パルキッズ塾 パルキッズ通信 | パルキッズキンダー, パルキッズプリスクーラー
2020年9月号パルキッズ塾
Vol.89 | パルキッズを兄弟で取り組むには
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2009/
小豆澤宏次『パルキッズを兄弟で取り組むには』(株式会社 児童英語研究所、2020年)
以前から私自身がユーザーの皆様と教務サポートのお電話や、お問い合わせでご意見やご質問をいただくことがあり、「ここ最近はこういった内容のご質問が多いな」といったデータから、パルキッズ塾のテーマを決める上での参考にしております。
オンラインレッスンが導入される前は、パルキッズの取り組みはお子様ひとりひとりというよりも、兄弟で一緒にシェアをして取り組むというものでした。かけ流しはもちろんですが、DVDの取り組み、プリント学習についても1家族にご提供したデータをシェアをしていただいておりました。
オンラインレッスン導入以降は、オンラインレッスンという完全に個としての取り組みが入ってきたため、兄弟で取り組むものと個々で取り組むものの2つを使い分ける必要があり、兄弟でどのようにして取り組めばよいのかというご質問をいただくことが増えたように思います。
今回はパルキッズを兄弟で取り組むためのガイドと、兄弟ならではのおすすめの取り組み方をご紹介したいと思います。
かけ流しの取り組み
かけ流しの取り組みでよくある勘違いは、『パルキッズプリスクーラー』であれば、そのかけ流しを兄弟でそれぞれしなくてはいけない、または上の子は『パルキッズキンダー』下の子は『パルキッズプリスクーラー』と教材をわけて行わなくてはならないの2つです。
まずは大前提として、『パルキッズプリスクーラー』『パルキッズキンダー』は家庭内言語環境であり、家庭内言語環境は原則ひと家族に1つです。これは日本語で考えていただくとよいのですが、兄弟がいる場合、家庭内で上の子、下の子とわけて言語環境(親御さんの会話)を作ってはいないということです。もちろん兄弟がいるご家庭とひとりっ子のご家庭では若干言語環境の内容が異なります。ひとりっ子の場合は、入園前のお子様の場合、主に家庭内の内容がほとんどです。一方、兄弟がいるご家庭の場合、下の子が入園前でも、上の子が入園していれば、家庭外、つまり園でのお話などよりパブリックな内容がひとりっ子のご家庭よりも聞くことになります。
重要なのはここからです。ひとりっ子の場合、兄弟がいる場合、家庭内の言語環境に多少の差はあれど、音環境から身に付く生活言語レベルでは、ほとんどその差は生まれないということです。もっと言うとおじいちゃん、おばあちゃんがいるご家庭、商売をやられていて家族外の方の出入りが多いご家庭などでも言語環境は大なり小なり異なりますが、いずれにせよ生活言語レベルではお子様に与える影響は大きくありません。
そう考えると、かけ流し(言語の音環境)を兄弟で個別におこなったり、内容を変える必要がないということがご理解いただけると思います。
また、上の子と下の子、どちらに言語環境を合わせるかについては、上の子に合わせるのがセオリーです。パルキッズの取り組みで言うと、上の子が『パルキッズキンダー』を聞いている時に、下の子が生まれたら、下の子もいっしょに『パルキッズキンダー』を聞かせるようにしましょう。そして上の子が『パルキッズキンダー』を終了したら、今度は下の子用に『パルキッズプリスクーラー』を流してあげるとよいですね。重要なのは『パルキッズプリスクーラー』2年、『パルキッズキンダー』2年の合計4年間のインプットを行うということで、その順番ではないということです。
オンラインレッスンの取り組み
オンラインレッスンの取り組みの場合はかけ流しと異なり、個々の取り組みになります。しかし、大前提のルールとしてかけ流し、つまりインプットをしたステップまたは月の取り組みのみ行う、というものがあります。これはオンラインレッスンがインプットした内容を定着させるという目的のため、インプット→オンラインレッスンという順番でお取り組みいただくのが正解です。
兄弟がいるご家庭の場合、問題になってくるのが次の場合です。上の子のために『パルキッズキンダー』をかけ流していて、上の子は同様に『パルキッズキンダー』のオンラインレッスンを行なっています。下の子は上の子が『パルキッズキンダー』開始後に生まれ、『パルキッズプリスクーラー』はインプットされていません。このような状況で、下の子もそろそろオンラインレッスンをスタートしたい、となった場合、どのオンラインレッスンからスタートすればよいのか、ということが問題になってきます。
