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2010年6月号特集

Vol.147 | 小学生と英語教育

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1006/
船津洋『子どもはどうしてコトバを身につける?』(株式会社 児童英語研究所、2017年)


| 小学校での英語活動

 いよいよ本格的に、小学校から英語が始まります。といっても教科ではなく「英語活動」と呼ばれるもので、成績などは付かないようですね。
 それでも、学校での授業で取り組むのですから、まぁ、やらなくてはいけない教科のひとつですね。
 小学校からの英語教育は歓迎されるべきですが、どうも、準備が整っていないままのスタートとなりそうです。まずは、中学校との連携。中学校の英語はもちろん教科です。テストで評価され、通信簿に学力として記録されます。その英語のカリキュラムとの連携がどうやら取れていないのです。
 すると妙なことが起こります。小学校の英語活動内で、中学校で教える内容を与えると、それは中学校のカリキュラムの先取りとなってしまうので、中学の指導要領を変更しなくてはいけなくなります。大変面倒くさいことになりそうですね。そこで、小学校では、英語「活動」として、「英語に慣れ親しむこと」を主な目的としたカリキュラムとなっているのです。
 そこで使用される「英語ノート」ですが、去年の民主党の仕分け作業で「不要」と宣言されましたね。まぁ、内容を見れば非常に薄っぺらく、中国語やフランス語など、英語以外の言語がたくさん出てくるので、英語ノートというよりは、ゆとりとセットの「総合的学習」の外国理解の活動用の教科書のようでした。英語を始め、いろいろな国の言語や文化風習に触れる程度の内容です。
 教科書もカリキュラムも未完成のようですから、見切り発車の感は否めません。ひとつ危惧されるのは、去年ベネッセの調べで発表された「中2の6割が英語を苦手と感じている」というアンケート結果に、本格稼働する小学英語がどのように影響していくのかです。小学校から英語が始まることで、中学生になってからの英語学習が今以上にスムーズに行われるようになって、英語が苦手な子どもたちが減ればよいのですが、暗中模索の中で、中学入学前に、すでに英語を嫌いな子どもを育ててしまわないか、少し心配です。


| 「英語」から逃げられない

 しかし「英語」とは奇妙な教科ですね。中学高校と、国語や数学に並んで大切な教科のひとつですが、英語ほど手に余る教科はありません。
 学生時代は塾へ通い、社会人になってからも市販の教材を買い、英会話スクールへ行き、しまいには短期留学までする人も少なくありません。理科、社会はもちろんのこと、国語も算数も、社会人になれば勉強する必要はありませんから、英語はやはり少し特殊な教科といえるでしょう。
 好きか嫌いか、そんなことに関わらず、あちらからしつこくつきまとってくるのです。でも、こちらからも英語を追い求めている感があるので、皮肉な話です。


| なぜ英語が出来ないのか

 それほどまでして、なぜ英語が出来ないのでしょう。理由はふたつだけです。
 ひとつは「聞き取れないこと」。英語を耳にしても、一連の英語らしき音としてしか聞こえないのです。日本語であれば、我々日本人の耳には単なる「音の連続」ではなく、「単語の連続」として聞こえます。英語に関しては、この聞き取りが出来ないのです。
 聞き取りが出来なければ、音声情報としての英語の入力が出来ないということですので、会話どころか、理解すら始まりません。もう、どうにもならないのですね。
 もうひとつの理由は「英語脳」がないことです。
 大学まで行かれた方ならば、「英語の読解力はある」、すなわち「読めば分かる」と漠然と感じていらっしゃる方もあると思いますが、これは事実ではありません。「読解力」とは読んで理解する能力のことです。私たちに英語の読解力があるか、といえば、はなはだ疑わしいのです。
 なぜなら、私たちが英語の文章を理解する場合には、単語や文法の知識を総動員して、日本語に訳します。そして、日本語の形にわざわざ直してから、ようやく英文を理解するのです。英語を理解することは、英文を日本語に訳すことだと、通常何の疑いもなくそう考えていますが、これは英語の理解力ではありません。英語ではなく日本語を理解しているのです。そして、理解可能な日本語に置き換える作業をせっせと行っているのです。まるで通訳者ですね。要するに英語を英語のまま理解する脳、「英語脳」がないのです。


