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2024年3月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.152 | 一道万芸に通ず

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2403
船津徹「一道万芸に通ず」(株式会社 児童英語研究所、2024年)


 花巻東高校野球部の佐々木倫太郎選手が米スタンフォード大学に全額返済不要の奨学金(フルスカラシップ)を得て進学することが話題になっています。学費と寮費(食費)は100%大学負担。さらに英語や学業のサポートも無料で受けることができます。学費だけで5000万円(4年間分)かかる高額なアメリカの大学ですが、佐々木選手のように「一芸に秀でる学生」はスカラシップを得てトップ大学の学位を得ることも夢ではないのです。
 『一道万芸に通ず』は剣豪宮本武蔵の言葉です。一つの道を極めた人は、万の芸を極めることができるという意味です。一つのことを極めていくプロセスで他の分野にも通じる原理原則が理解できる。だからいかなる技能も短期間で習得できるようになる。きっと佐々木選手は野球を通して培った精神で英語も学業も克服していくことでしょう。
 今の子どもたちが生きていく社会は、AIやビッグデータをはじめとする様々なテクノロジーが急速に進化を遂げている時代です。そんな予測不可能な時代を生き抜くために必要なスキルは「一つのことをやり抜く経験」で育ちます。学生時代にスポーツや音楽などに本気で取り組むことで、洞察力、問題解決力、継続力、コミュニケーション力、レジリエンスなど社会で成功するための資質(非認知能力)が身につくのです。


オリンピック金メダリストでスタンフォードに飛び級合格!

 2022年の北京冬季オリンピック、フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを獲得した若干18歳のアイリーン・グー選手。米国人の父親と中国人の母親を持ち、米国で育ったグー選手は、母親の祖国である中国のために戦うことを決意、中国代表としてメダル獲得に貢献しました。
 グー選手のすごさはスキー技術だけではありません。米国の大学進学適性試験(SAT)は1600満点中1580点を獲得。高校を飛び級で卒業し、世界最難関と言われるスタンフォード大学に合格しています。さらにそのルックスを活かしてモデル業にも従事。ルイ・ヴィトンやティファニーの広告に登場するなど「天は二物も三物も与えた」スーパーガールなのです。
 なぜアイリーン・グー選手が文武両道を実現できたのか。私はその答えの一つに競技スポーツを通して培われた「メンタルタフネス」があると考えています。グー選手はフリースタイルスキーの他にも陸上競技やロッククライミングでもトップレベルの実力者だそうです。
 スポーツの真剣に取り組むことで「目標に向かってがんばる」という意欲が育ちます。またスポーツで得られる成功体験を通して「自信」を大きくすることができます。さらに、競争を経験することで失敗や敗北をバネに飛躍する「レジリエンス」が身につきますから、勉強にも粘り強く立ち向かうことができるようになるのです。
 アイリーン・グー選手のように、文武両道を実践している子どもは、スポーツも、勉強も高いレベルで頑張れるようになります。「周りにできることが自分にできないはずがない」という自信に裏付けられたメンタルタフネスがあるから、高い目標に向かって自発的な努力を継続することができるのです。
 また本気で打ち込んでいることがあると、日歩の宿題や受験勉強などの「やるべきこと」はさっさと終わらせるようになります。打ち込んでいることを思い切りしたいから、自分の時間を切り盛りする「タイムマネージメント能力」が身につくのです。


学生の「情熱」を見極めるアメリカのAO入試

 UCLAやUCバークレーなどで知られるカリフォルニア大学システムがSATやACTと呼ばれる「学力テスト」を入学選考から撤廃したことはご存知の方も多いと思います。この動きに追随するように、2021年現在、全米約5300大学のうち、入学考査から学力テストを「完全撤廃」した大学が1830校、学力テストの受験をオプション(任意)とする大学が1400校にのぼっています。 学力テストに代わって合否を決定づけるカギとして注目されてきたのが「あなたの強みは何ですか?」「あなたが打ち込んできたことは何ですか?」「あなたが得意なことは何ですか?」という問いに対する学生の「答え」です。
 ちなみに「打ち込んできたことは受験勉強です」という答えでは、アメリカの大学に合格することはできません。自分の情熱が勉強であれば、どの分野の勉強が好きで、高校時代にどれだけ深く掘り下げてきたのか、どんなチャレンジをしてどんな実績を上げたのか、具体的なエピソードを明示しなければなりません。
 アメリカの大学受験は、原則、全てAO入試です。高校時代の成績、先生の推薦状、課外活動の実績、そしてエッセイを総合的に評価して合否を決定します。中でも重要度が高まっているのがエッセイです。エッセイというのは、与えられたトピックについて(指定された文字数で)自分の思いを書き綴る自由作文です。
 トピックは「失敗から学んだ経験」「時間を忘れて夢中になったこと」「人生で一番難しい選択をしたこと」「今現在の人生のゴールは?」など様々ですが、ポイントは、自分はどんなことに打ち込んできたのか、大学で何を学び、どんな経験をし、将来どんな道に進みたいのか、という「自分の情熱」をストーリーに織り込み、大学側に自分という人間の「伸び代」をアピールことです。
 異なる文化や価値観の衝突が「新たな価値」を生む。多様性を重視するアメリカの大学は、「勉強全般が得意!」という似たような学生を集めるのでなく、スポーツ、音楽、アートなど多様な分野で「一芸に秀でる学生」をキャンパスに取り込むことで「新たな価値」を創造しようとしているのです。
 日本でもアメリカ式の「AO入試」を取り入れる大学が増えています。2006年にAO入試を実施する大学は425大学でしたが、2019年には528大学で、国立大学の70.7%、私立大学の84%、短期大学の90%がAO入試を導入しています。今後のこの流れは加速し、日本の大学入試も入学テストから「人間力」へと評価基準がシフトしていくことが予想されます。


