ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | サイトワーズ, フォニックス
2013年12月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.30 | サイトワーズとは?
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal1312/
船津徹『サイトワーズとは?』(株式会社 児童英語研究所、2013年)
お子さんに英語教育を実践している方はサイトワーズという言葉を聞いたことがあると思います。サイトワーズは英語の頻出単語のことで、読んで字のごとく「一目で認識する単語」という意味です。サイトワーズは頻出単語であるにも関わらずフォニックスのルールに当てはまらないスペリングが多く、子どもたちは覚えるのに苦労します。
アメリカの子どもたちは幼稚園から小学校にかけてサイトワーズを学びます。多くの小学校では毎週サイトワーズのスペリングテストを実施します。日本の子どもたちが新しい漢字をドリルや漢字テストで覚えていくように、アメリカの子どもたちはスペリングテストでサイトワーズを覚えていくわけです。サイトワーズはいわば日本語の漢字学習のようなものです。
サイトワーズにはいくつかの異なったリストがありますが、アメリカの小学校で広く使われているのが「Dolch Sight Words」と呼ばれる220単語のリスト、そして「Dr Fry’s Instant Words」と呼ばれる1,000単語のリストです。これらはインターネットで入手することができますので、お子さんの英語学習にぜひ活用してください。
|サイトワーズとフォニックスの違い
Instant Wordsで最初に習う10単語は「the, of, and, a, to, as, with, his, they, I」です。大人であれば誰でも知っている簡単な単語ですが、フォニックスで文字を習っているアメリカの子どもたちにとっては読むのも書くのも結構難しいのです。なぜなら、フォニックスでは「the」は「トッ/ッハ/エ」と発音するからです。どう読んでも「ザ」という発音にはなりません。同様に「of」は「ア/フッ」、「to」は「トッ/オ」となります。 英語のリーディングが子どもにとって難しい理由の一つが、フォニックスのルールに当てはまらない綴りの単語が多く存在することです。フォニックスで読める単語は全体の約70%と言われていますから、残り30%は綴りを丸覚えしなければなりません。英語で「ひらがな」に該当するものが「フォニックス」、「漢字」に該当するものが「サイトワーズ」だと理解してください。これらの両方を学ぶことによって効率的にリーディングを身につけることができるわけです。
| フォニックスの教え方
フォニックスはアルファベット26文字の音を覚えることから始まります。学校では先生が文字を指差しながら「a, a, a, ant」(ア、ア、ア、アント)「b, b, b, bat」(ブ、ブ、ブ、バット)という要領で文字と音の関係を教えていきます。アルファベットの音で注意すべきが、母音(A E I O U)の発音です。母音には長母音(エイ、イー、アイ、オウ、ユウ)と短母音(ア、エ、イ、オ、ア)二通りの読み方がありますが、最初は短母音を教えてあげます。
アルファベットの音を一通り覚えたら、次にライム(音韻)によって3文字、4文字単語の読み方を教えていきます。代表的なライムの一つである「at/アット」を例にとって説明します。「at」の前に「b」をつけて「ブ/アット」「ブアット」。ライムを学ぶことによって「cat, fat, hat, mat, pat, rat, sat」など、たくさんの単語が簡単に読めるようになります。
日本でも知られているDr. Seussの絵本はアメリカでも子どもたちのリーディングの教科書としてよく使われます。Dr.Seussの絵本が優れている理由はサイトワーズとライムの組み合わせで文章を作っているからです。
例えば「The Cat in the Hat」は、サイトワーズの「the in」、そしてライムの「at」を使って文章を作っているので、読み書きを初めて間もない子どもでも簡単に読めるようになるわけです。
最近ではDr. Seussの他にもサイトワーズとライムを使った絵本が数多く出版されていますので、お子さんのリーディング指導に活用されてはいかがでしょうか?
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。