ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | リーディング, 読書力
2015年01月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.43 | リーディングが身につく子ども
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal1501/
船津徹『リーディングが身につく子ども』(株式会社 児童英語研究所、2015年)
アメリカの移民英語教育の大きな目標は「リーディング力」の育成です。移民の子どもたちが学校の授業に適応するためには読む力を育てることが必要です。もちろん「聞く」「話す」技能も大切ですが、アメリカで生活していれば、これらの技能は自然に身につきます。子どもたちにとって何よりも重要なのは「英語を読む力」を早期に育てることです。
ではどうしたら「リーディング力」を短期間で身につけることができるのか?今まで多くの子どもたちを指導してきましたが、すぐに英語のリーディングが身につく子がいる反面、いつまでたってもリーディングが身につかない子どもがいるのです。英語のリーディングが苦手という子どもに共通していることは「日本語の読書力が育っていない」ことです。
| 英語のリーディング力=日本語の読書力
日本語の本が嫌いという子どもが、英語の本を読みたがるはずがありません。なぜ本が嫌いかというと、スムーズに読めない→読むのに人一倍時間がかかる→読んでも意味が伴わない→本の世界を楽しめない、からです。子どもに実用的な英語力を与えたければ、まずは子どもを「本好き」に育てなければなりません。
一見遠回りのようですが、日本語の読書力が高度に育っている子ほど、第二言語である英語のリーディング力も短期間で上達させることができます。本好きの子は「文字を読むこと」つまり「活字」への抵抗感が少ないのです。日本語の読書指導でしたら、英語が苦手という両親でも教えることができますね。
読書指導で最も重要なのが「絵本の読み聞かせ」です。絵本の読み聞かせは、言葉を育て、想像力を豊かにし、子どもを本好きに育てる最良の方法です。お母さんが絵本を読んであげると、子どもは頭の中でイメージを想起し、それを自由に操作することを学びます。これが読解力や想像力となって、本の世界をより深く楽しめる資質へ発展していきます。
| 家庭でできる文字指導
日本語の読書力を育てるには「読み聞かせ」に加えて「文字指導」を家庭で行なうことが必要です。文字読みは2歳位の子どもから教えることができます。最初は「ひらがな」から教えてください。ひらがな表の文字を指差しながら「あ、い、う、え、お」と読み方を教えます。「あいうえおの歌」を歌ったり、文字カードで家族の名前を作ったり、カード取りをして遊んだり、親子で楽しみながら文字に親しむことが子どもの読む力を育てます。
文字を教える時の注意は、決してテストをしないこと。「これはなんと読むの?」などと聞いてはいけません。子どもはプライドが高く、間違えることが大嫌いですから、テストをすると文字へ拒否反応を示すようになります。当面は教えることに徹してください。
毎日欠かさず絵本の読み聞かせをしていると、子どもは絵本が大好きに育ちます。絵本が好きになり、文字への親しみが増してくると、自然と自分で本を読みたいという気持ちが生まれてきます。そのタイミングを待つことが、読書力を育てるポイントです。
| 日本語の読書力は英語力につながる
理想は4~5歳までに日本語の読書力を身につけさせること。幼児期に読書力を身につけ、本が大好きな子ども育っていれば、英語のリーディングも簡単にこなしていくことができます。日本語で文字学習を経験しているので、非常に効率良く英語のリーディングが身につくのです。
子どものリーディング力を育てるカギは乳幼児期の家庭教育です。小学生になってから慌てて「本を読みなさい」と言ってもなかなか思うようにいきません。幼い頃から両親がコツコツと読み聞かせをして、物語りの世界、空想の世界をたくさん経験させてあげてください。日本語で培われた読書力は、英語のリーディング力となって将来の子どもの学びを支えてくれます。
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。