ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | 英検, 読解力育成
2018年4月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.82 | 小学5年で英検1級に合格!
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1804
船津徹「小学5年で英検1級に合格!」(株式会社 児童英語研究所、2018年)
父親の仕事に伴って5歳から8歳までの3年間をハワイで過ごしたメイちゃん(仮名)。日本に帰国後は地元の公立小学校に通っています。帰国してすぐに受けた英検準1級には楽々合格!さらにコツコツと英語力を伸ばし、小学5年生の時に英検1級に合格しました!
「アメリカで暮らしていたのなら当たり前でしょう」と思いますか?メイちゃんがアメリカで暮らしたのはたった3年間です。しかも幼稚園から小学2年までです。それだけの期間で英検1級に対応できるレベルの語彙力、文法知識、背景知識を身につけるのは難しいことです。
またメイちゃんのように小学校低学年で帰国する子どもの多くは、日本で英語を使わなくなりますから英語力が低下するのが普通なのです。ところがメイちゃんは、英語力が低下するどころか、帰国後もぐんぐん英語力を伸ばすことができたのです。なぜでしょうか?
| 英語学習のゴールはリーディング力の獲得
メイちゃんがハワイに来た時は英語力ゼロでしたが、3年間徹底的に英語のリーディングを指導しました。その結果、小学2年生の時には原書でハリーポッターが楽しめるレベルの読書力を身につけることができました。そして、日本帰国後も大好きな英語の読書を通して英語力を上達させていったのです。英語を話す環境がなくても、英語の読書をしていれば、語彙力、読解力、表現力、リスニング力、英語の全技能を伸ばしていくことができるのです。
英語を使うことが少ない日本で実用的な英語力を身につけるには「リーディング力」の獲得が不可欠です。リーディング力と言っても、日本の英語教科書が読める程度ではありません。英語ネイティブ向けに書かれた小説、たとえばハリーポッターの原書がスラスラ読めて、理解できるレベルのリーディング力です。
| 日本語で本好きに育てる
世界中のどの言語でも、高度なレベルで定着させるには、その言語で書かれた本が読めなければなりません。いくら英語が流暢に話せても、英語の本が読めなければ知識も思考も深めることはできないのです。
リーディング力を育てるには子どもを本好きに育てることが近道です。特に就学前から小学低学年にかけての読書教育が重要であり、日常的に本や活字に親しませることが大切です。日本語で構いませんので絵本の読み聞かせを毎日実践しましょう。読み聞かせは子どもを本好きにすることはもちろん、想像力を働かせて文章を理解する力(読解力)を育ててくれます。
日本語で育った読書力と読解力は言葉が英語に置き換わっても応用されます。日本語で本好きな子は英語でも本好きに育ち、日本語で読解力が高ければ英語でも高い読解力を発揮できるのです。毎日コツコツと読み聞かせを実行し、子どもを本好きに育てましょう。小さな努力の積み重ねが将来の大きな力となって子どもの英語力へと発展していくのです。
| 英語のリーディング力の育て方
具体的にどうやって英語のリーディング力を教えたらいいのでしょうか?ちなみに英語圏の子どもたちは以下の順序でリーディング力を身につけていきます。
1)フォニックス
2)サイトワーズ
3)リーディングフルエンシー
フォニックスとサイトワーズを教えると簡単な本が読めるようになります。でもいざ子どもに英語の本を与えてみると、なかなかスラスラ読めません。一つひとつの単語は読めても、単語がつながって文章になると上手に読めなくなってしまうのです。拾い読みを解消するための取り組みがリーディングフルエンシーです。スラスラ英語が読めるように、簡単な本をたくさん読ませるのです。アメリカでは小学1年生になると、毎日30分程度の読書が義務づけられます。大量の読書をすることで、英語を読むスピードを向上させ、読解力を身につけさせるためです。
| 読書スピードを高める方法は?
なかなか読書スピードが向上しないという場合は、オーディオブックと呼ばれる本の音声を聞かせることをお勧めします。オーディオCDとセットで販売されている本もありますが、最近は本の音声データだけを購入することもできます。
またYouTubeで本の朗読を無料で聞くことができます。手元にある英語の本のタイトルをYouTubeで検索してみましょう。ネイティブの朗読が見つかるもしれません。音声を見つけたら繰り返し子どもに聞かせます。小学生以上の子どもでしたら本の文字を見ながら音声を聞いたり、音声に合わせて音読させてみましょう。どの単語や表現でつまずいているのかが分かります。
世界で活躍できる子どもを育てる方法について、詳しくは「世界標準の子育て」をぜひご一読ください!
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。