ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | サイトワーズ, 読解力
2023年11月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.148 | サイトワーズを攻略しよう!
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2311
船津徹「サイトワーズを攻略しよう!」(株式会社 児童英語研究所、2023年)
お子さんに英語教育を実践している方は「サイトワーズ」という言葉を聞いたことがあると思います。サイトワーズは英語の頻出単語のことで、読んで字のごとく「一目で認識する単語」という意味です。英語の本でよく出てくる最重要単語ですから、たとえば「doctor」を「ド・ク・ター」と拾い読むのではなく、「ドクター」と瞬時に読めることが大切です。
アメリカの子どもたちは幼稚園から小学低学年にかけてサイトワーズを1000語程度学びます。学校では毎週スペリングテストを行ってサイトワーズを丸暗記させるのが一般的です。日本の小学生が、毎週、漢字をドリルや漢字テストで覚えていくように、アメリカの子どもたちは誰もがサイトワーズを覚えていくのです。
サイトワーズは1000語が最初の目標!
サイトワーズにはいくつかのリストがあります。最も有名なのが「ドルチサイトワーズ/Dolch Sight Words」です。これは子ども向けの絵本でよく使われる単語220語に名詞95語を加えた合計315語の単語リストです。ドルチサイトワーズを覚えると、子ども向けの絵本の「約70%」が読めると言われています。
「The Cat in the Hat」や「Green Eggs and Ham」で世界的に有名なDr. Seussの絵本シリーズはドルチサイトワーズが読めれば、ほぼ(75〜90%)読めるようにストーリーが作られています。
ではドルチサイトワーズを覚えれば、あらゆる英語の本が読めるようになるか?といえば、そう簡単にはいきません。子どもが小学校になると、それまでの「生活単語」から「学習単語」へとボキャブラリーの幅を広げていかなければなりません。ドルチサイトワーズは日常レベルの単語はカバーしていますが、教科書に出てくるような「学習単語」までは網羅していないのです。
この問題を解決するために作られたサイトワーズリストが「Fry Words List」です。このリストには小学〜高校1年生までの「教科書で頻出する1000単語」がまとめられています。この1000単語を学習することで、あらゆる活字化された英語(本、教科書、新聞、雑誌、ウェブサイトなど)の「90%以上」が読めるようになると言われています。
日常的に英語を話す必要がない日本で英語を身につけるには、英語を読む訓練が最も効果的です。そして英語を読むためには、サイトワーズ(Fry Words Listの1000単語)を瞬時に読めるように訓練することが必要なのです。
サイトワーズ学習を取り入れることで、フォニックスで起こりがちな「拾い読み」を解消し、リーディングフルエンシー(流ちょうに読む力)を効果的に身につけることができます。
サイトワーズ学習と文法ルール
サイトワーズは、文法ルールとは無関係に、よく使う単語をよく使う順に覚えていくシンプルな学習です。学校英語のように文法ルールに則ったカリキュラムですと単語の指導順序が文法ルールによって決定します。たとえば、sayという動詞であれば、現在形(say)→過去形(said)→過去分詞(said)というように文法ルール順で指導します。
しかし、サイトワーズは文法ルールとは無関係ですから「said」→「says」→「say」というように使用頻度が高い順に指導していきます。「I said」「he said」「they said」あるいは「he says」「she says」「it says」などは非常によく使われる表現ですが、「I say」のように「say」を現在形・一人称で使うことは、肯定文においては、多くありません。
同様に、英語では「前置詞」がよく使われますので、サイトワーズ学習では初期の段階で「of, to, in, for, on, as, with, at, from, by, up, out, through」などの前置詞をたくさん学びます。前置詞は日本人にとってマスターするのが難しい領域の一つですから、後回しにせず、早い段階で指導し、用法に慣れておくことが好ましいといえます。
