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2011年1月号特集

Vol.154 | 4年間のパルキッズで英検準2級取得を!!

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは無料で引用・転載可能です。引用・転載をする場合は必ず下記を引用・転載先に明記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1101
パルキッズ通信2011年1月号特集『4年間のパルキッズで英検準2級取得を!!』(著)船津洋 ©株式会社 児童英語研究所


| 英語教育のゴールを考える

 新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。
 2008年来の世界同時不況からようやく抜け出しつつある日本経済ですが、長引く不況で消費に対する意識に変化が訪れデフレ傾向は止まらず、また決定的な改善策が見つからないまま進行する少子高齢化も、この国の未来に暗雲を投じています。
 そんな中、企業は生き残りをかけて縮小する国内マーケットのみではなく、海外に市場を求める動きを活発化しています。また、円高による輸出へのブレーキも海外での現地開発・生産へのシフトを一層煽っています。
 楽天やユニクロの「社内公用語の英語化」のニュースは記憶に新しく、電機メーカーのシャープも同方針を打ち出しています。
 日本国内から世界へ向けて。この傾向は一時的な現象ではなく、もはや世界的経済のあり方が大きなシフトを切る段階へ来ていると言って良いでしょう。


| 今以上に英語が必要となる

 その意味では私たちの世代は手厚く庇護されていたのかも知れません。日本にいて日本人と上手く付き合っていれば良かったわけです。海外と言えば旅行で数日間訪れる程度。日常的には英語の必要など、ほとんど無いに等しく、また社会においても英語力はそれほど要求されていませんでした。
 従って大学受験のための英語勉強が終われば、ほとんどの人たちは中学から始まった、文法・翻訳中心の“英語”と言うよりは暗記課目から解放されます。大学受験が英語力のピークで、それ以降どんどん英語の力は下がっていくのです。
 もっとも、ピーク時の英語の能力にしても、センター試験で青息吐息のレベルでは、お世辞に褒められたモノではありませんが・・・。
 今日の企業戦士で、いきなり英語力を求められていらっしゃる方々のご苦労やご心労は察してあまりありますが、私たちの子どもたちの世代になれば、「使える英語力」は当たり前のこととして、彼らに要求されることになると想像できます。その時、彼らはどうするのでしょうか。


| 日本の英語教育は変わりません

 ここ数年、特に大人の英語教育に携わるようになって、学校の英語教育について考えさせられる日々が続きました。そんな中、「日本の英語教育は変わることは無いだろう」と感じるようになっています。
 中学生の頃を思い出して下さい。ほとんどの子が中学入学と同時に始まる「英語」の授業を心待ちにしていました。「英語が分かるようになれば、どれ程素敵だろう」と淡い期待を抱きながら。しかし、その期待は早くも2学期には砕かれます。僕の記憶する範囲では相当数の子達が2学期で落ちこぼれ、残念なことに2年生になる頃には大半が「英語」を苦手科目と感じるようになっていました。
 それから三十数年。今日の教育現場をみてみると、中学2年生達の実に6割が英語を苦手と感じているのです。さらに、大学受験に際しても、英語の能力不足が彼らに重くのしかかっているのです。
 様々な教育改革はなされているものの、この現実をみると、英語教育に関しては「百年一日がごとし」。一体何が変わったのでしょうか。常識的に判断すれば、30年かけて出来ていないことを、「これからでも出来るだろう」と期待する気持ちが湧いてこないのです。
 また、小学生からの英語教育が本格的に始まりますが、これも国語の教師が英語を教える点や、カリキュラムの不統一、また逆に一部ではALT個人に丸投げしているような現実を知れば、小学英語が子どもたちの英語力の根本的な解決に寄与するとは思えません。逆に、英語嫌いになってしまう時期を前倒しすることすら危惧されます。


| 「幼児期の英語」と「受験」の関係

 ここ10年ほど、中学受験が過熱の傾向にあります。理由は簡単。放っておけば子どもたちの学力は低下の一途であり、目標の大学に入れない。今や大学全入時代とはいえ、大学を出たというだけでは就職にありつけないことすらあります。慶応早稲田あたりでも就職留年が出るほどです。そんな中、子どもの将来を考えれば、少しでも良い大学に通わせたいと願うのは親心でしょう。
 しかし、公立中学は入試もなくその学区の全ての子が入学してくるわけですから、学力の差が激しい。学力の高い子に手厚い指導が出来ないのです。また、一歩上へ進みたい子も、なかなか適切な指導が受けられません。そこで最初から大学入試をゴールに設定している、私立中学が人気を博しています。
 私立中学の特徴は枚挙にいとまがありませんが、共通する大きな特徴が「英語に手厚い」ことです。大学入試を制するには英語を制さなければいけません。公立では多くの子が落ちこぼれていく中、私立では英語で落ちこぼれないよう、かなりの時間が英語に割かれるのです。
 しかし、私立に通っても英語が出来るようになる保証はありません。文法中心・翻訳中心の授業ではパルキッズの卒業生達のような「本当の英語力」を身につけることが出来ないことには、公立の英語となんら変わりがありません。めでたく志望する私立中の入学しても、彼らは大学受験に向けて6年間英語を勉強し続けることになるのです。


