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2022年10月号パルキッズ塾

Vol.114 | 耳からのインプット・目からのインプット

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2210/
小豆澤宏次『耳からのインプット・目からのインプット』(株式会社 児童英語研究所、2022年)


耳からのインプット・目からのインプット パルキッズでお子様をバイリンガルに育てるために必要なことは、間違いなくインプットです。これはパルキッズに限ったことではなく、幼児であろうが大人であろうが、英語力を獲得し伸ばすために必要なことはインプットです。
 私の場合は英語教育に関わり始めてから20年になります。そして、私自身が英語を身につけてからは25年になります。その間、まったく変わらなかったのがインプットは最も大切である、という考え方です。
 このコラムを読んでいる親御さんは、お子様をバイリンガルに育てようと思っている方ばかりでしょう。そしてご自身も英語学習を行なっている方もいらっしゃるかもしれません。今回は兎にも角にもインプットというテーマで、パルキッズに始まり、大人の英語学習においてどういう取り組みがインプットに該当するのか、そしてインプットによってどのような力が得られるのか、そこに絞って解説したいと思います。
 世の中にはさまざまな英語学習法がありますが、どの学習法を選ぶにしても、このインプットを外すことはできません。今回は改めてインプットの重要性について再確認いただける機会にしていただければ幸いです。


幼児はかけ流しでインプット

幼児はかけ流しでインプット パルキッズプリスクーラー、パルキッズキンダーでは1日90分のかけ流しが必須の取り組みになっています。この取り組みを行うのは、主に幼児から小学校低学年のお子様になります。この時期のお子様は「耳」からのインプットが最適です。文字が読めないお子様にとって、耳から音を通してインプットする以外に方法がないからです。
 次にインプットに適した内容です。インプットソースは英語の音であればなんでもよいということではありません。母語を獲得したのと同じ条件で進めていく必要があります。内容としては「家庭内の卑近な会話」です。歌、絵本、アニメなどのイマジナリーストーリーなどは枝葉としての役割は担いますが、インプットの核となる幹にはなりません。父母との会話を中心に日々インプットする必要があります。YouTubeなどの音源を楽しみとして与える分には構いませんが、インプットの時間としてカウントしてしまうと思った通りの英語力を得ることができませんのでご注意ください。
 最後にインプットを行うことでどういう力が身に付くのかを考えてみましょう。まず言語を身につけるには、少なくとも1,000時間のインプットが必要になります。単純にパルキッズであれば1日90分のかけ流しを2年は続けなくては意味がありません。
 時系列に見ていきましょう。まずかけ流しの取り組みを始めたばかりの子どもたちにとって、英語の音は単なるよくわからない音の連続です。例えば親御さんが未知の言語の音を聞いた時と同じ状態です。どこからどこまでが単語なのかがわかりません。それが約1年ほどかけ流しを続けていると、その音が単語単位で聞こえるようになります。これでほぼバイリンガルとしての耳を獲得しています。
 その後は、かけ流しで得た単語の音を収集していきます。この時点ではまだ意味はわかりません。それらの音に対して、オンラインレッスンや絵本などを通して出会うことで、少しずつ語彙化がなされていくのです。


小学校中学年以降は目からのインプット

小学校中学年以降は目からのインプット 小学校中学年以降(大人も含む)になると、インプットは耳からではなく目からに変わっていきます。こう言うと「もう英語耳は手に入らないのか!」と言う方がいらっしゃいますが、実はこれは正確には目と耳を両方使う方法になります。
 幼児期の場合は前述の通り、文字を読むことができません。そのため、音声(機械音)による音のインプットしか方法がありませんでした。しかし、小学校中学年以降になると、文字の認識が進み、初見の英語でも、トレーニングを行うことで音読ができるようになります。この音読というのがポイントになります。
 目からのインプットでは黙読ではなく音読を行います。音読を行うことで、幼児期の機械音ではなく、自分で自分にかけ流しを行うというインプット方法になるわけです。こうやって書くとおわかりいただけると思いますが、音読をすることでしっかりと音の学習も進み、しっかりと英語のリスニング力も身につきますのでご安心ください。
 ではなぜ、わざわざ目からのインプットにしなければいけないのか、疑問に思う方も少なくないはずです。幼児期に流す音の内容は、卑近な家庭内の会話でした。これによって2、3歳までに身につける「生活言語」が身につきます。生活言語レベルでは子ども間でそれほど大きな言語力の差はありません。しかし、次の「学習言語」のフェーズで子ども間の言語力の差が顕著になります。その理由は「本」をどれだけ読んだかが、そのまま言語力の差になるからです。
 生活言語レベルではインプット量に違いはありません。しかし学習言語レベルになると、子どもによっては読む量というのが異なります。読む量がそのままインプット量になり、インプット量が多い子は言語力が高く、そうでない子は低いという差になるのです。
 つまり、本格的に英語力を高めていきたいのであれば、学習言語レベルの向上が必須となり、そのためには読む、つまり目からのインプットが不可欠となるのです。


この先ずっとインプットできる力を

この先ずっとインプットできる力を 私たちは普段気づかないうちに、言語のインプットを続けています。日々、未知の語と出会い、それを語彙化し、既知の語へと変えていっています。未知の語との出会い、これこそがインプットなのです。つまり私たちは死ぬまでインプットを続け、言語力を高め続けているのです。終わりはありません。未知の語との出会いの場が少なければ言語力は高まりませんし、それが多ければ言語力は限りなく向上していきます。
 未知の語との出会いに最も適しているのが読書です。会話ではありません。もちろんテレビでもありません。本には私たちが想像している以上に、未知の語が眠っています。それらとの出会いの場が読書なのです。私たちは読書を通して、インプットを行い、言語力を高めています。これは母語の話ですが、英語でもそれは変わりません。
 英語でも死ぬまでインプットを続けられる環境を作ることこそ、英語力を高めるための必須の作業なのです。幼児期でかけ流しをし、小学校中学年以降は音読でインプットをし、最終的には多読ができるように読解力を高めておく、こうすることで、子どもたちは後は自分で可能な限り英語力を高め続けていけるのです。
 親御さんの仕事は、我が子が英語で多読できるようになるところまで仕上げることです。そのためには、今、我が子に適したインプットを日々継続することに他なりません。今回はインプットが兎にも角にも重要である点について触れました。今後もインプットを英語教育の中心に据えて、日々の取り組みをおこなっていきましょう。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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