ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | コミュニケーション力, 読書力
2011年08月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.2 | ハワイのバイリンガル事情 その2
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1108
パルキッズ通信2011年08月号ハワイアン子育てジャーナル『 ハワイのバイリンガル事情 その2』(著)船津徹 ©株式会社 児童英語研究所
ハワイで暮らす日本人家庭に赤ちゃんが生まれました!この赤ちゃんを、将来日本語と英語が「話せる」バイリンガルに育てるのは簡単です。お母さんが日本語で豊かに語りかけ、毎日絵本の読み聞かせをすれば、2~3年で子どもは日本語の日常会話をマスターします。
子どもが3歳になり、ハワイのプリスクールに通い始めると、友だちや先生とのコミュニケーションを通して自然に英語の会話力を身につけます。そして、小学校に上がる6歳頃までには、家庭では日本語、学校では英語を流暢に話す立派なバイリンガルの完成です。
二つの言葉を自在に操る我が子を見ると、親としては何とも言えずうれしい気持ちなるものです。しかし、子どもが二カ国語を「話せる」ようになったからといってバイリンガル育児が成功したと考えるのは時期尚早です。
|昔バイリンガル、今モノリンガル
バイリンガルにまつわるこんな話を聞いたことがありませんか?海外駐在の3年間で英語ペラペラに育った子どもが、日本に帰国したとたんに英語を忘れてしまった。小さい頃は日本語を流暢に話していたのにアメリカ生活が長くなるにつれ英語が強くなり日本語が話せなくなってしまった。
幼い子どもが身につけた「会話力」というのは実に頼りなく弱々しいものです。日本は単一言語の国ですから、特に言語環境を意識しなくても、大抵の子どもは日本語を身につけ定着させることができます。しかし、海外転勤など子どもが多言語環境で育つ場合、環境の変化(言語の強弱)によっては、せっかく身につけた言葉が消えてしまうことがあるのです。
言葉を一生失うことのない能力として定着させるには「読む力」を与えることが必要です。二カ国語で話せるだけでなく、二カ国語で本が読めるようになればバイリンガル育児は大成功です。後はレベルに合った本を与えておけば、子ども自身の力でグングン言語力を伸ばしていくことができます。
|軸になる言葉を育てる
乳幼児期の子どもは環境にある刺激を何でも吸収できる優れた能力を持っています。環境に日本語と英語があれば、日本語と英語が必要なものとして子どもに身についていきます。この働きを上手に利用すれば、二カ国語が「話せる」バイリンガルに育てることはさほど難しくありません。
子どもを多言語環境で育てる場合、まず「軸になる言葉を育てる」ことが大切です。軸になる言葉とは、子どもが家族とのコミュニケーションを通して身につける言葉(つまり母語)で、対人関係、情緒力、思考力など、人間形成と学習活動の土台となるものです。軸の言葉が不安定なまま多言語環境が続くと二言語とも発達が悪い「ダブルリミテッド」状態に陥ることがあるので注意してください。
軸になる言葉を育てるには、お母さんが日本語で豊かに語りかけ、赤ちゃんとのコミュニケーションを早期に確立させることが重要です。母子の愛情溢れるふれ合いを通して言葉の土台が強固に育てば、第二言語については「音環境」を整えるだけで子どもはどんどん吸収していきます。
|コミュニケーション力を育てる
子どもをバイリンガル、あるいは国際人に育てたいと望むならば、言葉の力と同時にコミュニケーション能力を育てることが大切です。言葉はコミュニケーションの一つの「手段」でしかありません。肝心なのは人と伝え合う力、人と関わり合う力、人と理解し合える力を有していることです。どれだけ英語が得意でも人と関わり合えなければ意味がありません。コミュニケーション力の土台は家庭で作られます。親子で共に過ごす時間がある時は、テレビを消して楽しくコミュニケーションをとることを心がけましょう。
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