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2014年01月号特集

Vol.190 | バラ色のキャンパスライフは今決まる

今年こそ「ON」にする!子どものやる気スイッチはここにある!

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1401/
船津洋『バラ色のキャンパスライフは今決まる』(株式会社 児童英語研究所、2014年)


| 英語学習の目標

 現在3年目になりますが、中学生向けの英語指導を行っています。その中でどうしても難しいのが、生徒たちにモチベーションを持たせること、「動機付け」です。
 指導対象は、塾に通っている公立中学校の学生たちです。ここ10年来、中高一貫校の受験はもはや当たり前のようになっていますが、それは首都圏、特に中心部でのこと。一歩郊外へ出たり、地方へ行けば中学受験は一般的ではありません。従って、そんな彼らにとっては高校受験が人生初めての試練(?)となるわけです。
 さて、そんな子どもたちを、1年後に受験を控えた中2の冬から指導するのですが、冒頭の如く、英語を「やる気」にさせるのがなかなか手強いのです。
 もちろん、彼らも英語を勉強しなくてはいけないことは知っています。ただ、ベネッセの調査などでも報告されるように、中2の段階ですでに「英語が苦手」な子たちが6割もいます。しかし、今日の風潮としては、そんな子たちも高校へは進学することになりますので、まぁ「とりあえず」英語も勉強しておこう、という気分の子が少なからずいます。
 比較的偏差値の高い子たちのクラスの子どもたちは、日頃から勉強する習慣が付いているので、その一環として学校英語も真面目に勉強しています。これは、彼らが英語の重要性を理解しているから、ではなく、ただ単に真面目に勉強している日常の中で、英語もその対象科目として入っているというだけのことです。「英語」というものが、彼らの高校受験、ひいてはその後に進む大学を決定づけてしまうことなどを知っていて、勉強しているわけではありません。
 もっとも、日常的に真面目に勉強している子たちですからとても指導しやすく、こちらが課題を与えれば、彼らなりに一生懸命それに応えてくれます。
 ただ、問題はあまり勉強の得意でない子たちです。


| なぜ英語を勉強するの?

 学力の二極化が進んで、ずいぶんと時が経ちます。経済で言うところの昭和の「総中流意識」と同じように、我々親世代の昭和の時代は、「学力」もドングリの背比べで、みんなが普通のレベルでした。その中にも比較的勉強ができる子と、どうしても勉強が苦手な子はいるとはいえ、それでもだいたい皆平均的な学力でした。
 ところが、今、学力は二極化しています。全体的に学力が下がっている一方で、一部の子が「飛び抜けてできる」ようになっているのです。それでも、平均学力は昔と変わっていません。簡単に説明すると、以下のような図式です。
 100点満点のテストを10人が受けたと考えましょう。10人がみんな60点ならば平均はもちろん60点です。昭和的ドングリの背比べですね。しかし、今ではこんな具合です。8人が50点で残る2人が100点、それでも平均点は60点です。つまり、全体は下がっていても一部の子たちが平均をグッと引き上げてしまうのです。
 昨今の日本人の所得も同じですね。中間値は450万円ですが、一部の高額所得者がそれをグッと引き上げていて、平均値にすれば550万円という数字になるのです。
 さて、話を戻しましょう。勉強している上位の子たちは、黙っていても勉強してくれるのですが、大半の子たちはなかなか勉強してくれません。
 そこで、今時の風潮として「学ぶことの楽しさを教える」とか「楽しく授業が出来るよう工夫」を凝らすことになるわけです。これはこれで結構なことですが、先生方や指導者の方はエンターテナーではありませんし、皆さん全員が創意工夫に優れているわけでもないでしょう。また、そのような授業を行い続けることも困難でしょう。そこで、必要になるのが子ども自身のモチベーションです。


| バラ色のキャンパスライフ?