指導すると言っても、サイトワーズ学習は「丸暗記が基本」ですから、前置詞の使い方を日本語で説明したり日本語に訳して教える必要はありません。まずは前置詞を一目で読めるように練習する。そして、次のステップとして前置詞を含む簡単なフレーズやセンテンスを読む練習をします。
たとえば「The cat in a hat sat on the mat by the rat.」というイラスト付きの文章を読むことで「帽子をかぶった猫が、マットの上で、ネズミの横に座っている」というイメージと前置詞の意味をリンクさせることができます。すると日本語で説明することなく「in」「on」「by」などの前置詞の用法を英語のまま、イメージ的に理解できるようになります。
サイトワーズは英語を読む力(流ちょうさ)を劇的に向上させる効果があることはもちろん、文法法則の理解を促し、英語を英語で理解できる力を育成できる優れた学習ツールなのです。
サイトワーズの問題点
Fry Words Listで最初に習う10単語は「the, of, and, a, to, as, with, his, they, I」です。大人であれば誰でも読める簡単な単語ですが、フォニックスを習っている子どもにとっては正しく読むのは結構難しいのです。なぜなら、フォニックスでは「the」は「ト/ハ/エ」となるからです。どう読んでも「ザ」という発音にはなりません。同様に「of」は「オフッ」、「to」は「トゥオ」、「as」は「アス」となってしまいます。
サイトワーズの多くは頻出単語であるにも関わらず「フォニックスのルールに当てはまらない」ため、簡単には読めないのです。ですから、サイトワーズを学習するときは、フォニックスのように拾い読み方式ではなく、一目で認識できるように繰り返し音読練習をしなければなりません。
家庭ではフラッシュカードを作ってカルタ取りをしたり、神経衰弱をしたり、できるだけ楽しくサイトワーズを学べるように工夫することが大切です。筆圧がついている年齢の子どもであればサイトワーズの「書き取り」をさせても構いませんが、綴りの正確さや文字の美しさにこだわらない方が懸命です。今はスマートフォンやタブレットで使えるサイトワーズアプリやゲームもたくさん販売されていますので必要に応じて活用してください。
子どもの英語学習の原則は「英語を英語で学ぶ」です。この原則はサイトワーズ学習にも当てはまります。ポイントは「正しく読める」ことです。意味を覚えることよりも、まずは「正しく読めること」を優先してください。
サイトワーズは丸暗記が原則であり、多くの子どもは「書き取り」で綴りを覚えていきます。「書き取り」は大多数の子どもにとって楽しい学習ではありませんから、親の励ましが重要です。少々面倒ですが、フラッシュカードやアプリを使って「サイトワーズが読める」ようにサポートしてあげましょう。
さらに「サイトワーズが読めるようになると英語の本が読める」ということを実感させてあげてください。次に紹介するようなサイトワーズ絵本を読ませて、自分で英語が読める喜びを体験させてあげましょう。
【サイトワーズ絵本】
「Bob Booksシリーズ」Bobby Lynn Maslen
「Sight Words Readers」Scholastic社
これらは日本のamazonで購入できますのでぜひ活用してください。
サイトワーズを「毎日5分」の動画レッスンで学ぶ
私が開発したTLCフォニックスは「毎日5分のオンライン学習」で「フォニックス」と「サイトワーズ」を系統的に学んでいくことができます。
ビギナーコースでは「フォニックス」の基本であるアルファベット26文字の発音と英語を英語で理解するために不可欠な「生活単語」を集中学習します。
インターミディエットコースでは3〜5文字フォニックスに加えて「ドルチサイトワーズ」とサイトワーズフレーズ、さらに「学習単語」を学びます。
アドバンスコースでは5文字〜10文字フォニックスに加えてFry Words720語と頻出フレーズ、短い物語のリーディングを学習します。
以下にTLCフォニックスに取り組んだ保護者の声をいくつかご紹介します。
