」と思うぐらいのところで止めるということです。 お腹が一杯になる手前で、毎回レッスンを終えることで、飽きずにスムーズに取り組みを継続できます。 まとめてレッスンをやっている時には、見ている親からすると達成感を感じるかもしれませんが、幼児の場合、達成感を感じることはなく、ただレッスンのやり過ぎでお腹が一杯になっている状態です。 これではいつ中断してもおかしくはありません。特に理由がない場合は、1日1レッスンずつコツコツと取り組みを進めていきましょう。
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小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。