勉強だけだと「燃え尽きる」可能性が高くなる

 勉強だけに偏っている子どもは、学年が上がり、世界が広がり、競争のレベルが高くなり、自分よりも優れた人に出会ったり、敗北を経験した時に挫折しやすく、燃え尽きやすくなります。
 どれだけ勉強が得意でも必ず上には上がいます。勉強は全ての子どもがやることなので競争のレベルが高く、簡単に一番にはなれないのです。クラスで一番でも、学年で一番ではありません。学年で一番でも学校で一番ではありません。学校で一番でも市町村で一番ではありません。勉強は分母が大きい(全ての子どもがやる)ので、上に行けばいくほど競争が熾烈になるのです。
 世界一教育熱心と言われるのが儒教の影響が根強く残る韓国です。韓国では1997年の通貨危機後に「海外留学ブーム」が起きました。裕福層を中心に子どもを英語圏へ留学させることがトレンドとなり、ピークの2006年には、全学齢期の子どもの「38%が留学経験者」という大変大きな数字となりました。
 親が競い合って子どもに英語教育を行った結果、アメリカのトップ大学へ進学する韓国人学生が急増しました。2013年のハーバード大学(大学院含む)の国別在籍者数を見ると韓国人は293名で、中国(722名)、カナダ(568名)に次ぐ第3位となっています。(同年の日本人在籍者数は88名)
 ところが、ここに思わぬ落とし穴がありました。アメリカのトップ大学に通う韓国人学生のうち「44%がドロップアウト(途中退学)」してしまったのです。世界のトップ大学に合格したことで目標を失い、さらなる学習への意欲を失ってしてしまう、いわゆる「燃え尽き症候群」と呼ばれる現象です。
 世界中から優秀な人材が集まるアメリカのトップ大学は、入学するのも難しいですが、それ以上に卒業するのが大変です。合格後にさらに激化する世界のエリートたちとの競争に心が折れ、勉強へのモチベーションが湧かず、「自分はアメリカではやっていけない」と自信喪失してしまったのです。
 日本でも中学受験が盛んになる一方で、入学後に成績が下がり続ける「燃え尽き症候群」が社会問題化してきています。燃え尽き症候群は第一志望校に合格した場合でも起こります。志望校合格というゴールに到達したことで、その先の目標を見失ってしまう、あるいは、激化する競争にメンタル面がついていけなくなるのです。
 裕福な家庭の子どもは質の高い教育を受けることができますが、同時にハイレベルの競争に巻き込まれます。親が「勉強だけ」に気を取られて、メンタル面を鍛えることを疎かにしてしまうと、受験後に、子どもが燃え尽き症候群に陥る可能性が高くなってしまうのです。


学業と習い事の両立でタイムマネージメント能力が身に付く

 日々の勉強に加えて課外活動に「本気で」取り組むことは並大抵の努力ではありません。多くの親は「子どもがかわいそう」「詰め込みすぎて燃え尽きるのでは」と不安に思うでしょう。しかし、勉強と習い事を両立させることで「タイムマネージメント能力」が身につき、両者を高いレベルに引き上げる「相乗効果」が実現できるのです。
 タイムマネージメント能力とは、限られた時間を有効に使い、生産性を最大限に上げる力です。簡単そうですが、多くの子ども(大人も)にこの力が身についていません。勉強していても他のことを考えている。周りのことに気が散って勉強に集中できない。ただ機械的に記憶したり、問題を解いたり、ノートに書き写しているだけで「思考停止」している。このようにダラダラ勉強する子どもが実に多いのです。
 机に向かって勉強しているように見えても、実際には学習効果はそれほど上がっていない。なぜこれが起きるのかと言えば、「時間の価値」を理解できていないからです。後でやればいい、後で理解できればいい、後で解決すればいい、後で覚えればいい。「時間が限られていること」を実感させてあげないと、その場でできることを後回しにする習慣がついてしまうのです。
 勉強と習い事を両立させている子に共通するのが「聞く力」が高いことです。先生の話をよく聞いて、学習内容を「その場で理解しよう」「その場で記憶しよう」と真剣です。習い事に本気で取り組んでいる子は時間がありませんから、限られた時間の中で最大限の効果を得ようと、授業中も集中しているのです。
 またタイムマネージメント能力が身に付いてくると、学力を自分の力で積み上げられるようになります。学校や塾の先生に頼るよりも、自分で問題解決する方が早いからです。何がわからないのかを分析し、どうしたらわかるのかを考え、インターネットなどの情報を駆使して、自分で解決していけるようになります。
 この力がどうして育つのかと言えば、学業と習い事との両立で「忙しいから」です。忙しいから授業に集中する。忙しいからその場で理解する。忙しいからその瞬間を大切にする習慣が身に付くのです。子ども時代に培ったタイムマネージメント能力は、一生を通して子どもの技能を高いレベルに引き上げてくれます。


