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2024年4月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.153 | 生活英語力と学習英語力

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2404
船津徹「生活英語力と学習英語力」(株式会社 児童英語研究所、2024年)


 ハワイで生まれ育ったタロウ君。両親は日本人です。家庭では日本語を話し、 学校(プリスクール)では英語を話すバイリンガル環境で育ちました。ハワイの小学校に上がる6歳の頃には、日本語と英語を流ちょうに「話すことができるバイリンガル」に成長しました。
 そんなタロウ君がハワイの小学校に通い始めて1ヶ月ほど経ったある日、担任の先生からお母さんに電話がありました。
「タロウ君は英語力が弱いので授業についていけません。放課後に英語の補習を受けることはできませんか?」
 お母さんはびっくりして反論します。
「タロウは英語ぺらぺらです。なぜ授業についていけないのですか?」
 先生は答えました。
「英語の会話力には問題ありません。でも、英語の読み書きの力が足りないので授業についていけないのです」
 お母さんは呆然としてしまいました。英語が流ちょうに「話せるバイリンガル」に成長したタロウ君を見て、英語はもう身についたから大丈夫。学校の授業にも問題なくついていけるだろうと「思い込んでいた」のです。


会話だけでは高度な言語力は身につかない

 グローバル化の進行に伴い、日本の学校にも外国人の子どもが増えました。しかし彼らの多くが授業についていけずに学業で苦労しています。その大きな原因は、学力を積み上げていく土台となる「学習言語力」が弱いからです。
 言葉には「生活言語力」と「学習言語力」があります。生活言語力は、身体の部分、身の回りの物、家の中の物など具体的(目で見て理解できる)な事物・事象と関連して習得する、対人関係におけるコミュニケーションの力のことです。
 一方の学習言語力は主に学校の授業で要求される言葉です。算数ならば、以上、以下、未満、あまり、真分数、帯分数、交換法則などの言葉。社会ならば、歴史、文化、文明、生活、環境、政治など、日常生活ではあまり使わない言葉です。
 学習言語力の多くは、概念語・抽象語(目で見たり手で触って理解することができない言葉)であり、年齢が小さい子どもや外国人にとって理解するのが難しいのです。
 日本語であれ、英語であれ、子どもに言語教育を行う場合、生活言語力と学習言語力は「明確に区別」しなければいけません。生活言語力は言語環境に浸ることで自然に育ちますが、学習英語力は子ども自身が主体的に言語学習に向き合わなければ身につかないことを知りましょう。
 子どもに高度な言語力を望むのでしたら、家庭でも学習言語力のサポートを行う必要があります。具体的には「読書教育」に取り組み、読書を通して多様な言葉、文脈、知識、表現に触れる機会を増やしてあげるのです。


第二言語の習得には丁寧な学習言語指導が必要

 アメリカでは子どもが5歳になる年からキンダーガーテンで公教育がスタートします。キンダーガーテンは小学校から本格的に始まる教科学習に向けて「学習英語力の準備」行う学年です。
 冒頭でご紹介したタロウ君もキンダーガーテンで英語の読み書き指導を受けていました。しかし、家庭での読書教育が不足していたのです。親が英語ネイティブであれば、家庭で英語の絵本を読み聞かせたり、英語の文字の読み方を教えてあげたり、英語の言葉遊びをするなど、子どもを文字に馴染ませる機会が多くあります。しかし、タロウ君の両親は英語が得意でなかったため、学習英語力の発達について、100%学校任せになっていたのです。
 もちろん英語教育の入り口として生活英語力に目を向けることは間違っていません。年齢の小さい子どもほど「聴覚記憶力」や「音声再生力」に優れていますから、英語の正しい発音を「楽に」身につけることができます。
 しかし、将来、受験、進学、キャリア形成などで活かせる高度な英語力を望むのならば、ある時期から、生活英語力から学習英語力へと学習の焦点を変えていくことが必要です。すなわち家庭でも英語の文字学習を支援するのです。
 英語の文字学習をスタートするベストタイミングは「子どもが小学校に上がる時期」です。小学一年生になると「日本語の教科学習」がスタートします。それまでの「音声中心」の学習スタイルから「文字中心」の学習へと学習方法がガラリと変わるのです。
 幼稚園では先生の話を聞いて理解する、自分の意見を口(言葉)で伝えるという(楽な)学習スタイルでしたが、小学一年生からは、自分の目で教科書や本を読んで理解する、自分の考えを文字で書いて伝えるという(面倒な)学習スタイルが求められるようになります。
 このタイミングに合わせて英語学習のスタイルも「学習言語力」に変えていくと、スムーズに英語の読み書きも習得できるのです。すでに子どもの年齢が小学低学年を過ぎている場合も同様です。日本語の読み書きが身についている子どもであれば、英語の読み書きも短期間で身につけることができます。