| 英語は発想が違う

 さらに、残念なことに、通訳者にもなりきれていません。なぜなら通訳するためには、英語と日本語の両方に堪能でなければならないからです。そもそも、英語と日本語は発想が違う言語です。例えば、日本語で「我慢する」とか「頑張る」とか、このような表現にピッタリと来る英語はありません。
 「我慢する」を例に取ってみましょう。日本語の会話では、しばしば「ケーキを我慢し」たり「欲しいコートを我慢する」ことが起こります。そこで和英辞書の出番です。「我慢する」の項を引いてみると、‘endure, bear, stand, put up with…’ とあります。これらの単語は何かに「耐える」意味での「我慢する」を表現します。しかし例文では、ケーキを「耐え」たり、欲しいコートを「耐える」意味合いではないので、これらの動詞で上の例を英文にしてみてもまるで英語として意味を成しません。
 日本語では「我慢する」のひと言で済ませていますが、上の例の1番目のケーキ云々のケースでは「抑制する」なり「自制する」意味の我慢です。そこで、辞書を読み進めると ‘suppress, restrain’ などの単語が現れます。
 例えば ‘restrain’ を使って英文を作ってみます。
“I’m restraining myself from eating cake.” 日本語に直せば、「私はケーキを食べることから私自身を制御している」となります。このように言えないこともありませんが、日常的な会話ではこんな表現は滅多に出てきません。日本語で言うところの「ケーキを我慢する」にもっとも自然な英文を付けるとすれば、さしずめ “No thanks, I’m on a diet.” 「ダイエット中なのでいりません」という感じでしょう。
 このように、日本語と英語ではそもそもの発想が異なるのです。和文英訳や英文和訳的な発想で英語を処理しようとしても、いつまで経っても自然と英語を操れるようにはならないのです。何が大切かといえば、私たちが日本語を耳にしたり目にすれば自然とそのままイメージが浮かぶように、英語を目にしたり耳した時に 「すぐにそのイメージが浮かぶ」ようにならないと、使える英語とはならないのです。


| 英語を身につけるのは簡単

 そして、このような自然な英語力をつけることは、それほど難しいことではありません。特に幼児期であれば、パルキッズをかけ流すだけで、英語を日本語に訳すことなく、英語のまま理解できるようになるのです。
 ちなみに、私自身、高校時代に1年間留学し、その時に英語がまるで日本語のように自然と耳に入ってくる体験をしました。渡米直後は、ホームステイ先でも学校でも、まるで英語が分からなかったのですが、4ヶ月ほどたったある日突然、朝起きてみれば、ホストファミリーの英語が全て聞き取れるようになっていたのです。そして、聞き取った英語は「理解しよう」といった意識を通らず、私たちが日常的に日本語を処理するように、そのままイメージ化されていたのです。頭の固い高校生ですら4ヶ月で達成できたのです。
 幼児でも出来る、高校生でも出来るのですから、小学生でも中学生でも英語脳を身につけることは可能です。ただ、皆が留学できるわけではないので、日本国内にいながら、どのように英語脳を身につけるのか、その点が課題となります。それぞれの年齢に合わせた取り組み方が重要となるのです。
 幼児期には、パルキッズを流すだけでした。小学生の場合には、倍速を使った学習が有効です。倍速を使うと、英語に対する抵抗が無くなり、さらに、左脳期の子どもたちも有効に右脳を使えるのです。小学生には最適の方法です。ダウンロード教材の、トーキングトレーナーやジュニアパル(※トーキングトレーナーとジュニアパルは現在は販売しておりません。パルキッズジュニアとしてリニューアルされています。)を使えば小学生からのスタートでも、英語を英語のまま理解できるようになるのです。
 さらに年齢が上がって中学生以降になると、多読が有効です。こちらもダウンロード教材のリーディングジェット(※現在は販売しておりません。The Book of Booksとしてリニューアルされています。)を使うと、英語を日本語に訳すことなく英語のまま自然に理解できるようになります。また高校生や大人の場合には拙著「たった80単語!読むだけで英語脳になる本」などを使い、英単語を日本語に訳すことなく、感覚で身につければ、英語を自然と英語のまま感じられるようになるのです。
 ただ、成人よりは高校生、高校生よりは中学生、中学生よりは小学生、小学生よりは幼児の方が、取り組みが楽なので、いずれにしても早めにやっつけてしまった方がよいでしょう。思い立ったが吉日です。スタートしていない方は今から、すでにスタートしている方は気分を新たに、日々の取り組みに精進しましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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