 私たちは、なぜ勉強をするのでしょう。なぜ学生たちは勉強をしなくてはいけないのでしょう。答えは簡単。勉強すること、それが「学生の本分」だからです。
 子どもは親のものではなく社会からの預かりものです。『人々は身を立て、産を治め、業を盛んにして、生を遂げるものである。その為には身を修め、智を開き、才芸を長するしかない。そしてそれらは学ぶことによって達成される』と明治初年の「学事奨励における太政官布告」にもあります。功利主義な面は否めませんが、とはいえ、現在に相通じて新鮮に響きます。
 つまり、勉強する理由は、社会に出て、立派に国民としての義務を果たすためなのです。それによって、学業を修め、より社会おける貢献度が高くなれば、それなりに豊かな生活を送ることも出来るでしょう。
 とはいえ、それはあくまでも正論です。子どもたちにそのまま伝えても、今時の子たちが素直に「わかりました」と精勤してくれるとは限りません。そこで、やはりもう少しイメージしやすい目標やゴールを与えていく必要があるでしょう。
 大人たちが当たり前に知っていることも、子どもたちは案外知らないものです。例えば、お金の話。生活するにはいくらかかるとか、一般的な年収はいくらだとか、海外旅行するならいくら必要であるとか、大学の学費はどれくらいとか…。そんなことを教えないまでも、少しずつ知らせてあげると子どもたちも自分の未来をイメージしやすくなるでしょう。
 また、宇宙飛行士になりたい、電車の運転手になりたい、パティシエになりたい、外国に住みたい…などなど、子ども自身に将来の夢やなりたい職業があるならしめたものです。ただ「がんばれ」と言うのではなく、何が必要なのか、どうすれば成れるのかなどを、具体的に調べて伝えてあげるのも良いでしょう。それだけでも、漠然とした「自分の将来」というものが一気に現実味を帯びてきます。
 夢に向かって頑張る子もいれば、なかなか夢自体が見つからない子もいます。おそらく、進む高校や大学を選ぶ段階でも、自分自身の進路に明確なゴールを定めて考えられる子の方が少ないでしょう。また、夢を持っていても途中で挫折してしまったり、知識が増えるにつれてまた新たな別の目標に出会ったりすることもあります。そんな時に、より多くの選択肢が残っているような子に育ててあげたいものです。そこでもやはり「学力」が重要です。
 AO入試や推薦入試で、誰でも大学へ入れる時代ですし、普通にしていれば誰でも卒業できます。しかし、だからといってサボってしまった子たちは就活や生涯年収、つまりその後の自分の人生にツケを残すことにもなりかねません。逆に、学業をはじめ、すべき事を淡々とこなし、日々無為に過ごすことなく精進し続ければ、将来への道が狭まることはありません。
 また、職業の話の前に、「大学生生活」自体をイメージさせることも効果的かもしれません。少しでも名の通った大学へ進学した方が、学生生活もより充実したものになるでしょうし、男子風に言えば「もてる」ことでしょう。俗に言う「バラ色のキャンパスライフ」です(←書いていて前時代的で恥ずかしくなりますが、逆に新鮮な響きを感じるのは私だけでしょうか)。
 そんなところを伝えてあげるのも1つのモチベーション付けにはなるでしょう。中学生向けの講座で上記のことを学生たちに言ったところ、オブザーバーの塾講師の先生方から「言いにくいこと言ってくれましたねぇ~」と感心されてしまいました。モチベーションの本質とは意外とそんなところにあるのかも知れませんね。


| どこの大学へ行く?

