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2010年8月号特集

Vol.149 | 「幼児英語」を「一生ものの英語」につなげるには…?

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1008/
船津洋『子どもはどうしてコトバを身につける?』(株式会社 児童英語研究所、2017年)


| 右脳英語から左脳英語へ

 「幼児期に英語を身につけても、しばらく使わないでいると忘れてしまう、だから幼児期に英語を勉強させてもムダ。」このような意見がよく聞かれます。実際に僕自身の古い友人に、そんな子がいました。海外でバイリンガルに育ち、日本に帰って生活するうちに、英語が消えてしまったのです。また、早期英語教育の世界でも、これは頻繁に起こります。幼児期に英語を身につけても、数年使わないでいると、忘れてしまうのです。
 このような子ども達の中には、中学に入って英語が得意になるどころか、苦手になってしまうケースすらあります。
 理由は簡単です。幼児期に身につける英語と、中学校の英語では直接の関係がないのです。幼児期に身につけた英語の回路は次のように働きます。まず、耳から入ってきた単語を聞き取ります。次に、その単語群(文章)の含む情報をイメージ化します。そして理解します。この一連の作業の中に、日本語は入っていません。彼らは耳から入ってきた英語を、英語のままイメージに変換し、理解してしまうのです。
 一方、学校で習う英語は、この作業とは全く異なります。目から入った単語情報をひとつひとつ日本語に訳し、それを文法知識と参照して、日本語らしくなるように並べ替えます。そして、日本語として理解するわけです。
 片や、耳から得られた英語情報を英語のまま理解する。片や、目から入った英語情報を日本語に直して理解する。幼児期の英語と、中学校からの英語は根本的なところで仕組みが違うのです。従って、幼児期に英語が出来たからといって、中学英語が出来るかといえばそうではない、という妙なことが起こるのです。
 しかし、幼児英語と中学英語は違うのですが、幼児から英語をスタートして中学生になっても英語が得意な子もいます。中学受験などで英語からしばらく離れ、3年、4年と全く英語を使わないにも関わらず、英語を忘れることなく、中学に入っても英語が得意で1年生2年生の内に、英検の2級や準1級を取得してしまう、そんな子もいるのです。


| 読解力の有無

 同じように、幼児期に英語を身につけてしった子どもたち。英語を聞き取って、英語のままイメージ化し理解できるように育っても、一定のブランクのあと、ある子は英語を忘れてしまい、中学に入っても英語が得意どころか苦手になる、またある子は中学校に入っても英語が得意でいられる。この両者の違いは、一体どこから生じるのでしょうか。
 せっかく幼児期に英語を与えるのですから、消えてなくなってしまうような英語ではなく、しっかりと定着させて「一生残る英語力」に育てていきたいですね。
 先に「幼児期に身につける英語と、学校英語はまるで別物である」と述べましたが、同じ英語であることには変わりありません。学校英語で足りないモノ、すなわち「英語を英語のまま理解する能力」を幼児英語では身につけることが出来ます。反対に幼児英語に足りないモノ、すなわち「文法知識」を学校英語で身につけることが出来ます。その意味では、両者は相互補完的な存在といえます。もちろん、英語は英語のまま理解できるに越したことはありませんが、日本人のバイリンガルとして生きるのであれば、様々な場面で英語を日本語に訳したり、日本語を英語に訳す場面に出会います。そんな時には、やはり学校英語的技術が必要となるのです。
 もちろん、今の大学入試制度自体も、学校で習う文法や語彙を中心に英語能力を測定するわけですから、この意味でも学校英語的なモノは身につけておかなくてはなりません。学校英語は避けて通れないのです。
 それでは、どのようにして幼児英語を学校英語へとつなげていくのでしょうか。幼児期にバイリンガルに育ててしまい、その後ブランクがあっても、中学校英語へスムーズに移行できる子どもたちには、彼らが共通して身につけているひとつの技能があるのです。逆に、せっかくバイリンガルに育てても英語を忘れてしまう子達は、その技能を身につけていないのです。
 その技能とは「読解力」です。英会話が出来るようになったあと、読解力まで身につけてしまった子は、何年ものブランクがあっても、必要に応じて英語を引き出しからサッと出せるのです。しかし、読解力を身につけていない子は、果てしなく広がる脳の、どこに英語がしまってあるのか分からなくなっているのです。ひと言で言えば、「整理整頓」が出来ていない状態なのです。その整理整頓が出来ていない状態を、きちっと整理できれば一生消えない英語力が身につくのです。
 その整理整頓は、読解力を育てていく過程で並行して行われます。そして、最終的に読めるようになる時に頭の中でバラバラだった英語が整頓され、どこに何があって、それがどんな働きをするのかが分かるようになるのです。


| 読解力の育て方

 ところで、受験と言えば気になるのは「偏差値」。これは大学受験の場合ですが、大手予備校の「代々木ゼミナール(代ゼミ)・河合塾(河合)・駿台予備学校(駿台)」が出している大学偏差値が異なるのはご存じでしょうか。
 例えば、東京医科歯科大学と東京大学の「医学部」の場合を見てみましょう。まず、代ゼミの偏差値では医科歯科大:70に対して東大:71です。これだけ見ると、偏差値は1しか違わないので難易度に差はないようにみえます。しかし、河合の偏差値では医科歯科大が同じく70なのに対して東大は少し上がって72.5です。偏差値で2.5 違うと、これは「ちょっとの差」とは言い難いですね。「偶然」とか「運」では埋められない差です。それが、駿台の偏差値では、医科歯科大70に対して東大は78に跳ね上がります。こうなれば志望校変更ですね。
 この差はどこから来るのかと言えば、模試を受ける学生数の規模の差です。比較的幅広い受験生が受ける代ゼミの模試では、平均が低く中間層に固まるので成績優秀者たちの偏差値にばらつきが少ないのですが、受験者数の少ない、比較的学力の高い受験生が多く受ける駿台の模試では、優秀な子たちの間での差がよりクッキリと見えてきます。
 この傾向は中学受験にも言えます。中学受験の模試は優秀な子が受ける傾向にあるので、その中で偏差値50といえば、小学生全体から見れば決して平凡な数字ではありません。「優秀な子たちの中で平均的」という意味合いになるのです。
 すると、中学受験の段階では偏差値50でも、中学生になって県内で実施される共通のテストではいきなり偏差値が60とかそれ以上にグッと上がるといったことが起こります。これは、上澄みの中学受験生たちだけの勝負ではなく、すべての中学生を対象に裾野が広がったためです。先ほどの予備校による大学の偏差値の差と同じような現象です。


