パルキッズ塾 パルキッズ通信 | オンラインレッスン, オンライン学習
2020年5月号パルキッズ塾
Vol.85 | 家庭でオンライン学習を導入するには
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2005/
小豆澤宏次『家庭でオンライン学習を導入するには』(株式会社 児童英語研究所、2020年)
新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての人々の生活環境が劇的に変化しようとしています。お仕事をされている方は、業務のテレワーク化が急激に進み、子どもたちはオンラインで学習する方向への舵取りが急務になっています。『パルキッズ』はご存知のとおり、家庭で行っていただけるオンライン英語学習です。そのため、これまで英会話教室に通っていたお子様を持つ親御さんからのお問い合わせが急増しています。
これまでは「オンライン学習」というものが、数ある学習法のうちのひとつとして捉えられていたのが、今後は当たり前の方法として広く行われていくちょうど過渡期が今なのかもしれません。それを証拠に、我々のような以前からオンライン学習を提供していたところはもちろん、英会話教室、塾、学校までもがオンラインでコンテンツを配信するサービスの構築を急いでいます。
おそらくこの流れは、この新型コロナウイルスの騒動が落ち着いても加速していくことに間違いはないでしょう。そこで、今回は家庭でオンライン学習を導入するにあたって、注意すべきことを、これまで我々が蓄積した経験をもとにお伝えしていきます。
親のITリテラシーを上げよう
親御さんとお話しをしていると「私はネットやパソコンはよくわからないから」とおっしゃる方がいらっしゃいます。これまではそれで逃げられたかもしれません(とはいえ、子どもの教育は情報戦ですから、本当はこの時点ですでに取り残されているわけですが…)。しかし、これからはそうは言っていられない時代になりました。スマートフォンを持っていても、使うのはLINEとYouTubeぐらいではITリテラシーが高いとは言えません。まずは、子どもたちにとって将来必要になるアプリやクラウドサービスを積極的に使ってみましょう。
これは私の経験ですが、ITリテラシーを上げようと思った時に、何かの本で勉強してもうまくいきません。とにかく実践あるのみです。実践といっても何からすればよいのでしょうか。私の場合はとにかく「面倒くさい」と思うことが大切だと思っています。例えばスケジュール管理があります。家族のスケジュールの管理をカレンダーに書きこんで、それをリビングに貼ってシェアしていたとしましょう。これでは変更があった場合、各々が書き込まなくてはいけないですし、書き込んでもすぐに共有することはできません。では書き込むのと同時に、家族にLINEで知らせる?そこで「面倒だなあ」と思いませんか?「面倒だなあ」と思ったら、「家族、スケジュール、管理」などで検索してみましょう。ウェブ上には様々なアイデアやヒントがたくさんあります。それを片っ端から試してみてください。するとあなた自身にぴったりの方法が見つかるはずです。ここまでやって実践したということになり、ITリテラシーがアップするのです。
また、端末に関しても、スマートフォンだけでなく、PCやタブレットも使ってみましょう。「面倒だなあ」が増えてくると、PCでしか解決できないこと、タブレットでしか解決できないことがわかってきます。それぞれの端末に、それぞれにしかできない役割を担わせることで、さらに効率化を図ることができ、結果ITリテラシーの向上につながるのです。
知っているから管理できる
では、なぜ親がやらなければいけないのでしょうか。それは危険だからです。ご存知のように、インターネットにつながった端末は便利な反面、危険なこともたくさんあります。それはどの親御さんも知るところなのですが、だからといって怖がりすぎては前に進むことができません。
なぜ危険なのか、それは親御さんが「知らないから」です。人間は知らないことに対して、ブレーキをかける生き物です。知らないことには怖いから手を出さない、こういう思考が働きます。しかし、知らないということを認めるのは恥ずかしいので、「ネットは危険だ!」という短絡的な正義を傘に、自分の正しさを主張してしまいます。
繰り返しますが、生活のIT化は今後ますます進みます。もう逃げることはできないのです。そのためには、その世界に足を踏み入れるしかありません。でも、怖いですよね。だからこそ、ご自身のITリテラシーを上げて、知らない世界を知っている世界に変えなければいけないのです。
そして、知ることで親御さんはお子様のIT環境をコントロール下に置くことができるのです。親が制御できれば怖いことはひとつもありません。うまく活用して、お子様の生活をより豊かにすることができるのです。
導入するには法整備が必要!そしてできるだけ早期に!
オンライン学習を導入する場合、子どもにPCなりタブレットなりスマートフォンなりを与えなくてはいけません。そういった機器は様々な誘惑がたくさんあります。エンドレスにYouTubeやビデオオンデマンドコンテンツを見続けることができますし、ゲームだってし放題です。そこでまず重要なのは家庭内の法整備です。
大前提としてこの端末は「学習用」であるということを子どもに伝えます。そして、必要なアプリのみをインストールしましょう。また子どもがインストールしたいアプリがある場合は、きちんと使用方法を話し合ってから決めるようにしましょう。つまり道具の使用目的を決めるのです。
次に使用する場所と時間です。端末の使用は親の目が届く場所でしか使えないようにするとよいでしょう。リビングやダイニングでしか使えない、そう決めるのがよいでしょう。また使用する時間帯も決めておくことが重要です。もちろん小学校の高学年になると、学校の課題や趣味の中で使いたい場面もあるでしょう。その場合は、きちんと親御さんに使用許可を得てから使う、という具合に決めましょう。
また、導入するのであれば、できるだけ早い方がよいです。幼児期から上記のようなルールの下、端末を使うことを覚えておけば、それが当たり前として使用できるようになります。決めた法律を執行するのが非常に簡単なのです。導入が遅くなると、子どもたちは遅かれ早かれ、外の世界でIT知識を学んできます。友だちのところでゲーム機としてIT端末の使用方法を覚えてしまうと、家庭で法整備をするのが難しくなります。外で間違った使用法を覚える前に、家庭でしっかりとルールを決めて使用経験を積むことが大切なのです。
PCやネットが苦手な親御さんもいらっしゃると思いますが、この世の中の急激なシフトをチャンスと捉え、今、腰を上げてITリテラシーをあげる取り組みを行なってみませんか?
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。