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2025年1月号特集

Vol.322 | 「パルキッズ」が最適解なワケ

賢い手抜きで楽した親が最後に勝つ不都合な現実

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2501/
船津洋『「パルキッズ」が最適解なワケ』(株式会社 児童英語研究所、2024年)


英語に夢中

英語に夢中「中学英語とは違うんだ」と言いながら、いつの間にか、なし崩し的に必修科目になってしまった小学英語。コミュニケーション中心で文法訳読の中学英語とは違うはずだったのですが、蓋を開けてみれば、5・6年で習う800語ほどの英単語は「読み書きできている」前提で中学の英語の授業が進むようです。小学英語は、地域によって温度差が激しく、ALTの不足も問題視されています。また、そもそも英語の教員でない国語の教員が担当するなど、「これで必修授業でいいのかなぁ」と訝ってしまいます。現場の先生方に於かれてはご苦労様でございますが、子どもたちにとっては運否天賦で恵まれた環境か否かが決まるので、親御さんも心配の種が尽きないことでしょう。
 そんな学校英語ですが、私立中学からすれば、これは大歓迎でしょう。なぜなら選抜試験に英語を課すことが暗黙裡に許されることになるからです。詳細は『パルキッズ通信2017年6月号』に譲りますが、大学合格実績を稼ぎたい私立中高一貫校からすれば、小学生のうちに英語を身につけている子は、喉から手が出るほど欲しいはずです。いまだに大学入試は英語力で決まりますので、中学生のうちか高校1年生くらいまでに英検準1級を取れるような子は滑り止めの私立大の合格は余裕でしょう。反対に、英語が苦手だから、と逃げているようでは、結局ワンランクもツーランクも下の大学進学を余儀なくされることになります。これが現実です。

 そんな現実を知ってか知らずか、小学生を対象とした英語熱も高まっているようです。民間でも英検を狙うような英語教育を実施するところもあるので、結果として小学生の英検受験者数は増えています。必然的に中学生の英語力の底上げにもつながっています。

 昔から一定数は「英語に夢中」な集団がありました。親御さんが「子どもと一緒に英語を学びたい」というパターンも所々で見かけました。都内の公園などで数名の親子グループが、「ジュース、プリーズでしょ」など仮名まじりのカタコト英語でやり取りをしているのを目にしたことも何度かあります。そんな人たちはもういないとは思いますが、子どもと一緒に英語を!という集団は健在のようです。
 また、驚くことに、小学生のうちに英検1級を目指すような極端なご家庭もあるようです。英検1級の問題は解いてみればわかりますが、なかなかに手強い。高校1年間の留学組でもスラスラっとは通りません。準1級くらいであれば、小学生での合格も頷けますが、1級となると、親子揃って相当英語に熱が入っていないと合格は難しいでしょう。
 さらに、英検などは眼中にないグループもあるようです。英語で保育する保育所に預けたり、小学校からはインターナショナルスクールに通わせたりすることも、お金さえあれば可能です。そこまですれば、当然、英語は身につくでしょう。つまり、インターに通わせれば我々日本人が喉から手が出るほど欲しい英語の “BICS : Basic Interpersonal Communication Skills、生活言語” は、当然身につくのです。問題は、その後の “CALP : Cognitive Academic Language Proficiency、学習言語” を日本語なり英語なりで身につけられるのか?ということですが、この点は後述します。(BICS、CALPについては『パルキッズ通信2022年5月号』参照)
 その他にも、英会話教室に、英語教室、さらには英語学習の先取りプログラムなど、様々なサービスが用意されています。英語学習・教育産業の市場規模は増加傾向で、概算で1兆円もあるのではないでしょうか。新生児からご老人までのすべての日本人が、ひとり年間1万円弱支払っているイメージでしょうか。特に10代から20代に集中していると考えれば、一人頭4~5万円は軽く支払っている計算になります。
 もちろん、我が「パルキッズ」もその一隅を占めています。まぁ、ただし、熱量はというと、平熱ですね。あまり英語に熱を上げることなく、「英語もやっておかないと後々面倒」という方々から支持を集めているように感じています。


