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2013年07月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.25 | クリティカルリーディングとは

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal1307/
船津徹『クリティカルリーディングとは』(株式会社 児童英語研究所、2013年)


|バイリンガルとクリティカルリーディング


アメリカの英語教育で特徴的なものが、クリティカルリーディングです。クリティカルリーディングを日本語にすると「批判的読書」となりますが、その本質は、文章を一字一句正確に理解した上で、書き手のメッセージや命題を評価・批判する主体的な読書活動のことです。
 クリティカルリーディングは、英語の授業だけで必要とされる能力ではありません。理科、社会、算数、全ての教科において情報を正しく読み取り、批判的に検討するプロセスが要求されます。アメリカではクリティカルな思考を土台とした読書技術を身につけることが「生きる力」の育成につながると考えられており、学校教育を通してクリティカルリーディングが段階的に訓練されていきます。
 クリティカルリーディングは日本人の子どもの苦手分野です。というのも、親が欧米の学校教育について知識が少ないため、家庭でサポートすることが難しいからです。

|親子の会話に気を配ること

 アメリカの子どもたちは、学校でクリティカルリーディングを教育されるまでもなく、家庭や地域社会においてクリティカルな思考を身につけていきます。学校で思考技術を学んだ親たちが子どもを教育するわけですから、子どもとの対話の中で「考える力」の育成がごく自然に行われているのです。
欧米流の思考技術を子どもに与えたければ、家庭での会話に「なぜ?」「どうして?」「もし~だったら?」を増やすようにしましょう。子どもが自問自答し、考えを言葉で説明できるように促すのです。「なぜ○○ちゃんはそう思うの?」と問えば、子どもは一生懸命答えてくれます。
 また、子どもが「なぜ?」と聞いてきたら、あいまいにせずにきちんと答えてあげてください。大人が子どもの問いかけにしっかり答えないと、子どもは考えなくなります。お母さんが分からない時は、「ママはこう思うけど○○ちゃんはどう思う?」と子どもと一緒に考えるようにしましょう。


| 読み聞かせで思考力を鍛える

 読み聞かせは考える力を育てる重要な取り組みです。読み聞かせには1)母子関係と情緒の発達、2)言葉と思考の発達、という二つの側面があります。日本人家庭で多いのが寝がけの読み聞かせですが、これは母子関係と情緒発達を強調したものです。大好きなお母さんと一緒の布団で、子どもは安心した状態でお話を聞きます。寝がけの読み聞かせは、親の愛情を伝え、情緒を育てる大切な働きかけですから必ず実践してください。
 それに加えて、子どもを活発に読書活動に参加させる、言葉と思考の発達に目を向けた読み聞かせも取り入れてください。お話を読んでいる途中でも、子どもの質問には答えます。また、親も主人公やストーリーについて質問したり、次の場面を予想させたりします。子どもは常に頭を働かせている状態で、主体的に読書に参加します。このような読み聞かせは、子どもの精神活動が活発な時間帯に行ないます。
 子どもへの質問は「オープンエンド」を心がけてください。例えば、三匹の子豚で「最初の子豚は何で家を作ったかな?」は答えが一つです。答えが決まっている質問は子どもにプレッシャーを与えます。それより「◯◯ちゃんならどんな家を作るかな?」と聞けば、子どもは自由に答えられます。オープンエンドの問いを増やすことで、豊かな発想と自分で考える習慣が育ちます。


| 子どもの自主的な積極性を伸ばす

 クリティカルリーディングを身につけるには、子どもが主体的に考え、自分の考えを表現できる資質を育てることが重要です。たとえ相手が子どもでも、独立した人格として尊重しましょう。親が子どもの言葉に耳を傾け、考えを認めてあげれば、自信を持って意見を発信できる子どもに育ちます。


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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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