フォニックスとサイトワーズが学習英語のスタート

 学習英語力のサポートは「フォニックス」と「サイトワーズ」で行います。フォニックスは日本語のひらがなであり、英単語を正しく発音(音声化)するために欠かせない学習です。日本の学校教育ではフォニックスを指導せずにいきなり英単語やセンテンスを読ませますが、これは「ひらがなを読めない子どもに日本語の本を読ませるような行為」です。
 フォニックスを飛ばして英語の文字教育をスタートすると、多くの子どもが「いつになっても正しく読めない」「知らない単語は読めない」という壁にぶつかります。そして「英語を読むのは難しいから嫌い!」と、英語への苦手意識を植え付けてしまうのです。
 フォニックスは「A=ア」「B=ブ」「C=ク」というように、アルファベットの文字と「音」の関係を一つ一つ教えるものです。この方法で丁寧に教えていけば、どの子も音をつなげて単語を正しい発音で読めるようになります。
 サイトワーズは英語の頻出単語であり、学校の教科書によく出てくる学習単語を多く含んでいます。サイトワーズは、フォニックスのように音をつなげて発音するのでなく、一目で読めるように練習します。この点において日本語の「漢字」と似ています。
 サイトワーズ学習の効果は抜群で、頻出上位300語を覚えれば、あらゆる英語の70%が読めるようになり、上位1000単語を覚えれば、あらゆる英語の90%が読めるようになると言われています。サイトワーズも日本の学校では指導しないので、家庭で取り組むことが大切です。
 フォニックスとサイトワーズは、どちらも英語圏では当たり前に指導しますが、日本の学校ではほとんど取り入れられていません。子どもに学習英語力を身につけさせるスタートは「フォニックスとサイトワーズ」と覚えておいてください。
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文字の次のステップは英語多読

 アメリカの子どもたちは小学生になると、毎日「簡単で短い本を1冊読む」こと、あるいは「30分間の読書」が家庭での宿題として課されます。本を読み始めて間もない子どもに大量の読書を(半ば強制的に)させるのはリーディングフルエンシー(流ちょうに読む力)を鍛えるためです。
 全米の学齢期の子どもを対象にした調査で、小学1年生の終了時にリーディング力が弱い生徒は「約90%」の確立で小学4年生でもリーディング力が弱いこと。さらに、小学4年生でリーディング力が弱い生徒は「高校卒業まで改善しないこと」が報告されています。
 つまり本を読み始めの時期(アメリカではキンダーから小学1年生の2年間)にリーディングフルエンシーを鍛えておかないと、学齢期を通して読解力が弱く、勉強で苦労する可能性が高くなるのです。だからアメリカの学校では小学1年生に「大量の読書」をさせのです。
 日本の英語教育からすっぽり抜け落ちているのが「多読」です。子どもが簡単に読める短い本を大量に読む訓練が行われないため、英語を読むスピードが向上せず、語彙力が増えず、リーディング力(早いスピードで本を読みながら理解する力)が育たないのです。
「英語多読」と聞くと、分厚いペーパーバックを長い時間かけて読み解く「修行」を連想するかもしれませんが、英語多読の本質は、「やさしくて短い本」を大量に読むことで読解力の向上を目指すものです。
 英語圏では「リーダーズ」と呼ばれる多読用の本がたくさん開発・販売されています。リーダーズは本を読み始めの子どもが読み進められるように、単語や文法が簡易化して書かれている本のシリーズです。教科書では学ばない日常会話や表現が豊富で、実用的な英語力獲得に極めて有効なツールです。
 たとえば、単語数200語の初心者向けリーダーズであれば、どの子も「約2分で1冊を読み終える」ことができます。学習時間はたった2分間ですが、ストーリーは最初から最後までしっかりと完結しており、読書後に物足りなさを感じることはありません。
 最初は超簡単な本からスタートし、徐々に文字数を増やしていくことで、確実に英語力を向上させていくことができます。事実、私はアメリカに移り住んできたばかりで英語が全くできない子どもにリーダーズの多読を取り入れていますが、英会話を含む英語力全体の向上に著しく高い効果をあげています。
 英語多読は日常的に英語を聞いたり話したりすることがない日本人にとって極めて効果的な学習法です。英会話のように相手がいりませんし、本が一冊あれば、生きた英語に、いつでも、どこでも、触れることができるのです。


活字への抵抗感を取り除くことが成功の鍵

「英語の読書が苦手!」「英語の本嫌い」という子どもに共通するのが「活字への抵抗感が強いこと」です。英語を読む訓練が不足しているため、読書スピードが遅く、読解力が伴わないのです。そして英語の活字を見ると「読むのが面倒だ」「難しい」と苦手意識を持つようになります。
 子どもがリーディング力を身につけていくには「学習順序」を守ることが大切です。フォニックスとサイトワーズをしっかりと指導した後に、英語多読へとステップアップする。このプロセスを踏襲することで英語の活字への抵抗感を取り除くことができ、どの子もスムーズに英語の本が読めるようになります。
 さらに英語多読に取り組む際は、長すぎる本や難しすぎる本を与えず、子どものレベルに合ったリーダーズをたくさん読ませてあげましょう。最初に与えるのは8〜16ページ程度のページ数で、単語数は1冊あたり20語〜200語程度を目安にしてください。1冊を読む時間は3分以内。少し英語が読めるという子どもでも「5分以内」に読み切れる本を与えましょう。
 日本で人気のOxford Reading Tree(ORT)のステージ1(First Sentences)に含まれる本は1冊の単語数が24単語〜65単語です。このレベルであれば、どの子もすぐに読めるようになるはずです。まずはこのステップで「英語の本が読める!」という自信を大きくしてあげましょう。
 正しい順序でリーディング力をサポートすると、子どもは自分の力でリーディング力を伸ばしていけるようになります。親の仕事は子どもの習熟度に応じて少しずつ本の難易度を上げていくこと。これをコツコツと継続すれば、やがてハリーポッターのような分厚い英語の本が読めるようになります!


「強み」を生み出すノウハウを解説する本

 拙著【強みを生み出す育て方】は、強みの見つけ方・伸ばし方を、科学的エビデンスをベースに、家庭で簡単に行える35の具体的なメソッドに落とし込んだ1冊です。「この世に強みのない子など、いない。すべての子が“強みの芽”を持って生まれている!だからこそ、1人1人に合った“強み育て”が大切だ」。これが、本書でお伝えしたいことです。
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2404年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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