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2025年3月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.164 | 難化する日本の大学受験英語

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2503
船津徹「難化する日本の大学受験英語」(株式会社 児童英語研究所、2025年)


 日本の大学受験における英語試験は、近年、傾向が変化しています。大学入学共通テストの英語は2021年度から出題内容が大きく変わりました。従来のセンター試験で見られた発音や文法知識を問う問題は廃止され、リスニングとリーディングの二技能に特化した試験へと移行しました。さらにリーディング問題では「単語数の増加」が顕著となっており、受験生にはより高い英語のリーディング力が求められ、大学受験全体における「英語試験の難化」が進んでいます。


増加する英単語数とその影響

 大学入学共通テストの英語リーディングテストでは、出題語数が年々増加し、現在は「約6000語」が標準となっています。これはセンター試験時代と比べて約1.5倍に相当し、受験生には「読解スピード」と英語を集中して読み続ける「スタミナ」が求められます。
 この出題数に対応するには、「1分間に150語」のペースで英語を読み続ける力が必要であると早稲田大学国際学術院の鈴木裕一准教授は分析しています。「1分間に150語」という読書スピードは、英語ネイティブの小学4〜5年生レベルに相当し、英語技能で言えばCEFR B2(英検準1級以上)という非常に高いハードルです。
 この英語の難化傾向は、大学入学共通テストだけでなく、慶應義塾大学や早稲田大学といったトップ私立大学の英語試験でも見られます。これらの大学では、20年前と比べて英語試験の出題語数が「2倍程度」になっており、受験生には読書スピードと読解力が求められるようになってきています。
「受験英語の難化=読む量の増加」です。この試験内容の変化に対応するには日頃から英語を「速く、正確に読む」訓練を積むことが重要です。私は20年以上にわたり日本人の「リーディング力向上」に取り組み、フルエンシー(読みの流ちょうさ)を高める方法を研究してきました。私の実践経験に加え、多くの専門家による研究結果を踏まえると、リーディング力向上には以下のプロセスが有効であることが確認されています。

1)フォニックス:英語を正しく発音できるように訓練する。
2)サイトワーズ:頻出単語を瞬時に認識できるように訓練する。
3)英語多読:速いスピードで読み、正確に理解する力を養う。

 リーディング力は短期間で身につくものではありません。継続的、かつ、段階的に英語を読む練習を積み重ねていくことが大切です。単語→フレーズ→センテンスと順を追って練習していくことで、英語の長文を読み解く力が少しずつ身についていきます。リーディング力の育成には「子ども自身の主体的な努力」が不可欠です。親の仕事は子どもの「意欲」が下がらないように英語の活字環境を整えること。そして子ども英語学習に取り組んだら「ほめる」ことです。


世界標準の「音読スピード」とは?

 英語のリーディング力(読解力)の向上に欠かせない「読書スピード」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
 アメリカの教育現場では「音読スピード」「読みミス」「読みの流ちょうさ」の三つの観点から子どものリーディングスピードを評価します。1分間で何文字読めるか、読みミスや二度読みがどのくらいあったか、流ちょうさは伴っていたか、を総合評価してWPM(Word Per Minute)を算出します。以下はアメリカの学年別「1分間に音読できる単語数」の平均値です。

小学1年:53-111wpm
小学2年:89-149wpm
小学3年:107-162wpm
小学4年:123-180wpm
小学5年:139-194wpm
小学6年:150-204wpm
Hasbrouck, J. & Tindal, G. (2017) – Brysbaert, M. (2019)

 英語を読むスピードが平均よりも遅い子どもは、単語を正確に音声化することに集中しており、内容理解まで意識が向きません。「米国立子どもの健康と発達研究所」の責任者リード・リヨン教育学博士(Reid Lyon)は、読みの流ちょうさと読解力の関係について次のように述べています。
「自転車に十分なスピードで乗らないと転ぶのと同様、読み手が十分なスピードで文字を認識できなければ、意味が失われてしまう。読んだ内容を思い出すことができず、ましてや読んだ内容を自分の経験や背景知識と関連付けることなどできない」
 英語を流ちょうに読む力は「読解力」を左右します。いうまでもなく読解力はあらゆる教科学習の土台であり、知識や思考を積み上げていく上で欠かせない力です。当然、読むスピードが遅く、読解力が弱い子どもは教科学習全般において苦労する傾向が強くなるのです。
 近年、日本の国語でも「音読が読解力を高める」ことが知られてきましたが、英語もまったく同じです。子どもの英語力を伸ばしたければ、単語の意味や文法解釈を教える以前に「音読練習」を取り入れ「読みの流ちょうさ」を鍛える取り組みを実践することが必要なのです。


どうすれば読みの流ちょうさが身につくのか?

