2015年05月号パルキッズ塾
Vol.25 | 嫌がる時の対処法
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1505/
小豆澤宏次『嫌がる時の対処法』(株式会社 児童英語研究所、2015年)
早期教育を行うお母さまにとって一番ガッカリする瞬間は、お子さまが取り組みを嫌がった時です。子どもは残酷なもので、わが子のためにと思ってこれだけ一生懸命やっているのに、「嫌だ」「面白くない」とお母さまのハートをばっさり切るわけです。お母さまがショックを受けないはずがありません。
しかし、お子さまが取り組みを嫌がるということは、大なり小なりどのご家庭でも起こることです。パルキッズで育ち、小学生で英検準2級以上に合格したお子さまでも、長い取り組み期間中、どこかのタイミングで取り組みを嫌がる時期は必ずあります。
今、お子さまが取り組みを嫌がって困っているお母さま、近い将来わが子が取り組みを嫌がるのではないかと心配されているお母さま、まずはご安心ください。この問題はどのご家庭でも起こることであり、対処法さえ間違わなければ、簡単に解決できる問題なのです。
今回は、お子さまが取り組みを嫌がる程度を段階で分け、現在お子さまが取り組みを嫌がっている場合、その程度がどの段階にあるのかを考えてみましょう。また取り組み別に、どの様に対処していけばよいのかについてお伝えしていきましょう。
| 気分それとも自信喪失?
小学生のお子さまの場合、学校の勉強をはじめ、家庭での取り組みに関しても、「すべきもの」として教えていかなくてはいけません。厳しいことを言うようですが、子どもたちに勉強を拒否する権利はありません。その上で、「なぜ勉強をしなければいけないのか」について将来をイメージさせながら、親子で話合いを重ねてください。
小学生の場合は親は基本的にこのスタンスで結構ですが、幼児の場合はそういうわけにはいきません。今回は幼児を中心に「取り組みを嫌がる場合の対処法」についてお伝えしていきます。
幼児期のお子さまが取り組みを嫌がる程度は大きく分けて2段階に分けることができます。
1つ目が「気分で嫌がっている場合」、そして2つめが「自信をなくして嫌がっている場合」です。
お子さまが取り組みを嫌がる場合、まず「気分で嫌がっているかどうか」を疑いましょう。昨日まで普通に取り組めていたオンラインレッスンや絵本の読み聞かせを嫌がる、お子さまがこういった状態になるのには、深い理由はありません。幼児期のお子さまですから、「このオンラインレッスンをやっていても英語は身につかないのではないか」「絵本の読み聞かせの音声がアメリカ英語ではなくイギリス英語の方が聞き取りやすい」といった深い考えがあって嫌がっているわけではありません。単純に「お腹が減っている」「他の遊びがしたい」「眠い」といった「気分」で嫌がっている場合がほとんどです。まずはショックを受けないようにしましょう。こういった場合、無理にお子さまに取り組ませる必要はありません。「今は嫌なのね。じゃあママが代わりにやってあげるね」「また後からやろうね」と言ってちょっと目先を変えてあげるだけで結構です。
この段階のお子さまに対して、お母さまが「何が何でも取り組ませなければ」と無理にひとりで取り組ませたり、「この教材はうちの子には合わないのでは」と深刻に考え、結果、別教材に移り、また同じことが起こると別教材へと移り、結局成果が出ないことでお子さまにきつく当たってしまうことで、お子さまの「取り組みを嫌がる程度」は次の段階へ移ります。
気分で取り組みを嫌がっていただけのお子さまが、次の段階、つまり自信を失うことで取り組みを嫌がり出すと大変です。
幼児期に限らず子どもたちは総じてプライドが高いものです。自分ができないと分かっていることに関しては、土俵に上がることすら嫌がります。逆に自分が簡単にできると分かっていることに関しては、親が言わなくても積極的におこないます。
お母さまが無理にひとりで取り組ませたり、成果が出ないことで怒ってしまうことで、お子さまは「自分はできない」と自己暗示をかけてしまいます。そして自分のプライドを守るために取り組みを一切拒否してしまうのです。
こうなってしまうと、少しずつお子さまに「自分ができる」と感じさせなければいけません。自信を回復させるのには相応の時間がかかります。そうなる前に、気分で嫌がる段階で正しく対処していきましょう。それでは取り組み別に、お子さまが嫌がった場合の対処法を見ていきましょう。
| かけ流しを嫌がる場合
かけ流しを嫌がる場合、まず考えられるのはCDのボリュームが大きいということです。1日90分毎日繰り返し同じ内容をインプットしていくわけですから、これを意識して聞くのは大人でも苦痛です。パルキッズのかけ流しは言語環境を与えるのが目的です。CDの音を聞いているのではなく、気にならない程度に聞こえている状態を作ることを心がけましょう。
他に考えられる理由は、普段耳にしない音が家庭内に流れていることに敏感になっているということです。これは特にかけ流しを始めたばかりのお子さまによくあることです。この場合は「ボリュームは低め」を心がけてさえいれば1、2カ月すればお子さまもまったく気にしなくなります。ご安心ください。
| オンラインレッスンを嫌がる場合
オンラインレッスンにはフラッシュカードのような受動的な取り組みと、どっち遊びのような能動的な取り組みがあります。
受動的な取り組みを嫌がる場合、その理由は気分的なものがほとんどです。深刻に考えず、「お母さまが見る」ぐらいのスタンスでサラッと流してあげる程度にしましょう。決して「見なさい!」と叱ったり、顔を押さえたりしないようにしましょう。しばらく見ない日が続くかもしれませんが、これも一時的なものですからご安心ください。
能動的な取り組みを嫌がる場合は、気分的な理由もありますが、自分がわからないと自覚している場合が多いようです。この場合、対応法としては「わからなくても大丈夫」と安心させてあげることです。まずは、お母さまが代わりに答えてあげましょう。時にはお母さまが間違ってもよいでしょう。「ママも間違っちゃった」と二人で笑いながらゲームをしている感覚で取り組んでみましょう。
お子さまが間違わないかハラハラしたり、試験官のような険しい顔つきでお子さまの様子を見ると、お子さまは萎縮してしまいます。うまくいかないことがあったとしても、それは長い取り組み期間のほんのわずかのことです。まずはお母さまがリラックスして取り組みを進めましょう。
| DVDを嫌がる場合
パルキッズではDVDの取り組みは月の後半に4~5回程度ご覧いただくだけで結構です。とはいえ、中にはそれすら嫌がるお子さまもいます。この場合の理由のほとんどが、その時の気分です。お子さまの中には自分の好きなキャラクターのDVDしか見ない子がいます。その子たちにとって「DVD=キャラクター」なのです。そのため、パルキッズだからということではなく、そのキャラクター以外のDVDすべてに対して同じように嫌がります。
こういった時は無理に見せようとしてもケンカになるだけで、問題解決にはなりません。かけ流しオンラインレッスンの受動的な取り組み同様、お母さまが見るぐらいのつもりで、DVDを流してあげましょう。すると、お子さまが気になるところだけをチラチラ見るようになります。取り組みとしてはそれで十分です。
| ドリルを嫌がる場合
ドリルを嫌がる場合は、まずすぐにお母さまが手を添えて取り組むようにしましょう。答えがわからない場合も答えるのを待つのではなくすぐに教えてあげましょう。それでも嫌がる場合は、一度中断するのも手です。ドリルはインプット学習とは違い、年齢が高くなってから取り組んでも効果を得られます。
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。