これは大前提のルールに照らし合わせると、インプットしていない教材のオンラインレッスンはしてはいけないということがありますので、スタートするオンラインレッスンは『パルキッズキンダー』のレッスンということになります。流れとしては『パルキッズキンダー』のレッスンをスタートし、それを終えるまでに、かけ流しは下の子用に『パルキッズプリスクーラー』へと移ります。しかしレッスンは『パルキッズキンダー』が終わるまではそのままレッスンを続けます。『パルキッズキンダー』のオンラインレッスンが終わり次第『パルキッズプリスクーラー』のオンラインレッスンに移るのがベストです。
また家庭内では『パルキッズプリスクーラー』が流れていて、上の子はオンラインレッスンをすでにスタートしている場合、下の子がオンラインレッスンを始めるのであればどのステップから開始すればよいのかという問題もあるでしょう。
例えばかけ流しがステップ7、上の子のオンラインレッスンもステップ7の場合です。下の子はステップ7からスタートしていただいても構いませんし、ステップ1から7まで下の子も聞いているようであれば、ステップ1からスタートしていただいても構いません。この場合は親御さんの管理しやすい方を選択していただければ結構です。ここでよくあるご質問が「かけ流しとオンラインレッスンのステップが同じでなくてもよいのか」というものがあります。結論からお伝えすると、かけ流しとオンラインレッスンが必ずしも同じステップである必要はありません。これはオンラインレッスンがかけ流した内容を月内に覚えて、オンラインレッスンでテストするというような大人の勉強とは異なり、インプットした内容を別場面で経験する(オンラインレッスン)ことで、内容の定着の機会を与えるということでしかないからです。日本語で言えば、今月親御さんが家庭内で話したことを、子どもたちがすべて月内に理解できるようにするわけではありませんよね。今月話した内容がその後何ヶ月何年後に経験を通して語彙化されるのが自然です。そのため、パルキッズのオンラインレッスンも同様に、すでにインプットした内容であれば、取り組む順番にこだわる必要はありません。
兄弟で取り組むメリット
最後に「兄弟で取り組むメリット」についてお伝えいたします。子どもの数が増えれば増えるほどパルキッズの取り組みにおける親の負担は大きくなるというのは容易に想像ができます。しかし、ちょっとだけ工夫をすると、子どもの数が増えても、ひとりっ子とそう変わらない体制を作ることができます。一番最初にお伝えしたようにインプットの取り組みは基本的に家族単位の取り組みです。ここに関しては兄弟がいてもいなくても負担は変わりません。親の負担が大きくなるのがオンラインレッスンなどの意識的かつ個々の学習です。この取り組みを親がすべて面倒を見るとなると大変です。ではここを楽にするためにはどのようにすればよいのでしょうか。
これは実際に私の生徒だった子のご家庭が実践されていたことです。そのご家庭では小学校中学年と低学年の女の子、幼稚園の男の子、一番下が2歳の男の子でした。当時はオンラインレッスンがなく、個々の取り組みというと絵本の読み聞かせと暗唱の取り組みでした。この取り組みをおこなっていたのが下の2人のお子様だったのですが、実は取り組みのサポートしていたのは親御さんではなく、上二人のお姉ちゃんだったのです。上の子たちは自分がレッスンをしている先生という立場になることができて自尊心が満たされ、下の子たちもお姉ちゃんには素直に従うようで、とても取り組みがうまくいっていました。さらに言うと、上二人のお子様は、自分がサポートすることでそれが復習になっていたようで、サポートをし出してからというもの、英語力の伸びがそれまでとは格段に上がっていたのです。
上の子と下の子の年齢差、男の子、女の子で環境が異なりますので、一概に上の方法ができるわけではないと思いますが、上の子に下の子の勉強の面倒を見させる、つまり親代わりをさせるというのは上の子下の子両方にとって、さらに言うと親御さんにとっても良い、一石三鳥の体制になるのです。できそうなご環境であればぜひお試しください。
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。