 流ちょうに読む力というのは一昔前のロボットのようにただ早口で単語を読むことではありません。正しい発音とイントネーションが伴っていなければなりません。この力を育成するには、前述のように、まず単語を正しい発音で読めるようにしなければなりません。
 日本の小学1年生が五十音を勉強するように、フォニックスは英語圏の文字教育の入り口です。英語圏の幼稚園に入れば誰でもフォニックス指導を受けるのですが、フォニックスはルールが複雑で多くの子どもは覚えるのに苦労します。ひらがなを習い始めた子どもに親がくり返し読み方を教えてあげるように、フォニックスも家庭でのサポートが早期定着のカギとなります。
 しかし、英語が苦手という多くの親にとって英語の発音は悩みの種です。フォニックスでは「A,B,C,D,E」を「ア、ブ、ク、ド、エ」と読みますが、どれも日本語には存在しない音であり、よほど英語に堪能な親でなければ正しく発音することができません。がんばって読み方を教えても、子どもに間違った発音を身につけさせてしまっては本末転倒です。
 発音に自信がないという方はフォニックスの音声教材を利用するようにしましょう。インターネットを活用すれば世界中のフォニックス教材や欧米の教育ソフトを購入することができます。またYoutubeなどの動画サイトをフル活用して、子どもが家庭でも正しい発音を練習できるように工夫してください。


サイトワーズの効果的な指導法

 サイトワーズは英語の「頻出単語」です。本や文章で目にする頻度が高い単語であり、一目で読めることが要求される最重要単語です。サイトワーズにはいくつかの異なるリストが存在しますが、最も有名なものが「Dolch Sightwords」と呼ばれる約300単語です。
 この300単語は子ども向けの絵本から抽出されており、これらを覚えるだけで、あらゆる英語の「約65%」が読めるようになるというから驚きです。たった300語を覚えるだけで、どんな英語も半分以上読めてしまうというのですから子どもの読書力アップに活用しない手はありません。
 Dolch Sightwordsに並んで有名なリストが「Dr. Fry’s Instant Words」と呼ばれる1000単語です。こちらのリストは学校の教科書からサイトワーズを抽出しています。  ここで「Dr. Fry’s Instant Words」の頻出1から20までを紹介しましょう。「the, of, and, a, to, in, is, you, that, it, he, was, for, on, are, as, with, his, they, I」です。ご覧の通り、サイトワーズは、品詞や時制などにこだわらず、単純によく使われる単語を覚えていく学習法です。日本の英語教育では、動詞は現在形から、代名詞は単数・主格から、など文法ルールに従って単語を教えていきますが、サイトワーズの世界ではそのような制限はありません。
 アメリカの小学校では、一般に、サイトワーズをスペリングテストで指導します。日本では小学校を通して漢字テストで漢字を覚えていきますね。英語には漢字がありませんが、その代わりに、サイトワーズを書き取りで覚えていかなければならないわけです。
 ご家庭でサイトワーズを指導する場合、フラッシュカードや海外で売られているワークブックを活用してください。サイトワーズは意味を覚えさせることよりも、一目で読めることが大切です。「the, of, a, is」のような単語を無理に日本語に訳して教える必要はありません。英語習得の秘訣は、正しい発音で読めるようにすることに尽きるのです。正しく単語が読めるようになれば、多読を通して自然と意味が分かるようになります。


拾い読みからスラスラよみへ導く方法

 ひらがな五十音を覚えたての子どもは、文字を一つひとつ確認しながら慎重に発音していきますので、とてもぎこちない読み方になります。「はなのみち」を「は・な・の・み・ち」と一字一字拾って読んでも「花の道」という文章のイメージを想起することができません。
 これと同じ現象が英語の文字を習い始めた子どもにも起こります。フォニックスで単語を分解して読む方法を学ぶと、文字を一つひとつ正確に発音することに集中しますので、どうしても拾い読みになります。
 たとえば「CAT IN THE HAT」をフォニックス読みすると「ク・ア・ト・イ・ン・ザ・フ・ア・ト」となり、その意味を容易にイメージすることはできません。「キャット インザハット」と一眼で読めるようになれば、自分で読んだ音から「帽子かぶった猫のイメージ」が想起できるようになります。
 英語をスラスラ読めるようにするには、単語を意味のかたまり(チャンク)で読む練習が効果的です。日本語でたとえれば「はなの」「みち」という具合に、単語を意味のかたまりで区切って読みます。
 チャンク読みの練習として「Dr. Fry」の単語リストを活用してみましょう。以下のサイトからDr. Fryのチャンク読みリストをプリントアウトしてください。

www.readingresource.net/support-files/shortfluencyphrases.pdf

上記リストには最重要サイトワーズ300語を含むフレーズが記載されています。これを使ってチャンク読みをおうちで練習してみましょう。音声の助けがないと正しく読むことが難しいチャンクもありますが、ぜひトライしてみましょう。


英語の本を音読する

 チャンク読みの練習と平行して「やさしくて短い本=リーダーズ」の音読も取り入れましょう。英語圏の子ども向けの本には、対象学年レベル(RL)や対象年齢が記載されていますから、それらを参考に子どものレベルに合った本を選び、音読させてみましょう。くれぐれも難しすぎる本や長すぎる本を与えないように注意してください。
 リーディング・フルエンシーを身につけるには大量の「音読」が必要です。音読することによって文字を目で追うだけでなく、同時に自分の声を聞くことができるので、ストーリ理解が深まります。音読をさせる時は必ず親が聞いてあげるようにしましょう。親が寄り添い、励ますことで子どもの学習意欲が高まります。
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2503年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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