冷ややかな世論

冷ややかな世論 さて、そんな英語熱に浮かされている(?!)集団を見る世間の目は冷ややかです。いつの時代にも英語反対派はいます。知識人が「ほとんどの日本人に英語など不要」と英語熱自体を揶揄したり、「ペラペラ喋るが中身がない英語は情けない」と帰国子女や留学組、あるいはインターの子どもたちなどの知能を論ったりすれば、「そうだそうだ」と賛同する声のほうが大きいと思われます。
 また、「英語より日本語」などという論調も忘れた頃に再び目にします。そのような方々は、どうやら、早期の英語教育はダブルリミテッドに繋がると信じていらっしゃるようです。つまり、幼児期に英語教育を施すと日本語が発達しない、という信念があるようで、そんな方々は口を揃えて、幼児期には親がしっかりと日本語で語りかけないといけません、などと諭します。「パルキッズ」のような幼児英語教育を普通に実践しているご家庭からすれば笑止千万ですね。日常的には日本語で語りかける、などというのは当たり前のことで、ついでに英語のかけ流しをしているわけですから、日本語の発達に影響するわけがありません。

 これに関してもう2点、付け加えておくことにしましょう。幼児期に複数言語を聞かせると、どちらも中途半端になるという説に対して、ひとつ目の反論は世の中のバイリンガルの言語能力についてあまりにも無知である点、そして、もうひとつは母語に限らず第一外国語でも構わないので CALP レベルに育てれば、言語能力において課題どころかメリットしかないという点です。

 1点目ですが、幼児期に母語を中心に複数言語を耳にして育ったバイリンガルたちは、母語は当然のこと、その他の言語も母語並みに扱えるようになります。母語並みとは、分節能力と心内表象化の能力を伴った、つまり BICS レベルの外国語運用能力を身につけられるということです。そのようなバイリンガルは、日本ではあまりお目にかかることはありません。
 しかし、これは島国の特殊なケースです。陸続きであれば、複数の言語に触れつつ育つことは珍しくありません。特に、物成の悪い地域では近隣との交易が盛んになるので、母語のみ聞いて育つ人は稀でしょう。言語の多様性と収穫時期の長さは反比例します。つまり、日本のように物成の良い地域では、その地域内で社会が完結するので、人々は定住し言語も固定します。日本はましてや島国ですから、輪をかけてその傾向が強いのです。
 従って、日本のような恵まれた特殊な環境でない限り、人間が複数の言語に接しつつ育つことは珍しいことではありません。
 2点目に関しては、アメリカを見ればわかります。あるいは、かつての植民地を見てください。言語学では、移民における彼らの母語のことをヘリテージ言語(継承語)と呼びます。移民には、移民先の言語を第一言語として使用することが求められます。しかも、移民は特に教育に熱心であることが多く、移民先の使用言語が英語なら、英語の CALP を早々に身につけ、もともとそこに住んでいるグループよりむしろ優秀であることも日常的です。
 他方で彼らは、家庭内や親戚とはヘリテージ言語で会話をします。ただし、彼らのヘリテージ言語はアカデミックな生活の中で使用されるものではないので、BICS のような基本的なレベルに留まることも、これまた珍しくありません。つまり、第一外国語のほうが母語より優れてしまうことも海外では日常的で、第一外国語を使いつつも、現地の母語話者よりも優秀であることも普通なことなのです。
 このような単純な事実から見ても、「幼児期に外国語を勉強させると母語が育たない」ので、それよりは「親が母語でしっかり語りかけてあげなさい」などとあえて主張することは無用でしかありません。加えて「英語はビデオを楽しむ程度で良い」などと専門家でもない方の口から出ると、あらあら、と思ってしまうのは私くらいでしょうか。

 もちろん、熱が入りすぎて、両親ともカタコトの英語で語りかけて、日がな一日英語のビデオばかり見せていれば、子どもの母語(日本語)が育たないのは当然です。それで英語だけでも身につけば良いのですが、ご両親の母語でない英語で、しかも、英語の環境がない日本において、そのような幼児期を過ごさせてしまえば、ダブルリミテッドになるケースもあるでしょう。以前は年に1件あるかないかで、そんなご相談を受けていましたが、最近はそんな話を聞くことはめったにないので、皆さん、常識の範囲内で英語教育を実践しているのでしょう。


その頃、パルキッズユーザーたちは…

その頃、パルキッズユーザーたちは...なぎ【×凪/▽和ぎ】: 風がやんで、波がなくなり、海面が静まること。朝凪や夕凪。「べた―」⇔時化(しけ)。(デジタル大辞泉)

