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2014年06月号パルキッズ塾

Vol.14 | ほめる?それとも驚く?

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1406/
小豆澤宏次『ほめる?それとも驚く?』(株式会社 児童英語研究所、2014年)


 先日、中国は北京から南に500キロほど行った済南という人口300万人の都市で、英語講師の皆さんを対象にした講演会を行ってきました。日本の様に山河に囲まれていない、ひたすら平原という中国東部は、高速鉄道のレールもまっすぐに伸びています。そのため列車の時速は常時300キロ!日本の新幹線であれば2時間半はかかる距離でも、1時間40分ほどで行くことができます。ただ駅では空港で行われるような厳重なセキュリティチェックがあったり、チケットを買うのにパスポート(中国の方であれば身分証明書番号)が必要だったりと、ちょっと日本とは勝手が違います。
 講演会では計4時間話をさせていただいたのですが、最も印象的だったのが、最後の1時間で行った質問コーナー。日本であれば「大勢の人前で基本的なことは恥ずかしくて聞けない」という意識が働くせいか、多くの質問をいただくことはありません。しかし中国では「それはマニュアルに書いてあるでしょう」というような基本的な質問がどんどん出てきます。この積極性には、同じアジア人でもこうも違うのか、と驚きました。結局予定時間を大幅にオーバーして、すべての質問にお答えさせていただきました。
 質問の内容は日本であれ、中国であれ大差はありません。同じ人間ですから言語を獲得するステップは同じです。そしてその過程で生じる「壁」もほぼ同じです。そんな中でもひとつ興味深い質問がありました。それは「子どもが英語の勉強を嫌がる、どうしたらいいのか」というものでした。
 先ほども触れたように、中国では国民性なのか皆さんの基本姿勢は積極的です。大人だけでなく子どもも同じです。例えば絵本の暗唱をとってみましょう。日本では恥ずかしかったり、慎重な性格だったりで、暗唱が口から出ないというのはよくあります。しかし中国ではほとんどの子が、間違いを怖れずに暗唱をしてくれるのです。そんな子が「英語の勉強を嫌がる」というのはどういうことなのでしょう。


| 英語を嫌がる子の理由

 お子さまが「英語嫌い!もうやりたくない!」という理由は大きく分けて2つあります。
 ひとつ目は幼児期の子どもに多いものです。それは「気分」です。ちょっと拍子抜けするような理由ですが、子どもたち、特に幼児は、深い考えがあって言葉を発しているわけではありません。その日の気分、その瞬間の気分で言葉を発しています。まだまだ論理的な思考ができない年齢ですから仕方のないことです。ちょっとお腹が空いていたり、眠かったり、おもちゃで遊びたかったりするだけで「英語嫌い!」と極端な発言をしてしまうのです。
 極端な発言と書きましたが、幼児は論理的な思考ができないばかりか、表現力もまだまだ乏しいのです。大人であれば、「今はちょっと眠いから30分ほど仮眠をとって、それから取り組みます」と言えますが、幼児はそういった理由をすっ飛ばして「イヤだ」となります。子どものこういった思考、発言の傾向を知っていないと、「イヤだ」と言われたお母さまはひどくショックを受けるでしょう。しかし、「気分」で発言しているとわかると、もうお子さまの言動に振り回されなくなります。  ふたつ目は「自信をなくしている」という理由です。自信をなくすということは、「自分は英語ができない」と感じているということです。
 子どもはプライドが非常に高く、自分の間違いを指摘される、または感じることで自尊心が傷つくのをひどく嫌います。ですから子どもたちは自分が「できる」と感じていることしかしたがりません。大人のように「下手の横好き」ということはありません。「できる」から「好き」、「好き」だから「継続できる」わけです。
 英語教育に関して、お子さまが自信をなくしてしまう原因で一番多いのが「試して・教えて・叱る」ことです。先月号の『パルキッズ通信』でも触れましたが、英語は教えることができません。しかしお子さまの英語力がどの程度なのか知りたいお母さまは、「appleは日本語でどういう意味?」といった「試す」という行為をしがちです。プライドが高い子どもたちは間違えたくないので「わからない」と言うでしょう。「わからないのなら教えなきゃ!」と思ったお母さまは、ついつい日本語の意味や、文法を教えます。でもそんなことを幼児に言ってもわかるはずもありません。何度教えてもわからないわが子に「どうしてできないの!」と結局「叱る」という最終手段に出てしまうのです。
 「できない」と散々言われた子どもたち、または直接そう言われないにしても、お母さまのがっかりした表情で「自分は英語ができない」と感じた子どもたちは、簡単にマイナスの自己暗示をかけてしまいます。
 さて、話は中国に戻して、件の先生によると母親も先生も子どもに対して「試して・教えて・叱る」をしていないとのこと。であれば恐らく、と感じた私は先生に「先生もお母さまもお子さまに対してどのようにほめていますか?」という質問をしました。すると「いつもすごいね!とほめています」という答えが返ってきました。