「ビギナーコースを始めた頃は、アルファベットでの動物や体の名称など、簡単な名詞も聞いたり読んだことがない状態で始めましたが、終えるころには、英語で動物の名前が言えるようになったり、アルファベットで簡単な単語を書けるようになりました。英語を学んだことで、日本の絵本ではあまりなじみがないけれど、英語の絵本にはよく出てくる動物の種類や表現など、知識や視野を広げることができて楽しかったです。ワークシートに色塗りしたり、工作に使うなど、遊びの延長で楽しみながら毎日取り組むことができてよかったです。
インターミディエイトコースに進んだ頃に、ようやく毎日の習慣化ができてきて、自分から進んで取り組むようになりました。TLCフォニックスに取り組んだ後に、英語のアニメのYouTubeをご褒美として見るのが日々の楽しみになっていて、外を歩いていて英語の看板の文字を読んだり、英語の絵本の読み聞かせするのも嬉しそうでした。
アドバンスコースの頃には、子ども1人でも取り組みを行うようになりました。大人でも知らない単語や難しいストーリーも出てくるようになりましたが、子どもの方が理解が早く驚きました。イソップ物語などの教訓を知ることができたり、音読や辞書を引く習慣も身について本当に良かったです。英語力を伸ばすことができただけでなく、子どもと向き合う濃い時間を過ごせたこと、良い習慣を身に付けることができたこと、自己肯定感を育むきっかけを得られたこともとても良かったです!」
「最初は、1日5分のみで良いの?と半信半疑でしたが、毎日取り組むにはちょうど良い量でした。フォニックスやサイトワーズが繰り返し出てきて、反復練習になっている仕組みやポスターのように部屋に貼って眺めることができる教材がとても良いなと感じます。クイズやワークもゲーム感覚で楽しみながら学ぶことができ、全問正解すると達成感が得られるので、子どもがすごく喜んでいました。半年、1年と続けていくうちに、子どもも親も英語が聞き取れるようになり、発音が良くなるなど、だんだんと英語が理解できるようになっているのを実感しました。TLCにフォニックス取り組むまでは、フォニックスやサイトワーズから学ぶということを知らなかったので、ネイティブ講師から英会話を学んでも上達せずに悩んでいましたが、オンライン動画で毎日5分学ぶのみで英語力がついて、本当に驚きました。日本語のみの環境にいても、使える英語を身に付ける方法があると分かって、TLCフォニックスに出会えて本当に良かったです!」
「TLCフォニックスは①動画視聴②クイズ③ワークシート2枚の3step+音声かけ流しとシンプルでわかりやすいです。メジャーな英語教材を買ったけど、どこから始めたらよいのかわからず、使いこなせないというよう事が無いので、英語学習の習慣化もハードルが低く続けられます。朝からTLCフォニックスのレッスンを受けていると、夫が「朝から英語のお勉強して偉いね。」と子どもをほめますが、子どもはきょとんとしています。当人には勉強しているという感覚がなく、歌って踊って、クイズに答えるのが楽しいようです。歌はネイティブのナチュラルスピードで速いのですが、日を追うごとに歌えるようになり、英語特有のリズムも習得しつつあります。」
TLCフォニックスでサイトワーズをマスターしよう!
サイトワーズを学習して英語を早いスピードで読める「リーディング力」を身につけることが高い英語力に直結します。現在お子様に英語教育を実践している方は、「英会話」で英語教育を終わらせずに「リーディング力の育成」に目を向けることを強くお勧めします。
TLCフォニックスは英語多読の基礎教材として世界中の子どもたちに活用されています。正しい発音で英語の本がスラスラ読めるようになれば、日本国内で高度な英語力を実現することが可能です。ご興味ある方は無料トライアルにお申し込みください。
【編集部より】
船津徹先生の新著『失敗に負けない「強い心」が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)全国書店にて発売中。困難に負けない「心の強い子」の育て方を詳しく紹介する一冊です。ポストコロナを生き抜くたくましい子どもを育てる知恵が満載です。ぜひご一読ください。▶︎詳細・お申し込みはこちらをクリック
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2311年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。