ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | 子供の成長, 子育て論
2019年1月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.91 | 教育のゴールは?
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1812
船津徹「教育のゴールは?」(株式会社 児童英語研究所、2019年)
私(船津徹)の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』が発売になりました!子どもの個性や特性を見極め、才能へと引き上げる家庭教育について、世界中の実例と共にご紹介する一冊です。以下「まえがき」からの抜粋をご紹介します。
スポーツ選手、実業家、研究者など、社会で華々しい実績を残して活躍する人がメディアなどで取り上げた時、こんなふうに思ったことはないでしょうか。
「きっと、親が立派だったんだろう」
「どんな教育を受けたんだろうか?」
「才能のある子はどうやれば育つのだろうか?」
今、日本だけでなく世界の先進国の関心事は「教育」に向かっています。世界中の親が、子どもによりよい教育を受けてもらおうと躍起になり、情報を集め、環境を整えようとしているのです。
そもそも、教育の「ゴール」とは何でしょうか。何をもってして「教育は成功」とすればよいのでしょうか?
早稲田、慶応、東大などの難関大学に入ることでしょうか?名の知れた一流企業に就職することでしょうか?メディアに登場して有名になることでしょうか? それとも、高い年収を得ることでしょうか?様々な回答が浮かんでくると思いますが、私は、教育のゴールをこう定義しています。
「子どもが確信を持って、自分の人生を選択できるようにすること」
教育のゴールは、受験や就職などではないのです。当然、親が望む進路を歩んでもらうことでもありません。社会に出ていく子どもが、「何があっても大丈夫だ」という確信を持ち、自分の人生を突き進んでもらう。そのための準備を整えることが、教育のゴールなのです。
| 子どもの将来を決めるのは、親(あなた)
私はこれまで25年にわたって日本、アメリカ(ハワイ・ロサンジェルス)、中国(上海)で子どもの教育に関わってきました。下は1歳から上は18歳まで、4000名以上の子どもたちと、その親たちを見てきたのです。
その中で、たとえば幼い頃はキラリと光る優れた才能を見せていた子が、学年を重ねるにつれごく平凡な能力の持ち主になり、やりたいことが見つからずに何となく生きている姿。反対に、ごく普通の才能の持ち主だった子が(私たち教育者の期待をいい意味で裏切り)社会的成功を収め、壮大な夢に向かって突き進んでいる姿。子どもが育つ過程と、その親の様子を見てきました。
一体、この「差」はどこから生じるのでしょうか?
その決定的な要因は、血筋や遺伝などではありません。また、子どもが生まれ持った才能で決まるものでもありません。その要因は何よりも「親のあり方(行動)」なのです。
| この世に才能のない子など、一人もいない
「うちの子は才能がない」「パッとしない」などと言う親がいますが、それは違います。この世に才能のない子など、ただの一人もいません。誰もが輝かせるべき才能の芽を持っているのです。他の子どもとは違ったところ、目立っているところ、興味の強いこと、必ず一つ以上は持っています。
しかし、親がその芽に気づいていない、あるいは、子どもの本当の才能を無視した教育を続けていると、子どもは自分らしさをどんどん失っていくのです。
私自身、数々の「天才」と呼ばれる子どもを見てきましたが、小さな時から圧倒的に秀でている、という子どもはほとんどいません(先天的に天才という子どもは体感としては500人に一人くらいです)。多くの場合、家庭での過ごし方で後天的に才能を開花させ、結果として「天才」と言われるようになるのです。
私のもとにも、日々「うちの子どもがやる気がない」「うちの子には特技がない」と悩みが寄せられますが、問題の本質は「子どものあり方」ではありません。
親の習慣、親の態度、親の関わり方がすべてを決めています。
| 優秀な子を育てる親の共通点とは?
子どものやる気がないのは、子どものやる気をつぶす行動をとってきたから。特技がないのは、子どもの本質に向き合い、子どもの長所を引き出していないからです。親の行動次第で、どんな子どもも天才になれますし、どれだけ才能がある子どもでも、親があり方を間違えれば自己肯定感の低い子どもにも育ってしまいます。「パッとしない」「平凡」「普通」と言われながら育った子どもは、当然ながら自分の才能にふたをし、そのとおりの子どもになってしまうのです。
では、優秀な子どもを育てる親は、どんなことをしているのでしょうか? そこには、驚くほどの共通点があります。不思議なことに、住む国や地域、親の経済力や学歴、人種などは関係ありません。たとえば、
・勉強しなさいと言わない
・勉強は学校や塾任せにせず、家庭で親が教えている
・どんな小さなことも、子どもに選択をさせている
・習い事を全力でさせている
・習い事では、親が子どものレベルの底上げをサポートしている
・食事中の雑談を大切にしている
・子どもに考えさせる質問をしている
・ボードゲームやカードゲームで遊んでいる
・本を好きにさせ、興味を引き出している
などといったことです。実はこれらは、科学的に見ても理にかなっていることであり、なぜいいかという理由も明確にあるのです。まだ、遅くはありません。どんな子どもにも才能と強みがあり、親がそれを信じていけば、子どもは必ず才能を発揮して社会で自分らしい人生を歩んでいけます。
教育の制度が問題の本質なのではありません。また、学校や塾が問題なのではありません。すべては、親である。このことを胸に読み進めていただけたら、きっと子どもたちは素晴らしい人生を送るようになります。
| 英語の本が読めるようになるには…
リーディング力を身につけるためには、適切な順序でリーディングを指導することが大切です。まずはアルファベット26文字の正しい発音を教え、三文字単語、四文字単語、五文字単語と順に読み方を教え、サイトワーズと呼ばれる頻出単語を指導します。さらに頻出フレーズの読み方(単語をつなげて読む方法)を指導して、ようやく簡単な文章が読めるようになります。
アルファベットからスタートして初級レベルの英語の本が読めるようになるまでに平均で2年かかります。ひらがなから始めて日本語の本をスラスラ読めるようになるのに2年程度かかるのと同じことです。
英語の本が読めるようになるまでに2年。そこから毎日30分のリーディング練習を4〜5年間継続することで読書スピードと内容理解を伴う高度なリーディング力(リーディングフルエンシー)を定着させることができます。
【編集部より】
船津徹先生の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』全国書店で発売中です。英語力の育て方、地頭を強くする方法、STEM(理数系)の伸ばし方、子どもの特性を「才能」へと引き上げる方法について、世界中の優秀な子どもたちの実例と共に紹介している一冊です。才能のない子など、この世に一人もいません。いかに才能を開花させるかが、親の腕の見せ所です。
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。