ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | フォニックス, プリスクール
2012年04月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.10 | ハワイのバイリンガル事情 その10~フォネミックアウェアネスとは?~
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1204
パルキッズ通信2012年04月号ハワイアン子育てジャーナル『ハワイのバイリンガル事情 その10 ~フォネミックアウェアネスとは?~』(著)船津徹 ©株式会社 児童英語研究所
アメリカで就学前教育を行なう機関は大きく分けてデイケアとプリスクールがあります。デイケアは日本で言う保育園で、0歳から5歳までの子どもを終日預けることができます。プリスクールは日本の幼稚園にあたり、2歳から5歳までの子どもがカリキュラムベースによる指導を受けることができます。プリスクールの指導内容は宗教教育重視からモンテッソーリやシュタイナー理論の実践まで各校の教育方針によって様々です。
日本では幼稚園で子どもたち、特に小学校入学をひかえた年長児に対する文字の読み書き指導が広く行なわれていますが、アメリカのプリスクールでは文字を教えることはありません。もちろんアルファベットの名前程度は歌や遊びを通して指導することはありますが、フォニックスによる系統的・段階的な文字指導はキンダーガーテンまでお預けです。
|文字学習のレディネスについて
幼児期の子どもたちにとって、文字を読んだり書いたりすることはあこがれです。しかし、ご存知の通り英語は文字と音の関係が一対一対応でないため幼い子どもにとってルールを覚えることも理解することも難しいのです。そのため多くのプリスクールでは以下のような文字学習のレディネス(準備)を育てる指導に重点を置いています。
1)英語の音感を育てる(フォネミックアウェアネス)
2)本や活字に親しませる(本の向き、読む方向など)
3)鉛筆を正しく使えるようにする(筆圧、直線、曲線、斜め線)
4)アルファベットの概念を理解させる(文字と音の関係)
| 英語の音感を育てる
文字学習のレディネスで特に重要なのが「フォネミックアウェアネス」です。 フォニックスでは単語の綴りを分解したり組み合わせたりしながら文字と音の関係を教えます。(例:CATはCとAT)つまり、フォニックスを学ぶ前提として単語の最初の音(例「C」と「G」)やライミング(例:「AT」「ET」)を聞き取れることが必要なのです。これらを聞き分ける耳が育っていない子どもにフォニックス指導を行なっても習熟度が低く効率が悪いのです。
フォネミックアウェアネスは簡単に言うと英語の音感を育てる指導です。単語の最初の音を聞き分けたり、音節に分けたり、音素をつないだり、ライミングで遊んだりする練習を通して言葉の音声構造を理解させ、読み書き学習の土台作りをします。音楽の世界では子どもが楽器を習う前に音感やリズム感を育てるための「リトミック」を指導しますね。フォネミックアウェアネスは、英語の音感を育てるリトミックだと思ってください。
|プリスクールでの指導方法
アメリカのプリスクールでは読み聞かせ、ライミング、チャンツ、マザーグースなどを用いてフォネミックアウェアネスを指導します。マザーグースの「Jack and Jill」を使った授業では「Jack and Jill went up the hill」という一節から「Jillとhill」にフォーカスを当てます。子どもたちは二つの言葉に共通する音を探すことでライミングを理解していきます。
マザーグースや遊び歌などで英語の音のリズムに慣れてくると、単語の中で音がどんな働きをもち、音がどう組み合わさって単語を作っているのかが感覚的に分かってきます。するとキンダーガーテンでフォニックスを習い始めたとき、抵抗なく音から文字の世界に入っていくことができるのです。
フォネミックアウェアネスは日本でも簡単に教えることができます。マザーグースの歌や英語の物語のかけ流しをすれば、子どもたちはごく自然に英語のリズムを身につけていきます。アメリカのプリスクールを疑似体験できる「パルキッズ・プリスクーラー」はフォネミックアウェアネスを育てる優れた教材です。
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