| 子どもをほめる、その理由

 子育ての基本中の基本として「子どもをほめなさい」と様々なところで言われています。確かに子どもをほめるのは良いことだということは何となくわかります。しかし、一度「なぜ子どもをほめなければいけないのか」を考えてみましょう。
 子どもをほめる時、それは子どもがなにか良いことをした時です。良いことといっても、ご飯をキレイに食べられた、靴を上手に履けたという些細なことでも子どもをほめます。
 なぜ、子どもをほめるのか、それはどんな些細なことでもそれができるようになったということを子どもに認識させるためです。「できる」ということを母親から伝えられた子どもは、「自分は○○ができる」ということを初めて認識できるのです。
 子ども、特に幼児は自分が何かをできるようになったことを意識することはありません。意識しなくとも成長とともに当たり前のようにできるようになっていることが多いからです。できるようになっているわけですから、それでよいと思われるかもしれません。しかし、子どもは何かができるようになったことを母親から伝えられることで、「自信」を持つことができるのです。
 英語に限らず自信があるというのは大きなアドバンテージになります。先にも触れたように自信があるからこそ、好きになり、継続できるのです。そして継続するからこそ成果が出るのです。つまり何事においても成果を上げるためには、自信のある子を育てる、そのためにほめることが必要なのです。
 またほめる時にもうひとつ考えなければいけないことがあります。それは何をほめるのか。例えばひとりで靴下がはけたとします。そのときに「○○ちゃんは偉い子だね」とその子自身を漠然とほめる対象とするのか、それとも「靴下をひとりではけるなんてすごいね」とその子がおこなった行動に対してほめるのかを考えなければいけません。
 ほめるときは具体的に、これがルールです。子どもにただ「偉いね」というよりも、子どもの行動に対して「すごい」とほめることで、子どもは具体的に何に対してほめられているのかがわかります。そして、子どもは「靴下をはく」ということに自信を持ち、ひとつ自信を積み重ねることができるのです。
 先の中国の子の場合、母親はただ漠然とほめていたため、できるという自信を積み重ねることができなかったようです。そのため、ちょっとした壁に当たった時に、やる気を無くしてしまったのです。


| ほめる?それとも驚く?

 ほめる理由は、子どもに何ができたのかを具体的に伝え、自信をつけさせるため、ということがわかりました。でも実はほめるよりも、効果的に何ができたのかを伝える方法があります。それは「驚く」ということです。
 私たちは何かを伝えるときに、一番伝えたい部分を印象づける工夫をします。その部分が目立つように、その他の部分との違いを出します。ほめる場合も、いつもとは違うと思わせるだけで子どもに印象づけることができるのです。
 子どもはほめられることに慣れています。「偉いね、すごいね」と大人から言われる機会が多いからです。ほめられるということは、子どもにとって別段珍しいことではありません。そこで別の方法として「驚く」を使うのです。
 子どもは自分ができることは母親もできる、そう思っています。そんな母親が子どもの行為に対して驚くとどうでしょう?子どもからすると、「ママでも驚くようなことをしたんだ」と感じ、「ひょっとしたらママでもできないことをしたのかな」と思うでしょう。子どもからすると万能の代名詞である母親よりも「できる」ことがあるというのはものすごい自信へとつながります
 ほめるというのは、子どもに自信をつけさせるため。そしてそのためには驚くことが効果的。ぜひ、取り組みを順調に進めるためにも、この方法を有効に使ってみましょう。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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