ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | フォネミック・アウェアネス, ライミング
2012年05月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.11 | ハワイのバイリンガル事情 その11 ~日本の英語教育で見落とされているもの~
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1205
パルキッズ通信2012年05月号ハワイアン子育てジャーナル『ハワイのバイリンガル事情 その11 ~日本の英語教育で見落とされているもの~』(著)船津徹 ©株式会社 児童英語研究所
TLC for Kidsには世界中からハワイに移り住んできた移民の子どもたちが英語を学ぶために通っています。日本、韓国、中国、台湾、シンガポール、フィリピン、、彼らに共通するのは、家庭で英語以外の言葉を話すことです。
近年アメリカの学校では移民の子どもたちが急増しており社会問題になっています。彼らの多くは十分な英語力(読み書きの力)が身につかず、学校の勉強についていくことができません。教育現場では彼らの英語力を向上させるために、あらゆる専門家が集結して、様々な方法が試されてきました。
思考錯誤の結果、効果が裏付けられた指導法の一つが、ライミングを使って英語を聞く耳を育てることに着目した「フォネミック・アウェアネス」です。フォネミック・アウェアネスは、子どもたちに文字を教える前に、英語の音やリズムに集中させる学習法であり、これを導入すると子どもたちの英語力が著しく向上することが実証されています。
|ライミングが英語のリズムを育てる
アメリカの幼児教育では、ライミング(韻を踏む)がフォネミック・アウェアネスの最初のステップとして重視されています。英語の会話力を身につけていく幼児期に、韻を踏んだわらべ歌やマザーグースなどの遊び歌に多く親しんでいる子どもほどスムーズに文字を読めるようになるからです。
世界中の言葉にはそれぞれ独特のリズムがあります。赤ちゃんは言葉を理解するよりも先に、母親からの読み聞かせや歌いかけによって言葉のリズムを身につけます。「あがりめさがりめ」「せっせっせーのよいよいよい」など日本で歌い継がれているわらべ歌があるように、世界中の国や地域には赤ちゃんに歌いかける伝統的なわらべ歌があるのです。
英語圏ではマザーグースやナーサリーライムと呼ばれるわらべ歌を通して子どもたちは英語のリズムを身につけていきます。英語の特徴である韻を踏んだリズミカルな語呂のよさは、英単語を構成する音を聞き分ける耳を鍛えてくれます。この経験が豊かなほど、フォニックスで文字を習い始めたときに、抵抗なく音から文字の世界に入っていくことができるのです。
| 日本でも英語の音感教育を!
日本の英語教育で見落とされているのがフォネミック・アウェアネスです。ライミングによって耳を鍛える指導が全く行なわれないため、英語のリズムが身につかず、英語を読む力が育ちません。音楽で言えば「音痴」の状態です。英語習得の近道は「英語を正しく読む力をつけること」であり、そのためには英語の音感やリズム作りの重要性をもっと認識することが必要です。
TLCでは、家庭で英語を話さない子どもたちが英語のリズムを身につけられるように、ライミングを多用したオリジナルの歌を使って英語の音感指導をしています。ライミングで耳を鍛える取り組みと平行して、ライミングで文字を読む練習を行なうと、複雑な英語の文字読みを、子どもたちは簡単に覚えていくことができるのです。
英語のリズム感が育てば育つほど、フォニックスはスムーズに覚えられます。耳が良い子であれば1年もすると流暢な発音で英語の本を読めるようになります。読書力が育てば語彙力、文法力、構文力、表現力など英語習得に必要に全ての技能が著しく向上していきます。
|TLCのリーディングプログラムを家庭で実践!
このたび、児童英語研究所の協力を得て、TLCのリーディングプログラムがご家庭で気軽に取り組めるようになります。英語の音感作りが難しい日本では「音声メディア」をフル活用して指導にあたる必要があります。子どもの英語耳を育てる上で不可欠な「ライミング」をふんだんに取り入れた優れた音声教材は英語圏でも数が難しかったのですが「LSS Reading Program」で全て解決です。
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