 パルキッズユーザーを表すには「凪」という言葉がぴったりかもしれませんね。大しけの英語教育の荒波など他所の国の話、のんびりした南の島状態、まるでオアシスです。英語熱に浮かされることもなく、早期英語批判派の外野がワイワイ言うのもどこ吹く風、もう英語教育情報に悩まされることはないわけです。
 そして、朝起きれば「ハローハロー♪」と流れている、あるいは我が子は、登園・登校前に、ひとり黙々とオンラインレッスンを行ったり、帰ったらプリントに絵本に取り組んだりしているかもしれません。「気づけばもう2年か!」「もう4年経つから次にかけ流す教材がない?!」と感じるほどに英語が日常になっている…。まるで浦島太郎のよう。
 あるいは、開始当初はかけ流しに辟易していたご主人も、子どもの成長を見るにつけ、いつの間にか日常として受け入れるようになっているかもしれませんね。作った本人が言うのもなんですが、これほど世間離れしている英語教育システムも珍しいでしょう。しかし、これこそがインプットの極意なのですぞ、「パルキッズ」界隈の皆様方。

 そんなパルキッズユーザーには、いくつかの共通点があるようです。まず、第一に英語に対して、それほど強い思い入れを持っているわけではない点が挙げられるでしょう。英語コンプレックスから解放されているか、そもそもそんな概念に縁のない方々でしょうか。なので、自ら英語で子どもに話しかけるようなこともないでしょう。そもそもご両親が英語が苦手な場合には、つたない英語で子どもに話しかけることは、通常の精神では憚られるのが自然です。もちろん、英語ができる方もいらっしゃるようですが、日本においてわざわざ英語を使って家庭内で話をすることに対する不自然さも感じるのではないでしょうか。
 ちなみに、我が家でも一切英語を使うことはありません。もっとも、親たちが英語で話をすることを目にする機会はあるので、子どもたちも「あー、英語で話してる」と感じるでしょうし、海外旅行のときなどは、できる範囲で英語で話すような精神構造が育つようです。

 また、パルキッズユーザーには「英語を」ではなく「英語も」と感じていらっしゃる方が少なくないと思います。
 児童英語研究所は今年で設立から42年になりますが、もともと当社では幼児教室と並んで英語教室を運営していました。450名ほどの生徒を擁していましたが、メインは幼児教室で、その5割ほどが英語も並行して受講、さらには英語だけの受講生ももちろんいました。
 幼児教室では、当時「ちえ・もじ・かず」という分類でフラッシュカードで語彙を豊かにする作業、あるいは、記憶力を高める取り組みなどを行っていました。2000年に教室を閉じてオンラインに引っ越してからは、幼児教室の取り組みは一切提供しておりませんでしたが、2年ほど前から再開しています。言語学的に当時の枠組みでは収まりきらない概念もあるので、現在は「ことば・ろんり・りんり」という分類でサービスを提供しています。閑話休題。

 つまり、もともと英語しかできない子どもを育てるつもりはなく、逆に、英語だけ苦手な人もすくい上げるようなシステムで運営していました。
 特に力を入れるのは母語教育で、言語能力と論理性の高い賢い子に育て、その上で倫理観を育てることで、自己肯定感、コミュニケーション能力の高い、リーダーシップを発揮できる子どもを育てることをゴールとしています。
 おそらく、そのような “バランス感覚” で育児を考えている方に、「パルキッズ」は評価されているものだと、勝手に自負している次第です。
 いずれにしても、「他所様は他所様、我が家は我が家」で、淡々と育児を進めている方が多いのがパルキッズユーザーの特徴ではないでしょうか。

 さて、そんな「パルキッズ」とパルキッズユーザーのコミュニティーですが、もうひとつ特徴がありそうです。
 これは、私の持論でもあるのですが、なにか技能を習得したいときには自分であれこれ考えることをせずに、「信頼できる専門家を探して(紹介してもらって)そこに任せる」ことにしています。
 武家の世界などでは言われることのようですが、親は子どもの教育方針を決めたら、それぞれの技能や教科の指導は行わないことが重要です。もちろん、現代ではホームスクーリングのケースなどもありますが、基本的に子どもは親に反発するので、親が教えようとするときには、相当注意深く取り組まないと、親子関係がギクシャクしてきます。
 同時に、お忙しいご家庭では、英語を子どもに教えるなど不可能でしょう。そして、インターもなぁ、英会話も、先取りもなぁ、と感じるご家庭では「ああ、これだ!」と「パルキッズ」にピンと来るのではないでしょうか。