「苦手の克服」よりも「強み作り」が伸びる子を育てる

「苦手の克服」よりも「強み作り」が伸びる子を育てる 世界的ベストセラーとなった「グリッド(やり抜く力)」の著者、ペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワース教授(Angela Duckworth)は、『自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる。成功者たちは、自らの目標に向かって努力することに喜びや意義を感じている。だから彼らは尽きぬ興味と子どものような好奇心を持って「この仕事が好きだ」と言う。』と述べています。
 ポジティブ心理学の第一人者、メルボルン大学のリー・ウォーターズ教授(Lea Waters)は、著書「ストレングススイッチ/Strength Switch」で『弱点、苦手分野に目を向け、それらを克服しようとするのは、人が進化の過程で生き残るために獲得した本能だが、そこには大きな落とし穴がある。子どもの足りない部分を意識するあまり「強み」を忘れてしまうからだ。しかし、その習性を逆に生かし、子どもの長所を探してさらに伸ばす戦略を取れば、真の才能が覚醒する』と述べています。
 両研究者は、子どもが自分の「やりたいこと」や「長所」を突き詰めていくことが、「自発的なやる気」につながり、自分らしく自己実現していく原動力になる点を強調しています。
 子育てや教育に関わっていると、どうしても子どもの「悪い面」「ダメな部分」「周囲より劣る所」が目につくようになります。しかし、「良い面」と「悪い面」はコインの表と裏の関係であり、一つの心の働きなのです。問題は親や指導者が「どちらに目を向けるか」です。
 たとえば、「落ち着きがない」は、多くの親に共通する悩みですが、「活発でやる気がある」、「好奇心が旺盛」という「強み」でもあります。「落ち着きのなさ」を「強み」と捉え、活発な運動が要求されるスポーツに参加させたり、幅広い好奇心を刺激するような遊びや学びの環境を用意してあげると、それまで見えなかった子どもの「強み」が覚醒してくるのです。
 良い面に目を向け、伸ばしてあげると、相対的に「弱み」は目立たなくなっていきます。もちろん「落ち着きのなさ」が子どもから消えてなくなることはありませんが、強みが大きくなる分、弱みは小さく、目立たなくなるのです。
 勉強も同様で、「国語が得意だけど算数が苦手」という子どもには「国語」をさらに勉強させて「モチベーション」を高めてあげると、結果として「算数の克服」にもつながっていきます。ざっくりですが、「国語8:算数2」くらいの割合で取り組ませ、国語でずば抜けさせてあげると「自信」が大きくなります。すると、「算数にも挑戦してみるか!」という「意欲」が湧き上がってくるのです。


「強み」を生み出すノウハウを解説する本

 拙著【強みを生み出す育て方】は、強みの見つけ方・伸ばし方を、科学的エビデンスをベースに、家庭で簡単に行える35の具体的なメソッドに落とし込んだ1冊です。「この世に強みのない子など、いない。すべての子が“強みの芽”を持って生まれている!だからこそ、1人1人に合った“強み育て”が大切だ」。これが、本書でお伝えしたいことです。
 前半では、わが子が生まれながらに持つ「気質5タイプ」「才能5タイプ」と「ピッタリの習い事」を判定し「強みの芽」を見極めます。さらに、全タイプの強み育てにおいて不可欠な「やる気の引き出し方」「学業と習い事の両立方法」について具体的ノウハウを体系化しています。
 幼児から小学生のお子さんを育てている方、子どもの「強み」がわからない、どんな習い事が向いているのかわからない、何が得意なのかわからないという方におすすめです!ぜひご一読ください。将来、お子さんが佐々木倫太郎選手のようにスカラシップを得てアメリカのトップ大学へ進学するかもしれません! 『強みを生み出す育て方』ご購入は以下から

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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2403年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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