 大学のことを考えるのは、いつだと早すぎる、ということはありません。  講演会の冒頭でも、参加者の皆様に同じ質問を投げかけますが、お子さんが進学する大学まで考えたことはない、という方が大半です。畢竟、子どもたち自身がどこの大学へ進学するか、自発的に思い悩むことは稀でしょう。
 中学生たちに同じ質問をしても「考えたことがない」という答えが返ってきます。そこで、質問を「知っている大学名を上げなさい」に変えてみると、意外にたくさんの大学名が挙がってきます。東大・京大は大抵の子が知っていますし、早慶や “MARCH” も大体聞き知ってはいます。中には外国の大学名を挙げる子もいるほど。
 つまり、これらの「大学」と「そこに在学している自分」とが繋がっていないだけで、そこを繋げてイメージできるようにしてあげると良いのです。
 大学全入時代、子どもの数は減少しつつも大学への進学率は上がっています。バブル期には3割しかなかった大学進学率が、今日では6割へと倍増しています。おそらく、私が指導した中学生たちは、大学まで進むことになるでしょう。
 それであれば、今のうちにせっせと勉強しておいて、来るべき大学受験に備える心構えを持たせておいた方が良いに決まっています。高3で慌てて大学受験の準備をするよりも、高1から受験勉強をする方が良く、可能ならば中学生、いや小学生のうちからその自覚は持たせておいた方が良いのです。


| 記念撮影

 「女の子は耳元でささやけば理解してくれる、男の子は言葉ではなく見せてあげると理解する。」
 これは私の育児の師匠、故・信千秋先生の言葉ですが、まったくその通り。女の子は話してあげればスッと理解してくれるのですが、男の子はなかなか言葉では理解できない。しかし、視覚に訴えると、そんな彼らもピンと来るのです。
 そこで、女子にも男子にも有効なのが「写真撮影」です。別にどこの大学でも構いません。お子さんと話をして、とりあえずどこでも良いからひとつ大学を決めて、休みの日にドライブや散歩がてら、その大学へ赴きキャンパス内をグリルと巡って写真を撮る。これだけで、「大学」という存在が彼らの脳裏にしっかりと焼き付きます。大学までの小旅行などは安い投資でしょう。
 これをするのに、年齢はあまり関係ありません。私立中学へ行けば、1年生の時にこんなことをさせられるかも知れません。小学校高学年になれば十分理解できますし、小学生の中学年や低学年でも、それとなく理解できます。とにかく「強烈な焼き付け」をすることが効果的です。


| もう大学は決まりましたか?

 当誌をお読みのご両親のもとに育つお子さんたちは、おそらく大学へ進学することになるでしょう。
 既述の通り講演会にお集まりの皆様に尋ねても、そこまで先を見ている親御さんは圧倒的少数派です。しかし、「うちは京大に決めています」とか「実は、先日赤門前で写真撮ってきました」などと仰る方も、毎回必ずといって良いほどいらっしゃいます。まだお子さんが幼児のうちから、実は進学させる学校を決めている方も少なくないのです。
 どこの大学が良くて、どこの大学がいけない、ということはありません。どこの大学でも良いのです。また、成長する中で、夢を見つけ進路を変更するのも大いに結構です。
 重要なのは、なるべく遠い未来を、子どもたちの将来の姿を、彼らと一緒に考えることです。たかが1枚の写真ですが、それを軸にいろいろな会話が親子の間で生まれることでしょうし、大学をイメージすることで、その先の彼らが就く職業に関しても話題が及ぶことになるかもしれません。
 また、その様にして自分の将来のことを、子ども自身が我が事として考えるようになれば、自分自身が羽ばたいていく日本の社会、経済や政治にも関心が湧くかも知れません。
 「無知の知」とはよく言ったものです。知れば知るほど自分の無知に気付く。知識が増えれば増えるほど、あまりにも自分が知っている世界が小さいことを知る。そうすれば、限りなく知識の幅を広げてゆくことが出来るのです。
 「楽しく学ばせる」「学びの楽しさを実感させる」そのために子どもたちを楽しませたり、楽しく学ばせる工夫を凝らすのも結構なことですが、どうしても表面的に過ぎる嫌いをぬぐえません。
 よほど優れた先生に恵まれなければ、そんなことは不可能でしょうし、生涯にわたって誰かが楽しくものを教えてくれるわけではないのです。自ら学んでいくモチベーション付けのスイッチ。それは、案外「自分の将来を想像する」といった、極めて当たり前のことの中に埋もれているのかも知れません。
 さて、最後になりますが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 それとともに、新年に当たり、これを子どもたちの未来を見つめるひとつの機会としてみてはいかがでしょうか。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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