| 英検準1級を目標に

 センター試験の英語は、英検で言えば準1級から1級の間くらいでしょう。その程度の実力があれば、ほぼ満点得点することが出来ます。
 センターの英語で満点が取れれば、かなり大学の選択肢も広がりますね。また、仮に高1でセンターの英語で満点を取れるとすれば、高校3年間は、英語の勉強から解放されます。自分の進路に必要な課目の勉強に注力することが出来るのです。こうなれば、第一志望の大学の門をくぐることも現実味を帯びてきます。
 現実的に、高1で英検準1級を取得するためには、少なくとも中学に入学する前に、英検の準2級から3級は必要です。しかし小6までに取得すればよいのではありません。仮に中学を受験するのであれば、少なくとも5年生と6年生の2年間は英語になどかまけている時間はありません。すると、小学4年生までに英検の準2級から3級を取得しておかなければならないことになるのです。
 大学受験だと随分遠くの話のようですし、中学受験もまだピンと来ないかも知れません。しかし、このように逆算して分かったことは、ナント小4までに英検の準2級から3級を取らなくてはいけない、ということ。こうなってくると随分現実味を帯びます。いま取り組んでいるパルキッズを、かなりリアリティーのある存在として感じることが出来るのではないでしょうか。


| 誰でも出来るのです

 年長で英検準2級、2年生で英検2級などなど、早い子は早い子で、このような成果を実際にあげています。しかし、これは人ごとではありません。皆様のお子さまにも出来ることなのです。またパルキッズを実践されるご家庭では、大学まで当然お考えでしょう。すると、これは単なるオプションではなく、必須のこととしてやっつけておかなければならないことも分かってくるのです。
 パルキッズはとてもシンプルなメソドです。毎日CDを流すだけ。こんな簡単なことはありません。しかも、日本語を身につけられる子なら、どんな子でも “ついで” に英語まで身につけることが出来てしまうのです。夢のようなプログラムです。
 しかし、メリットはメリット。デメリットもあります。ひと言で言えば、成果が見えにくいのです。どんな子でもバイリンガルになるのです。しかし、その様子がなかなか見えてこないのです。そして、中断したり、無理強いして英語嫌いに育ててしまったり、そんなことが起こってしまうのです。
 全体、パルキッズの目指す英語教育のゴールは一生消えない「本当の英語力」を身につけさせてあげることです。日常のやりとりをいくつか覚えたり、自己紹介が出来るようになったり、色や形数や文字が分かる、などといったレベルのことではありません。また、それらを口にする程度のことでもありません。
 パルキッズで育つ子は、英文を耳にした瞬間に文章がイメージを結像するのです。「今日は晩ご飯レストランに行こうか」と耳にすると好物のハンバーグやパフェを思い浮かべるのと同様に、 “Let’s eat out tonight!” と耳にしても、同じような情景を浮かべることが出来るのです。このようなバイリンガルに育っていくのです。
 ただ、彼らはこのような「本当の英語力」を持っていながら英語を口にしてくれることは希です。なぜなら、日常的に英語を口にする必要がないし、さらに、日本の家庭内で英語を口にすることが不自然であると感じるからなのです。
 留学時代に体験したことですが、級友に “Speak some Japanese.” と言われて大変困惑したことを覚えています。「何か日本語で話してみて」と言われても何を話して良いのか分からなかったのです。言語とは必要に応じて発されるものですから、当然必要がなければ、口にすることもありません。
 先日、とある大学の授業を聴講して感じましたが、最近の若い人たちはあまり喋らないようですね。質問されても喋らない。繰り返し促されて、ようやく二言三言ぼそぼそ何か口にする。もちろん友人同士では話しに花を咲かせるのでしょうが、教授などとのやりとりでは、最低限の口数で済ませようとします。
 まさしく必要がなければ話さない、必要に迫られればようやく話す。言語とはこの様な存在なのです。
 また、日本にいれば相手は大抵“日本人”です。我が子の口から英語が出てくるのを心待ちにしている母親も、もちろん“日本人”です。これは、先の例とは逆に、バイリンガルの人に何か英語で話してみて、と頼んでいるのと同じことなのです。皆が日本人の中で自分ひとりだけ英語で話す。もしくは英語を口にしてみる。私は英語と日本語の両方を使いますが、アメリカ人には英語で、日本人には日本語で話します。日本人だけの集まりで英語を口にすることなどありません。それは異常なことなのです。
 パルキッズで育つ子どもたちは、その様な不自然さを感じているので、英語を口にしてくれません。逆に、英語を習い始めの、バイリンガルでない子どもたちは無邪気に英語?!を口にします。それは彼らが、バイリンガルではないので、不自然さを感じていないからなのです。英語を口にしなくなったら、それは「英語が出来ないことのサイン」ではなく、「バイリンガルに育ってきたことの証」だと受け止めれば良いのです。