厳しい現実

厳しい現実 ここまでをまとめると、まず、英語に夢中で、英語しかできない子を育ててしまうケースがありました。その中に、英語が CALP で、母語の日本語が BICS のケース、あるいは両方とも BICS のダブルリミテッドのケースがあることがわかりました。
 また、対極に早期英語教育を否定するグループがありました。彼らは英語教育を学校に任せるので、結果として彼らの中のほんの一部、おそらく1%にも満たない優秀な人たちのみが英語を身につけることができ、その他の99%は CALP はおろか BICSレベルの英語も身につけられないことになるのは火を見るより明らかです。また、彼らは目標とする大学には手が届くかもしれませんが、英語の能力は BICS にも届いていないので、その後の大学院進学でもまた苦労するでしょうし、就職してからも英語に足を引っ張られることになるでしょう。
 そして、最後に「パルキッズ」のグループがあります。片手間で英語に取り組むグループですね。そもそも「英語も」やっておくという意識ですから、日本語もきちんとやれば高い国語の運用能力を身につけさせることができるでしょう。英語に関しては、小学校で英検準2級という実現可能な英語力を目標としていますし、小学校で準2級を取得できれば、中学か高校の早い段階で準1級を目指せるので、大学入試の英語はもう心配ありません。それ以外の科目に専念できるので、超難関私大は当然のこと、旧帝大も目指せるでしょう。
 また、英検準1級は、”CEFR : Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment、外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠、セファール” ではB1~B2に相当し、これは英語で大学の授業を受けられるレベルです。つまり、英語でも CALP を達成できることになります。これで、日本語も英語もCALPの素敵なバイリンガルの出来上がりです。

 世の中、英語だけではダメ、日本語だけでもダメ。どちらか一方だけでは将来の選択肢が限られるのです。日本においては、英語も日本語もバランスよく身につけていることが、将来の選択肢を狭めることなく、自ら望む道へと進めるパスポートとなるのです。


手抜きでいいの?

手抜きでいいの? 上で、うっかり「パルキッズ」は「手抜き」と書いてしまいましたが、「手抜き」と言っても、やるべきことをやらずに、いい加減に済ますという意味では、もちろんありません。重要なポイントだけを押さえて、あとは自然に任せる「手抜き」です。一生懸命英語に取り組んでいらっしゃるご家庭、あるいは英語は無用と開き直っているご家庭には申し訳ありませんが、英語はこんな「手抜き」で身につくのです。もとい、言い直しましょう。英語は「パルキッズによる」「手抜き」だからこそ「簡単に」しかも「確実に」身につけられるのです。

 先月号、先々月号と2ヶ月間にわたって、パルキッズ通信では言語習得における現代言語学の知見と、外国語習得における言語学の応用について述べてまいりました。結論としては、行動主義的な単純なパターンの記憶や構造主義的な形式的な文法やパターンの学習では言語は身につかないし、身につけられたとしても人間本来の言語使用とはかけ離れた低次の言語習得しかできないことについて述べました。さらには構造主義に心理学をかけ合わせた機能主義も、移民たちが現地で外国語を身につける学習法としては一理ありますが、英語の環境が限定的な日本においてどれだけの成果を挙げられるのかは疑問であることも述べました。
 結果として、生得主義、合理主義的な人間の本来持っている言語能力を活かして、言語環境の中から言語を身につける、つまりインプットから言語を身につける方法が最も自然であることも述べました。これは、日本人の子どもが日本語を身につけていく過程、あるいは留学生や帰国子女たちが言語を身につけていく方法とも通じています。

 この方法、つまり人間が本来持っている何らかの言語に対する学習能力を刺激して、脳が勝手に統計を取るに任せ、帰納的に外国語の体系を身につけさせていく方法に、必ず必要となるのは、外国語の環境です。「パルキッズ」で言い換えれば、「英語のインプット」ということになります。

