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2010年7月号特集

Vol.148 | サマースライドって何?

夏休みの賢い過ごし方

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1007/
船津洋『子どもはどうしてコトバを身につける?』(株式会社 児童英語研究所、2017年)


| サマースライド?

 鬱陶しい梅雨が終われば、もうすぐ夏休みですね。40日もの長い夏休み。もう計画は立ちましたでしょうか。里帰りしてゆっくりするも良し、プール通いも良し、家族で旅行は、なおのこと良しですね。子どもたちも、毎日の学校から解放されて、ゆっくり羽を伸ばす…。
 そんな夏休みですが、アメリカの教育現場では、毎年夏休みに発生する、とある現象が深刻な問題になっています。その現象は「サマースライド」と呼ばれ、教育関係者からは子どもたちの学力差を決定づける、大きな要因と考えられています。
 大国アメリカは、夏休みも豪華。6月にスタートして7月は丸1ヶ月、そして8月の中旬、学区によっては8月いっぱいが夏休みです。2ヶ月から、長ければ3ヶ月もの長期の休暇が、子どもたちを待っています。
 この夏休みの間に、勉強する子としない子の間にどんどん学力差がついてしまいます。この学力差は、毎年の夏休みが終わるたびに累積していき、小学校の6年間で、決定的になっていきます。


| 夏休みに勉強する子、しない子

 ある調査によれば、低所得者層と中所得者層では、学期中の学力差はほとんど見られないのですが、なんと休みの間に差が付いているというのです。
 夏休みの間に、安閑として学習しないでいる脳は、それまでの学習内容を忘れてしまい、夏休みが終わる頃には、夏休みが始まる前よりも学力が低くなっている事が分かっています。そして、その学力を取り戻すのに1ヶ月かかる、というのが教育関係者の間での一般的な認識とされています。
 それもそのはず、アメリカの夏休みは1年のうち、20数パーセントの期間を占めているので、取り返すのは容易ではないはずです。
 ここで重要なのは、夏休みに勉強をする子としない子の差は、勉強した分、しなかった分ではないという点です。する子は新しい知識をどんどん身につけていくのに対して、勉強しなかった子の知識レベルはそこに止まるどころか、どんどん後退してしまうのです。学力差は広がるばかりです。しかも、それを毎年積み上げていくとしたら、、、。考えるだけでも恐ろしいですね。
 これはアメリカでのケースですが、日本でも十分に起こりうる、いや、既に起きていると考えて良いでしょう。アメリカでは学年と次の学年との間に長期の休みがあるので、その間の学力管理が難しい点がありますが、日本ではその点、学年の最中に夏休みがあるので、アメリカほどこの問題は深刻ではないかも知れません。しかし、それでも、夏休みにせっせと勉強する子と、ゲーム三昧、ぐうたら三昧の子の学力差はどんどん広がっていくのは、想像に難くありません。
 日本は、アメリカより夏休みは短いとはいえ、それでも学期中の暦(35週)に対する夏休み(5週間)の割合は、15パーセント近くになるのです。「夏休みを制する者が受験を制する」と受験生の間でささやかれますが、もはや人ごとではありません。受験生だけの問題ではなく、これは小学生全員に関わる問題なのです。


| 家庭内の蔵書数が子どもの学力を左右する

 アメリカでは、このサマースライドは、両親の所得の多寡に影響されるところが大きいとされています。そこで、低所得者層の子どもたちを、このサマースライドから守るための取り組みが行われています。
 Salon.comの記事によると、家庭内の本の存在が、卒業までの年数に関連性を持つとあります。調査は27カ国からのサンプルを元に行われ、その概要によれば、500冊以上の蔵書のある家に育つことは、「大卒の父を持つことと同等、知的専門職に従事する父を持つと同等」の好影響を与えるとあります。25冊以上の本がある家庭内に育つ子は、全く本のない家庭に育つ子より、平均して2年間(中退することなく、または大学へ進むなどして)長く学校に残るそうなのです。日本では高校への進学、さらに卒業率は95パーセント以上になるので、ピンと来ないかも知れませんが、家庭内の本の存在が、子どもの学習意欲や学力に大きく影響していることは、日本においても共通して言えるのではないでしょうか。
 さらにUSA Today誌によれば、わずか12冊の本を夏休みの初日に与えることで、低所得層の子どもたちをサマースライドから救う、ひいてはサマースクールに通わせるのと同様に効果的と書かれています。そして、この研究を根拠とした連邦的な実験は、今年8つの州に広げて行われ、150万冊の本が、環境に恵まれない子どもたちに与えられるというのです。
 わずか12冊の本で、サマースライドを防ぐ効果が得られる。これは非常に興味深い実験です。しかし、家庭内の蔵書数が、子どもの書籍に対する関心に影響を与え、子どもの読書量が、彼らの学力に影響する。日本人の子どもたちの読解力が年々低下傾向にありますが、これはテレビやゲームなどが子どもたちから読書をする時間を奪っていることがひとつの大きな原因になっていることは間違いないでしょう。


