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2025年4月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.165 | フォニックスVSサイトワーズ

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2504
船津徹「フォニックスVSサイトワーズ」(株式会社 児童英語研究所、2025年)


歴史的な背景について

 「フォニックスとサイトワーズ論争」の歴史的な変遷について少し触れておきます。19世紀にはフォニックスが読み方の主な指導法でした。子どもたちは文字と音のルールを学び、一文字ずつ文字を音声化しながら単語を読むことを訓練されました。この方法は、系統的な指導と繰り返し学習を重視し、当時広く使用されていたマガフィー・リーダーズ(McGuffey Readers)などの教材を通じて指導されました。
 1920〜1930年代になると、教育学者のジョン・デューイ(John Dewey)やウィリアム・S・グレイ(William S. Gray)らが、ルック・セイ法(Look-Say method)を提唱しました。この方法は、単語をそのまま「視覚的に丸ごと覚える」ことを重視し、フォニックスのように音の分解を行いませんでした。このアプローチをベースに作られたのが、「ディック&ジェーン(Dick and Jane)」のようなバサル・リーダーズで、子どもたちは繰り返し「同じ単語を見て覚えること」で読めるようになると考えられていました。
 さらに1960〜70年代には、「ホールランゲージ(Whole Language)運動」が広まりました。これはフォニックスやサイトワーズのように「単語/部分」の読み方を教えるのではなく「文章/全体」の読み方を指導する方法です。子どもたちは「文学作品やリーダーズなどの優れた本をたくさん読む経験」を通して自然に英語の読み書きの力が習得できると考えられていました。
 ホールランゲージは英語ネイティブ(親が読みの手助けができる環境)には有効でしたが、英語を第二言語で学ぶ子ども(親が読みの手助けができない環境)にとってはハードルが高い学習方法でした。事実、1980年代になると、カリフォルニア州など、移民が多い地域を中心に、子どもの読解力の低下が問題視され始め、教育方法の見直しが求められました。
 2000年には、全米読書パネル(National Reading Panel, NRP)が大量の研究を分析し、「フォニックスを体系的に指導することが、ホールランゲージよりも効果的である」と結論づけました。これにより全米で「フォニックス中心の指導法」が推奨されるようになり、現在に至っています。


最新の研究発表によると‥

 最新(2017年)の研究(Taylor, Davis, Rastle)では、フォニックス指導が、音読の正確さを促し、読解力の向上に大きな影響を与えることが確認されています。この研究は、フォニックス学習と単語全体の意味を覚える学習(サイトワーズ)による成果の違いを比較したものです。
 研究者たちは、AIによる言語学習システムを使い、参加者がどのように新しい単語を習得するかを調査しました。調査の参加者は以下の2つの方法のいずれかで学習しました。

・フォニックス学習(文字と音の規則を使って読む)
・サイトワーズ学習(単語全体の形や意味を覚える)

 学習後、参加者に新しい単語を読ませ、理解度をテストしました。その結果、フォニックス学習をしたグループは、以下の点で大幅に優れていました。

・正確に読める:初めて見る単語でも正しく発音できた。
・意味が分かる:単語の意味をよりよく理解していた。

 この研究は、認知心理学や脳科学の分野で長年支持されてきた「フォニックスが読みの基礎になる」という考えを裏付けています。フォニックスを学ぶと、文字(綴り)・音・意味を結びつける脳のネットワークが強化され、読解力が向上するのです。
 一方、サイトワーズ法のみでは「知らない単語を推測する力」が十分に育たず、新しい言葉に対応しにくくなることがわかりました。
 この研究は、子どもの読み方指導は「フォニックスを中心に学ぶべき」であることを示しています。フォニックスを取り入れることで、子どもたちは未知の単語にも対応できる力を身につけ、読みの流ちょうさが身につき、生涯にわたる読書力の基礎を養うことができるのです。


サイトワーズは教える必要がない?

 では「サイトワーズは子どもに教える必要がないのか?」と言えばそんなことはありません。サイトワーズは「読書スピード」の向上に即効性があることがいくつかの研究によってわかっています。
 サイトワーズは「頻出単語」であり、英語の本や教科書を読む時に頻繁に目にする単語グループです。これらの最重要単語を即座に認識できるように練習することで、流ちょう性の向上に重要な役割を果たします。
 サイトワードを瞬時に認識できるようになると、ほとんどの英語がスムーズに読めるようになり、認知の焦点を単語の音声化ではなく「文章の理解」に集中させることができます。
 複数の研究により、サイトワーズの指導は、単語認識能力の向上だけでなく、読みの流ちょうさや読解力全般の向上にも貢献することが示されています。前述の全米読書パネルの調査結果でも、サイトワーズを通じて流ちょうさを向上させることが、読解力の向上に直結することが強調されています。
 これまでの「読み方指導」に関する研究結果を踏まえると、子どもに英語力を身につけさせる最高の方法は「フォニックスとサイトワーズの組み合わせ」であることがわかります。フォニックス指導だけでは流ちょうさが不足する傾向があり、サイトワーズの暗記だけでは、未知の単語を読むことが難しくなる傾向がある。互いの不足を補うためにもフォニックスとサイトワーズ、二つの学習を通して、「読みの流ちょうさ」と「正確さ」を身につけることが「英語を第二言語として学ぶ子ども」には最適の学習法です。
*私が開発した「フォニックス&サイトワーズ学習プログラム」に興味ある方はwww.tlcphonics.comを参考にしてください。フォニックスとサイトワーズを「おうち英語」で学習できるプログラムを提供しています。


サイトワーズ指導の注意点

 サイトワーズを指導する際はフラッシュカードなどを活用して効果的に覚えられるように工夫することが大切です。サイトワーズ学習は、ただ暗記するだけでは退屈になりがちですので、遊びながら学べる方法を取り入れると、子どもたちが楽しみながら覚えることができます。以下にいくつかサイトワーズ指導の取り組みを紹介します。