 言語のインプットから、音素の発見、音節構造の理解、形態素の発見、意味の範疇化、そこから文法の理解へと言語能力を高めていくことは、先々月号で見てきた通りです。


インプットの質と量= i+1

インプットの質と量= i+1 それでは、何でもインプットすれば良いのかというと、そうでもないのです。英語のアニメを見せて、親の聞く英語の教材を一緒に聞かせれば良いのかというと、まったくそんな事はありません。インプットにも条件があるのです。我々は、英語を身につけさせるには「高い質と十分な量」のインプットが必要と言い続けています。これについての詳細は『パルキッズ通信2019年2月号』に譲りますが、簡単に言えば、以下のようになります。
 まず高い質ですが、子どもの脳が理解できるようなレベルと言い換えてもよいでしょう。つまり、大人の教材ではなく、身の回りの物や基礎概念などの基本語彙のインプットが重要となります。クラッシェンはこれを「i+1」と呼んでいます。’i’ とは ‘interlanguage’ の略です。’interlanguage’ とは母語から離れて発達していく外国語のスペクトルを成すレベルのことで、日本語では「中間言語」と呼ばれます。この意味では、すべての日本人がそれぞれの「中間言語」としての英語力を身につけていることになります。そして、その「中間言語」つまり、その本人が有している英語の理解力なり運用力より「+1」高度な情報を入力し続けることが重要なのです。
 「パルキッズ」では、何よりも基礎概念を含む基本語彙のインプットを重要視しています。お取り組み中の皆様ならおわかりいただけるでしょう。色、形、数、植物、動物、食べ物、衣類、家庭内に見られる物品、そこから、街の中で見られるものへとインプットを広げていきます。同時に、時間、季節、曜日や天気の概念なども日常的にインプットします。これらは、子どもの理解しやすい語の集団です。つまり ‘i+1’ の権化なのです。
 また、覚えにくいものは、楽曲や絵本の形式にしているので身につけやすくなっています。さらに母と子の家庭内会話はまさしく、子どもが成長過程で耳にする文なので理解がしやすくなっています。語や会話のインプットにはイラストも添えてあるので、直感的に理解できるようになっているのも特徴でしょう。

 量に関しては「大量」の意味と「繰り返し」の意味の、2つの側面を持っています。「大量」に関しては、インプットの語数や表現の多様さが重要となります。学校英語では、小学校の800語に加えて中学での1,600~1,800語の合計で大凡2,500語が使用されています。また、中学の教科書の地の文に使用される語数は3年間で10,000語強でした。これは大量なのでしょうか。
 「パルキッズ」では単語のインプットのみで2,400語で中学英語と同等ですが、同時に文では30,000語程を使用しています。こちらの文には単語のインプットには登場していない新規語も含まれているので、語のインプットも合計で4,000語は超えているでしょう。つまり、英検準2級レベルのインプットは十分になされているのです。
 また、それらが1日8回、月では200回以上も繰り返し耳に入ることになります。脳は繰り返しインプットされる言語情報を「必要な情報」として処理するので、この繰り返しが大切なのです。しかし、学校で学習する場合には、これほど同じものに繰り返し触れることは不可能でしょう。繰り返しが少なければ、理解に重点を置かざるを得なくなります。つまり、せいぜい5回程見聞きするだけなのであれば、文法構造や日本語での意味を理解させなければ、意味がないのです。つまり、脳に英語を分析させるのではなく、理解・あるいは記憶させようとするのです。このようにして学校英語が成り立っています。

 このような学校英語は、行動主義や構造主義、あるいは機能主義に通じています。結果として、人間が本来持っている言語の統計処理能力のスイッチを入れないままとなってしまうのです。もったいないことです。合理的に考えれば、意識下で脳に負担をかける理解・記憶より、無意識下で音声や文の構造の分析させるほうがよほど理にかなっています。また、語の意味の範疇化も単語帳方式ではなく、文脈から理解、つまり我々日本人が日本語の単語を範疇化するのと同じ方法で語彙化すればよいのです。


楽したものの一人勝ち

楽したものの一人勝ち ひとりの人間はひとつの人生しか歩むことができません。他人の人生は想像するしかありません。そして、多くの人が感じるように「自分の人生は悪くはない」という確証性バイアスが働きます。自らの選択を否定したくないのです。確証性バイアスのくびきから逃れることができれば、選択ミスを認められるようになります。人間、間違いは起こすものです。大切なのは、間違えたことを認め反省して、未来に活かすことです。
 投資も事業も、うまく行かない状態でグズグズと延命することがあります。これは損失を広げることになります。「違う」と判断したら、迷わず撤退する。他の道を探す。これが重要でしょう。

 「パルキッズ」にたどり着いた皆様は、数多くの失敗から学び、今いるところにたどり着いたのではないでしょうか。かく言う私も、英語を教える立場になって久しいのですが、アウトプットを促す、あるいは理解を促す、さらには記憶するように指導するような愚を犯してきました。その中で、インプットの重要性に気づいてからは瘧が落ちたようにスッキリ、インプット以外の指導法に思い悩むことがなくなりました。合理的に考えれば考えるほど、インプットに対する確信が深まるので、それを担保しようとアカデミアに足を踏み入れたのが現在です。

