パルキッズ塾 パルキッズ通信 | パルキッズジュニア, パルキッズプリスクーラー
2019年11月号パルキッズ塾
Vol.79 | パルキッズの取り組みQ&A
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1911/
小豆澤宏次『パルキッズの取り組みQ&A』(株式会社 児童英語研究所、2019年)
パルキッズをお使いの皆様、日々の取り組みはいかがですか?2学期も半ばを過ぎ、ルーティンがしっかりできたお子様は淡々と取り組みができていることでしょう。これから年末に向けて、いろいろとドタバタが始まる時期です。ルーティンが崩れて、取り組みの中断に気をつけなければいけない時期です。このあたりでもう一度帯を締めなおして、日々の取り組みを継続できるよう、気を引き締めていきましょう。
今回は取り組みに関する質問をご紹介しながら、それに対してご回答していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
もう1年も取り組みをしているのにまったく単語を覚えていません。本当にこれで身につくのか心配です。
パルキッズの学習を私たちが中学生以降にやってきた「英語の勉強」と同じだと考えると、確かにお母様がおっしゃることがよくわかります。1年も勉強しているのだから、数百単語は覚えているだろう、そう考えるのも当然です。しかし、パルキッズの学習というのは「勉強」ではありません。ひとつひとつの単語を覚えていくというような学習法ではありません。その前提をまずは理解してくださいね。その上で、今のお子様がどのような状態なのかを解説していきましょう。
パルキッズをかけ流すことで、何が身につくのか。それは「英語のリズム」です。パルキッズをかけ流すことで約1年ほどで「英語のリズム」が身につきます。つまり今、お子様は「英語のリズム」を身につけている状態だと言えます。おめでとうございます!
では、英語のリズムとは何なのでしょうか。例えばお母様がまったく知らない言語を聞いたとします。どこからどこまでが単語かわかりますか?わかりませんよね。これがいわゆるその言語のリズムが身についていない状態です。つまり英語のリズムを身につけるということは、英語の音を聞いた時に「単語単位にわけることができる」とういことです。
It’s an apple. と聞いた時(文字を見ると簡単ですが)、この中に ‘It’s, an, apple’ の3つの単語あることがわかるのです。これはすごいことです。これさえできれば英語のリスニングがほぼできていると言っても過言ではありません。
ただし、まだ ‘It’s, an, apple’ の意味がわからない状態なのですね。かけ流しでは、英語のリズムを身につけることの他に、このように切り分けた単語、つまり聞いたことがある単語を、どんどん増やしていくことを目的としています。
そして、それらに意味をつけるのが「オンラインレッスン」であり「絵本」です。意味をつける作業は、親が教えることはできません。唯一できることは意味づけの「機会」を与えることです。子どもたちはその「機会」を通して、その子なりの順番で意味をつけていきます。
以上のことから、お子様はすでに英語のリズムを身につけ、聞き知っている音を増やしていく段階に入っています。あとは「オンラインレッスン」や「絵本」の取り組みを継続的に行い、語彙化の機会を与えていけば、お母様が思うように、理解できる単語が増えていくでしょう。
9歳の男の子ですがパルキッズジュニアの取り組みを「おもしろくない」と言ってやってくれません。どうすれば取り組んでくれるようになるのでしょうか。
まず、パルキッズジュニアの取り組みというのは英語教育ですね。繰り返しますが「教育」です。これは学校の宿題と同じです。おもしろくないからといって取り組まなくてもよいものではありません。それを踏まえた上で、なぜお子様は取り組んでくれないのか、それは「取り組む理由」を知らないからです。賢いお子様なのでしょう。理由がわからず「やりなさい」と言われたものをモヤモヤとした気持ちの中でやり続けるのが苦痛なのではないでしょうか。
小学生のお子様の場合、取り組みを始める前に、「なぜ英語学習をするのか」そして「なぜこの取り組みをやるのか」親子でしっかりと話し合うことが大切です。そして親御さんがこの教材を選んだ理由や、この取り組みを通して目標をどこにするのか、具体的に話してあげましょう。最後に、いくつか選択肢を与えて「いつ取り組むのか」を選ばせてあげましょう。朝起きて朝食を摂る前なのか、学校から帰ってきて夕食前にやるのか、お風呂に入る前にやるのか、お子様によってスケジュールは様々でしょうから、一番良いと思う時間帯を選ばせてあげましょう。
これは一見お子様の意見を尊重しているようですが、実は自分が言ったことに対して責任を持つという練習になります。約束・履行の基本ですね。この約束・履行を通してお子様は自律心を成長させていきます。これができているお子様とそうでないお子様とでは、英語学習のみならず、今後の人生に多く影響してきます。英語力だけでなく自律心を育てられる一石二鳥の取り組みだと思って、ぜひ上記をお試しいただくとよいでしょう。
しかし、小学生とは言えまだまだ子どもです。日によっては取り組めないこともあるでしょう。そんな時は叱責するのではなく、今日はやらなくてもいいから、その分をいつやるのか、そこをお子様の口から言わせてお休みにしましょう。それが新たな約束・履行になるのですから。
上の子と下の子で英語力に差があることが心配です。オンラインレッスンでも上の子がやっている時に下の子が横から正答を言うことがあるぐらい下の子がよくできます。上の子ももう少しがんばってほしいのですがどうしたらよいのでしょうか。
これはとてもよくない状況ですね。実際に同じだけかけ流しをして、同じようにオンラインレッスンをしているわけですから、正味の英語力に差はないはずです。ただ積極的にそれを親御さんに見せてくれるかどうかという違いです。
上の子は常に下の子に抜かれたらどうしよう、下の子よりもできて当たり前、そういうプレッシャーと戦っています。一方、下の子はそんなプレッシャーは皆無です。上の子からすると、「こんなことできるよ!」と見せることで、もし間違っていたら親御さんをがっかりさせ、さらに下の子に負けてしまうということを知っています。だからわかっていてもだまっているのです。慎重なのですね。まずは上の子がそういう状態であることを知ってあげましょう。
そんなプライドが高い上の子の取り組みを下の子が横槍を入れるなんてもってのほかです。これは上の子は傷つきます。「自分だってわかるのに」「どうして下の子だけ褒めるのか」上の子はショックを受けているでしょう。そうすると英語学習に対して能動的な気持ちにはなれません。
まずは上の子の取り組みを下の子に邪魔させないことが必要です。さらには下の子の学習を上の子にケアさせてあげるとよいでしょう。こうすれば親御さんは上の子の方が下の子よりもできると思っていることが伝わるからです。プラス上の子の復習にもなります。
また、意識的に上の子に対して多めに褒めてあげるとよいでしょう。上の子の取り組みがうまくいけば、下の子の取り組みが自然とうまくいきます。親御さんとしては下の子が小さいので、どうしてもそちらを手厚くサポートしたくなりますが、パルキッズの取り組みに関しては上の子の方を手厚くしてください。
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英語教育は「バイリンガル」から「バイリタラシー」へ
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。