1:サイトワーズビンゴ
数字の代わりにサイトワーズ(the, in, of, heなど)が書かれたビンゴカードを用意する。単語を読み上げ、子どもたちはその単語を探してマークする。一列そろったら「ビンゴ!」

2:単語を叩こう!
壁やホワイトボードにサイトワーズを書いた付せんやカードを貼る。子どもにハエたたきを渡し、読み上げた単語を叩かせる。

3:サイトワーズ宝探し
部屋の中にサイトワーズを書いたカードを隠す。子どもが単語を探し、見つけたら声に出して読む。一定数の単語を見つけたらご褒美をあげる。


フォニックスとサイトワーズの次は‥

 フォニックスとサイトワーズを学ぶと、子どもはやさしい英語の本が自分の力で読めるようになります。ここからが「英語多読」で読みの流ちょうさを向上させていくプロセスです。
 家庭で「読みの流ちょうさ」を育てる場合、内容理解はひとまず横に置いておき、文章がスラスラと読めるようにサポートしてあげてください。「読みの流ちょうさ」を身につけていく過程では以下に配慮してください。

1)やさしい本を音読する(今のレベルよりも簡単な本を読む)
2)同じ本を繰り返し読む(同じ本を何度も繰り返し音読する)
3)興味に合った本を多読する(お気に入りシリーズを見つけて多読する)

 「本が嫌い!」という子どもの多くが「実力よりも難しすぎる本」を読まされています。読書力を育てるにはやさしくて短い本を「多読」する訓練が最も効果的です。今のレベルよりもさらにやさしい、数分で読み終わる短い本を読ませることで「本を一冊読めた」という成功体験を積み重ねることができます。
 また同じ本を繰り返し読むことで文脈理解を伴いながら早いスピードで読む力を育てることができます。繰り返し読んでいると登場人物やストーリーに感情移入ができるようになり、より深く本の世界を楽しめるようになります。
 やさしい本に加えて、子どもの興味や関心に合った本を探してあげることも大切です。動物や魚が好きな子、スポーツが好きな子、絵画や造形が好きな子、音楽や楽器演奏が好きな子、パズルや図形が好きな子、人と関わることが好きな子、世界の文化や不思議なことが好きな子、偉人伝が好きな子、それぞれの興味に合った(やさしい)本を選んであげましょう。
 小学生低学年くらいまでの子どもは、自分で自分の読書レベルに合った英語の本を見つけることができません。本選びを子ども任せにせず、親が子どもと一緒に図書館や書店に行き、ページをめくりながら、子どもの興味と読書レベルに合った本を探す手伝いをしてあげてください。(1ページに読めない単語が3つ以上ある場合は難しすぎる本です)
 日本語でも、英語でも、親が子どもの「読書」に付き合える期間は長くありません。一般的には「10歳前後」になると、親が「音読しなさい」「本を読みなさい」と言っても子どもは従ってくれません。黙読の方が楽だからです。そうなる前に家庭で「英語の読書教育」を実践し、子どもが流ちょうに本を楽しめる力を見つけさせてあげましょう!


英語多読は「リーダーズ」で行う

 英語の本には単語や文法が簡易化された「リーダーズ」と呼ばれる「やさしく短い本」がたくさん開発されており、ここから多読をスタートするのが成功への近道です。
 リーダーズは少しずつ難易度が上るように単語や文法に制限をつけて文章が書かれています。また各ページにはテキストの内容に沿ったイラストがありますから、英語力が弱い子どもでも(辞書なしで)内容を推察しながら読み進めていくことができます。
 リーダーズの内容は、名作文学、映画や演劇の原作、自伝、ミステリー、コメディー、SF、ノンフィクションなど多種多様であり、子どもの好みや興味に合った本を選ぶことができます。
 世界的に有名なリーダーズといえば、Pearson English Readers(旧ペンギンリーダーズ)です。Pearsonのウェブサイトでは、年齢、レベル、ジャンルなどを入力して本を検索するシステムがあります。これを活用することで子どもにベストマッチの本を見つけることができます
 Pearsonリーダーズは、単語数200語(英検4級レベル)から、単語数3000語(英語準1級レベル)まで、7レベルに分かれています。まずは今の子どもの英語レベルよりも1ランク低い本からスタートすることをお勧めします。最初から難易度の高い本にチャレンジすると挫折することが多くなります。
 Pearsonリーダーズには、英語を始めたばかりの子ども向け(幼児〜小学低学年対象)のシリーズもあります。人気アニメのキャラクターが登場する本、グリムやアンデルセン童話など、子どもに人気のストーリーが豊富にありますので、年齢の小さいお子さんの英語教育にも活用できます。
 子どもの英語教育のゴールは「CEFR B2」です。このレベルを高校までに達成できれば、日本では「英語の達人」になれます!


「強み」を生み出すノウハウを解説する本

 拙著【強みを生み出す育て方】は、強みの見つけ方・伸ばし方を、科学的エビデンスをベースに、家庭で簡単に行える35の具体的なメソッドに落とし込んだ1冊です。「この世に強みのない子など、いない。すべての子が“強みの芽”を持って生まれている!だからこそ、1人1人に合った“強み育て”が大切だ」。これが、本書でお伝えしたいことです。
 前半では、わが子が生まれながらに持つ「気質5タイプ」「才能5タイプ」と「ピッタリの習い事」を判定し「強みの芽」を見極めます。さらに、全タイプの強み育てにおいて不可欠な「やる気の引き出し方」「学業と習い事の両立方法」について具体的ノウハウを体系化しています。
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2504年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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