 結局、英語熱から冷めて、アウトプットなど気にすることなく、インプットを淡々と続けるご家庭が、言語学的に見ても英語習得に最も近い位置にいることになります。インプットが習慣化することで、子どもの脳が勝手に英語を統計分析にかけることになり、結果として、無意識のうちに英語を身につけてしまうことになるのです。本人すら気づかないうちにです。

 少し付け加えるとすると、学部の卒論にあたっての研究で、英語の軟口蓋鼻音のレキシカルディシジョン実験を行いました。被験者には、語末に軟口蓋鼻音を含む実在語や無意味語を聞かせて、それが英単語であるか否かを判断させました。その結果、英語の能力が高まるほどに、軟口蓋鼻音を含む無意味語に対する違和感が増大するという知覚の正確さが示されました。最も正しく知覚できるのはネイティブ英語話者のはずで、その通りの結果が出たのですが、そこに「パルキッズ」の卒業生を加えたところ、ネイティブより正確に無意味語に対する「これは英単語ではない」という評価を下していたのです。

 忙しく毎日を過ごすご家庭こそが、「楽をして」「効率よく」しかも「高いレベルの」英語を身につけられるように、判断して「パルキッズ」に取り組んでいらっしゃることだと思います。その結果が、日英両方とも CALP を達成する子どもたちとなるのです。お金をかけて、頑張って、結局英語だけの子どもに育てるのでもなく、早期英語を否定して、結果として英語に困り続ける子どもを育てるのでもない。
 インプットを継続するだけで、英語を聞き取れてそのままイメージすることができる。さらに読解力を育てれば、あとは英語で本や教科書などを読むだけで、CALP が達成できる。そんな楽な英語教育法があるのですねぇ。

 「パルキッズ」を選択された皆様の一人勝ちです。


パルキッズの成果を感じたければ

パルキッズの成果を感じたければ さて、最後になりますが、「パルキッズ」にお取り組み中の皆様に一言二言。

 まず、英検準2級ですが、焦ってはいけません。じっくり4年間入力する。これで、子どもたちは英語の分節能力と心内表象化の能力を身につけます。同時に、絵本の暗唱とプリント学習によって読力を身につけさせます。暗唱のみからで読めるようになる子もいれば、プリントから読めるようになる子もいます。これらは子どもの特性に依るので、ひと口にこっち、とは判断できません。両方試す必要があるでしょう。
 いずれにしても、そのように進めて読めるようになれば、英検受験の準備を開始しましょう。「パルキッズ」で英語の底力は十分に身についているので、読めるようにさえなれば、あっという間に準2級までは進めることになるでしょう。

 もうひとつ。「パルキッズ」の成果をより感じたければ、「パルキッズ」によって節約できた時間や資産を活用して国語の取り組みに力を入れましょう。英語を楽に身につけるということにとどまらず、それによって生まれる余裕を、すべての学力の基礎となる国語力の向上に活用するのです。
 国語力の取り組みについては「幼児教室プログラム」で語彙を豊かにすること、それに加えて理解力を高める必要があります。理解力は、基本的に絵本の読み聞かせで底上げすることができますが、さらに高い理解力、理解力の先にある論理性、さらには自己肯定感やコミュニケーション能力、あるいはリーダーシップなどを発揮できる積極的な子どもに育てるための倫理観などは「地頭力講座」を活用されるとよいでしょう。
 地頭力講座では、子どもに対する親の視座を変えることで、普段は気づかない子ども本来の素晴らしい能力が露わになる経験ができます。これにより、我が子のぐずり、モチベーションの低さ、行動の鈍さなどの原因が子どもにあるのではなく、周囲の環境にあることに気づくようになります。そこに気づきさえすれば、子育てがとても楽になり、楽になるところを通り越して、楽しくなることは間違いないでしょう。

 今回は、世の中の英語教育と「パルキッズ」の比較を行いました。正しくご理解いただき、今後とも「日々淡々」と英語のインプット、加えて国語の能力向上に努めていただくことを心から願っております。


【編集後記】

今回の記事をご覧になった方におすすめの記事をご紹介いたします。ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。
『パルキッズ』が目指すバイリンガル教育
「稼げる子」に育てるために
地頭の良い子の育て方
留学派? 国内進学派? どっちがお得?
「できない子」を「できる子」に変える方法

【注目書籍】『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)

特集イメージ9 児童英語研究所・所長、船津洋が書き下ろした『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)でご紹介しているパルキッズプログラムは、誕生してから30年、10万組の親子が実践し成果を出してきた「超効率」勉強法です。書籍でご紹介しているメソッドと教材で、私たちと一緒にお子様をバイリンガルに育てましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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