| 仕上げに「読める」ところまで育てる

 シンプルながらも根気のいるパルキッズのかけ流しを淡々と続けることによって、「英語の回路」が子どもたちの頭の中に作られていきます。
 成果を焦って、逆に諦めてしまうようなことがなければ、かけ流し続けることでどんな子でもバイリンガルには育つのです。ただ、それをそのまま放置しておいては、せっかくの能力も消えてしまいます。幼児期の右脳を活用して開発した能力は、年齢と共に左脳優位になるにつれて、発揮できなくなっていきます。私たちが5、6歳の頃までは、小さい頃の記憶があるのに、中学生くらいになると、すっかり忘れていることと似ています。開発した能力は、そのまま左脳期に入っても使えるように、一度整理整頓しておかないといけないのです。
 整理の方法は極めて簡単です。「読解力の育成」このひと言に尽きます。読めるようになれば、英語力は一生消えることがないのです。
 幼児期に英語を身につけた、もしくは習い事をしていた、と言う人たちは結構います。そんな方々が口をそろえて言うのは「もう忘れちゃいました」とか「小さい頃は出来たようなんですけど」など。挙げ句の果てには何の根拠も無しに「小さい頃にやっていたけど忘れちゃったから無駄だった」などという人まで現れる始末。
 一体全体、その様な人たちがどれ程の英語力を身につけたのかは知るよしもありません。週1回の英会話程度では何にも残りません。これは「忘れちゃったから無駄」なのではなく、仮に「覚えていた」としても残念ながら大したことはないレベルでしょう。
 しかし、帰国子女など本格的に英語が出来ていたにも関わらず、忘れてしまう人がいます。このように過去に英語が出来たけれども、今は出来ない人たちに共通しているのは、「読解力不足」なのです。彼らは英語を読む能力を身につけることがないまま、口語英語のレベルのまま英語と接しなくなってしまったのです。
 逆に英語の読解力まで身につけている子は、小学校の早い段階で英語との接触を断っても、中学に入ったらすぐに思い出して、英検の準1級を取ってしまう。こんな子に育つのです。いかに、「読解力」を育てておくことが重要であるかが分かります。
 また、読解力が身につくと、いきなり英語力を実感できるようになります。本人も耳からの英語だけでは、単語の理解も曖昧だったモノが、読めるようになった途端にぐんぐん理解が深まっていきます。同時に、英文をスラスラ読みながら、理解している様子を目の当たりにして、親御さんもようやく「日々のスイッチポンは無駄ではなかった」と感涙に咽ぶのです。大切なのは日々のかけ流しです。
 このようにして、4年間のパルキッズのかけ流しで「耳にした英語を即座にイメージ化できる能力」を身につけさせつつ、さらに耳だけではなく「目にした英語も瞬時にイメージ化出来る能力」を育てていきましょう。そして、パルキッズ終了と同時に、英検5級からスタートして、準2級を目指したテストの準備をすればよいでしょう。ほとんどは過去問をする程度で大丈夫です。パルキッズ卒業後1年から1年半で目標は達成できるでしょう。
 そして、準2級まで取得できれば、中学受験をするご家庭は受験勉強に専念して下さい。また、受験をしなくても良いような地域にお住まいの方は、さらに多読を通して英検の2級から準1級を目指して下さい。中学の早い段階で英検の準1級まで取得しておけば、数学、理科、社会の勉強に手が回るので、県下有数の進学校に進めるでしょう。国立大学も見えてきますね。

 さて、今回は皆様が実践中のパルキッズで、子どもたちが実際にどのような英語力を身につけ、それが、子どもたちの将来といかに密接に繋がっているのかをご説明して参りました。
 かけ流しは、どなたにでも出来ます。それを実践しつつ読解力の育成を念頭に置いて下さい。そしてバイリンガル教育の締めくくり、英検を受験させる。これがお子さま達の将来にどれ程の福音をもたらすかは、想像を遙かに超えています。そして、小さい頃にご両親が施してくれた英語教育に、お子さま自身が深く感謝する日が遅からず訪れます。

 2011年をスタートするにあたり、お子さまの遠い将来に思いを馳せてみましょう。そして、今日できることを確実にひとつずつ取り組んでいきましょう。
 この1年が会員の皆様とお子さまにとって実り多き年でありますことを祈りつつ。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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