| 課題がなければ始まらない

 こんな事を書いていると、「そんなにがりがり勉強させなくても良いじゃないか」と言う声が聞こえてきそうです。確かに、せっかくの夏休み、勉強だけではつまらない。プールで遊ぶもよし、自然に触れることも大いに結構。最近、自然に触れる機会が少なくなっているのは残念ですが、夏休みを活用して貴重な体験をさせることはとても重要です。
 しかし、1日中、山遊びをしているわけではないでしょうし、1日中プールで泳いでいるわけではありません。1日の使い方に気をつけることが大切なのです。身体を十分に動かす時には動かす。同時に、毎日数時間は勉強させればよいのです。学期中は1日5、6時間は教室にいるわけです。それを考えれば、2、3時間の勉強は、言うほど大変なことではないでしょう。まずは毎日時間を決めて勉強することを目標としてください。
 1学期が終わると、学校から宿題をもらって帰ってきます。しかし、学校の宿題程度なら、1日数時間勉強すれば7月中か遅くとも8月の早い時期に、自由研究と日記を除けば終わってしまうことでしょう。そこで「お次は?」何をするのかを考えなくてはいけません。課題がなければ、子どもたちから自主的に学習を継続することは、あまり考えられません。ここで放ってしまうと、学習習慣自体が危機にさらされます。子どもたちはやる気はあって、やる能力もあるのですが、課題を与えないことによって、学習がストップしてしまうのです。先のアメリカでの「12冊の本」の実験と同じです。モノがなければ、何も始まらないのです。


| 夏休みでなければ出来ないこと

 学習課題は何でも良いと思います。もちろん子どもと一緒に考えても構いませんが、夏休みですので、日常的に出来ないことをさせるのもひとつの考え方でしょう。
 日常的に本を読む習慣を、まだ身につけていない子ならば、夏休みを機会に徹底的に本を読ませて、読書の楽しみを体験させてあげることは大いに意味のあることです。読書の楽しみを知らないで大きくなってしまう子は、中学受験の国語で失敗しますし、もちろん、中学・高校と本を読まなければ、大学入試の国語で高得点をあげることも難しいでしょう。
 さらに、大人になってからもこれは無関係ではありません。世帯年収と読書量が比例関係にある、という調査結果もあるくらいです。であれば、子どもの頃の出来るだけ早い時期に、読書の楽しみを味わわせてしまう方が好ましいのは、自明のことなのです。


| 英語学習

 日本語の読書習慣を身につけることは、不可欠です。そして、それと同時にやっつけておいてしまった方が良いことがあります。英語の読書習慣を身につけさせることです。  もちろん皆様は、お子さまに英語教育を実施されているわけですが、どこまでを目標にしているのでしょう。
 英語を聞いて理解できるようになる。もちろん日本語に訳して理解するのではなく、英語を英語のまま理解する。まずこれが最初です。これが出来るようになると、必要に応じて英語で話せるようになります。日本人が日本語で言葉のやりとりをするように、アメリカ人が英語でコミュニケーションを取るように、日本人の子どもたちが日本語だけではなく、英語でも会話が出来るようになるわけです。
 一般的に日本における英語教育、学校以外の現場における英語教育のゴールは、ここにセットされています。しかし、ここで止めてしまってはどうにもならないのです。子どもが大きくなり、学年が上がるにつれて、子どもたちは忙しくなります。英会話にかまけている時間はなくなり、英語から離れて行かざるを得ないのです。一度英語で会話が出来るようになっても、このように耳からだけの英語で終わってしまうと、英語力は消えて無くなってしまうのです。  しかし、これは防ぐことが出来ます。英語を「読める」ところまで育てておくと、数年、英語から離れていても、英語力は一生消えることがないのです。そして、読めるように育てるだけではなく、さらに読書の楽しみを、英語においても体感させることによって、英語の読書量が増えます。英語の読書量が増えることは、英語力の絶え間なき向上を意味します。中学受験には英語は関係ありませんが、高校入試や大学入試など、これから子どもたちが避けて通ることの出来ない英語と、この段階で仲良しにしてしまうのです。
 大抵の子は、受験英語で「長文読解」が苦手ですが、英語の本と仲良しになっている子は、テストに出てくるような文章程度は、長文とは感じないことでしょう。
 そのために行われるべきことは、日本語の場合と同じです。とにかく、たくさん本を読ませること。世間では「多読」と呼ばれる、このひと言に尽きるのです。
 英語を少しでも読めようになっている子は、この夏休み「英語の多読」を実践させましょう。多読には、”Reading JET”(リーディング ジェット)を使えばよいでしょう。日本人向けに作られた初の多読用教材です。

Reading J.E.T. Program Grade1-4
(リーディング ジェット プログラム グレード1-4)
¥18,900(税込)
※現在は販売しておりません。The Book of Booksとしてリニューアルされています

 まだ読めるところまで行っていない子は、”Let’s Start Smart” を使って読めるように育てましょう。このプログラムは、アメリカで成果を上げているプログラムです。また、「フォニックスドリル」や「ライミングドリル」等を使うのも効果的です。全て幼児から使えます。


LSS (Let’s Start Smart)リーディングプログラム
¥39,900(税込)


 小学生でまだ英語の学習を開始していないようであれば、「トーキングトレーナー」や「ジュニアパル」を使って、中学英語を先取りしつつ、リスニング能力を強化し、さらに読解力を身につけましょう。これらの教材は全てをかなえる、とても有効な教材です。


Talking Trainer
トーキングトレーナー
¥10,500(税込)
※現在は販売しておりません。パルキッズジュニアとしてリニューアルされています

 まずは日本語の多読、並行して、学期中はなかなか力を入れられない英語の読解力育成や多読を、ここでやっつけてしまうのです。1ヶ月以上ある夏休み、過ぎてしまえば「アッ」という間です。「サマースライド」を起こさないことは当たり前ですが、今年の夏をムダにしないように、今のうちからしっかりと計画を立てておきましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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