2023年11月号パルキッズ塾
Vol.127 | これって成果?親が一喜一憂する3つのポイント
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2311/
小豆澤宏次『これって成果?親が一喜一憂する3つのポイント』(株式会社 児童英語研究所、2023年)
パルキッズに限らず、英語学習を進めていくうちに、どうしても親御さんが期待してしまうのは「成果」です。成果を期待すること自体は当たり前のことですし、成果が出ない学習はする意味がありません。ただ問題は本来、成果ではないことを成果だと勘違いしてしまうことによる、親御さんの気持ちの振れです。
あ、成果かもしれない!そう思った矢先にそうではなかったり、、、。こんな感じで気持ちを日々揺さぶられることで、取り組みへのモチベーションが下がり、結果中断してしまう、これだけは避けたいところです。
英語教育は一朝一夕では叶いません。日々の環境づくりから継続的な働きかけを行い、数年後に芽が出始め、そしてさらに数年後に蕾となり、そして最終的に花開く、なんとも気の長い話ですが、こればっかりは近道はありません。じっくりと腰を据えてやっていきましょう。
そしてそのために必要なのは、日々の出来事に気持ちを揺さぶられないようにすることです。今回は、ついつい成果と勘違いしがちな3つのポイントをお伝えします。ぬか喜びでモチベーションが下がらないよう、こちらを参考にして気をつけていきましょう。
英語をしゃべった!
ついつい成果と勘違いしてしまいがちなのが、お子様が英語をしゃべった時です。しゃべるというのも色々ありますが、単語をポロッと言ったり、トシオの1日や絵本の内容をしゃべったり、歌を歌ったり、このあたりになるでしょうか。
子どもたちが英語を口にするものの多くは「暗唱」です。言ってみれば良く聞くCMを口にするのと変わりません。何かを理解しているわけではなく、何かを伝えようとしているわけでもありません。ただ頭に残っている音を口から出している場合がほとんどです。
また、慎重な性格のお子様の場合は、英語が口から出にくかったり、その逆で積極的な子、または第二子以降のお子様の場合はどんどんしゃべってくれる傾向があります。大事なことは、これが英語力を表す指標ではないということです。音真似をしているとか、性格的な要因でしゃべっているわけです。
ただ、がっかりしないでください。子どもたちが英語を口にするのは正しい成果が表出しているわけではないと分かった上で、これを使って子どもたちのモチベーションを上げることができます。
子どもたちが英語を口にする場合は、本人は特に意識はしていません。そのため親御さん側から「すごい!」と言ってあげないと、それが良いことであることを認識できません。お子様が英語を口にした時は、しっかり驚いて、褒めてあげてください。そうすることで、子どもたちにとって、積極的に英語を話すことができる環境を家庭内に作り出すことができるでしょう。
もっと取り組みをやりたい!
次に子どもたちがパルキッズの取り組みを「もっとやりたい!」という場合です。子どもたちがもっとやりたいと言えば、親御さんは次のように考えるのではないでしょうか。「英語が好き」または「パルキッズの取り組みと相性が良い」です。実はどちらもちょっと的が外れています。
まず大人と違って子どもたちは特定の言語に対して好き・嫌いという感情はありません。学んでいるという意識や向上心もないからです。子どもが英語学習が好きだと思える場合は、大抵その中に登場するキャラクターが好きだったり、タブレットに触れるのが嬉しいなどの理由がほとんどです。
また「パルキッズの取り組みと相性が良い」というのもありません。言語獲得は適切な言語環境さえあれば、本人の意思とは関係なく誰でも身につけることができます。お教室の先生との相性などとは違い、言語環境に相性はありません。正しく環境づくりができれば誰でも身につけられるのがパルキッズです。
ではどういった場合に上記のような勘違いをしてしまいがちなのかをお伝えしましょう。とても好奇心旺盛で新しいものに目がないのが子どもです。パルキッズの取り組みも、最初は新鮮なので、もっと取り組みたい!と言うお子様は少なくありません。しかしこれは保って2、3ヶ月です。その後は積極的な姿勢は消え、淡々と取り組むようになります。つまり物珍しいと感じる取り組み開始時にこういったことがよく起こるわけです。それを「好き」だとか「相性が良い」と考えるのは早計で、その後、積極的な姿勢が消えることでがっかりすることに繋がりかねません。
積極的にもっと取り組みをしたいとお子様が言った場合は、取り組みでお腹いっぱいにならないようしっかりとコントロールし、もう少しやりたいな、というぐらいで日々の取り組みを終えるようにしましょう。それが長くモチベーションを保つ秘訣になります。
正答率が高い!
パルキッズのオンラインレッスンではメニュー画面に正答率が表示されます。正答率をなぜ表示しているのか、その理由はゲーミフィケーションの一環です。例えばお子様がこの数字をもっと高くしたい、そう思ってモチベーションが上がる、こういった効果を狙っています。もちろん年齢がある程度高くなったお子様の場合です。その一方で、親御さんがお子様にプラスの言葉がけをするきっかけとしてお使いいただくことも狙っています。親御さんはプロの幼児英語講師ではありません。そのためお子様の様子を見て具体的に褒めることはなかなかハードルが高い作業になるわけです。そんな時にこの正答率があることで、お子様を褒めるきっかけとして機能します。「読む力がずいぶん上がってきたね!」「聞く力が上がったからアメリカ人が言っていることがわかるね!」とか、声かけと同時に暗示をかけるような形で使うことができるのです。こう言った声かけを積み重ねることで、子どもたちは取り組みに対して、英語学習に対して前向きな姿勢で臨めるようになるのです。
ただついついやりがちなのが、この正答率が今のお子様の英語力を正確に表しているのでは?と勘違いすることです。幼児・児童の場合、取り組みのクオリティはその日その時の気分で大きく異なります。ついつい適当に回答してしまったり、別のことを考えながら取り組んでいたり…こんなことは日常茶飯事です。このように、取り組みのクオリティにムラがあるので、表示される正答率も実際にお子様の英語力を表しているとは言い難いのが現実です。
とは言え、正確でないから意味がないというわけでなく、そもそもお子様のモチベーション向上のために使っていただくものなので、良いところだけピックアップして使っていただければ結構です。くれぐれも正答率で一喜一憂しないように気をつけてくださいね。
成果を感じられるのは読めるようになってから
最後に成果として認識してもよい場合をお伝えします。パルキッズの場合、成果として親子で感じ「やっててよかった」と思えるのは読めるようになってからです。教材としてはかけ流し教材が終了して「パルキッズジュニア」に進むわけですが、そこで行う音読トレーニングで「読める」を実感していただけるはずです。するとお子様が英文を読んでいる様子をご覧いただけます。読めるということに偶然はありません。読めるから読めるのです。これは成果として親子で実感できますし、素直に喜んであげるとよいですね。
また英検もわかりやすい成果です。賞状をもらったり、周囲の子が英検を取得していない中で自分はすでに持っている、そういったことで「自分は英語ができるのでは?」と感じることができます。英検は本当の英語力を測れないという方もいますが、そういうことではなく、あくまでも子どもたちの英語学習に対するモチベーションを維持するためには英検は非常に有効です。成果を計りかねていて、モチベーションが下がっている場合は、英検をうまく活用してみるとよいでしょう。
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。