| I Can Read! シリーズ

 暗唱は、インプットするところからスタートします。まずは、CDのかけ流しです。4冊分で2、3分程度の録音ですので、8回繰り返して20分くらいです。小学生以上の場合には、必要に応じて倍速を活用すると効果的ですが、幼児期には倍速学習は必要ありません。
 このようなかけ流しを、1週間ほど繰り返します。そこから絵本を見せましょう。リタラシーや、I Can Read!シリーズのダウンロード絵本を使う場合には、もちろん最初から読んであげても構いませんが、DVDブックスを使う場合は、最初にDVDを見せると、音の入力が済む前に映像に飽きてしまうことが考えられます。その点に注意しましょう。
 読み聞かせは、母親の肉声で行います。CDに合わせる必要はありません。この点、DVDを使えば、スイッチを入れるだけなので簡単です。ダウンロード版の絵本と上手く組み合わせて、読み聞かせをしましょう。
 この間も、CDのかけ流しは継続します。1週間ほど読み聞かせたら、今度は子どもに読ませてみましょう。「読ませる」といっても実際に読ませるのではなく、ページをめくりながら暗唱させるのです。最初からスラスラ暗唱できる子もいれば、時間のかかる子もいます。この点が短く覚えやすい絵本から暗唱をスタートすることが大切な理由です。
 このように暗唱しながらページをめくらせる作業を1日1回、4冊ずつ進めましょう。1ヶ月を待たずに、スラスラ暗唱できるようになれば、次の4冊へ進めて下さい。
 ページをめくりながら暗唱している姿は、傍目にはまるで絵本を読んでいるかのように映ります。しかし、実際にはこの段階では絵本を読んでいるわけではありません。しかし、このように絵本の暗唱を続けていくと、ある変化が訪れます。今までスラスラと暗唱できていたのが、ぎこちなくなったり、日本語的な発音になったりするのです。これを我々は「読み始め」と呼んでいます。


| 読み始めから読解力へ

 暗唱を始めた頃の子どもたちは、文字の存在にあまり注意を払いません。絵を眺めて楽しんでいるのです。ところが、暗唱になれてきて、たくさんの絵本を経験してくると、子どもたちは、文字の存在が気になり始めるのです。
 それまでは、絵本の中のひとつの光景として存在していた文字と、自分の口から発されている音が、自然と一致してくるのです。例えば、繰り返し目にする ‘I, to, you, is, of…’ などの単語を読めるようになるのです。
 すると、文字が気になって気になって仕方がありません。そして子どもたちは暗唱内容を手がかりに、文字を読もうとし始めるのです。これが、読み始めです。
 ここまで来れば、幼児期の英語教育は8割方完了したと考えて良いでしょう。この時期は細心の注意が必要です。「読めない」と投げ出してしまうことがあるのです。そんな場合には、絵本を見せずに、音の記憶だけで暗唱させてあげましょう。やはり、音と文字との一致は比較的左脳的な作業なので、子どもにとって少しストレスがかかるのです。
 このような、ぎこちない文字読みの時期がしばらく続きますが、根気よく暗唱に付き合ってあげているうちに、ひと単語、またひと単語と、どんどん読める単語を増やしていきます。そして、100単語も読めるようになれば、大抵の絵本はスラスラと読めるようになるのです。
 このようにして子どもたちは「読みの力」を身につけていくのです。そして、読みの練習から読めるようになると、気付けば頭の中の英語が整理されていて、実感として「英語が分かる」ようになります。ここまで来れば英語力は一生モノとなるのです。
 ちなみに、パルキッズを卒業していて、読めるようになっている子は、英検を受けると良いでしょう。卒業生たちは傾向として、5、4、3級とポンポンと合格できます。小学生の早いうちに、準2級や2級に合格できる子も珍しくありません。
 このように育ててしまえば、彼らは中学高校と英語に悩まされる心配がありません。英語は学校の勉強だけで十分です。中高6年間、一生懸命英語を勉強している子を傍目に見ながら、塾や家庭学習などほとんど必要とせずに、センター試験で満点近く得点できることでしょう。英語に手を煩わされないことで、彼らは自分たちの好きな学科、物理や生物、日本史や世界地理に専念できるようになるのです。国立大学も十分視野に入りますね。
 幼児期に読めるように育ててしまうこと。子どもたちの将来を考えれば、これほど大切なことはありません。また、年齢が高くなればなるほど、読解力の育成は難しくなります。幼児期から小学生の早い時期に英語の読解力を身につけてしまうことがとても重要なのです。

 長い間親しまれてきた「リタラシーリンクス」は絶版となりましたが、8月にそれに代わる新しい暗唱用絵本「I Can Read! シリーズ」が発売になります。これはCDでの音のインプットと、DVDによる読み聞かせ、手作り絵本による暗唱の発表という3段階をスムーズに行える教材です。お子さまの読解力育成に、是非ご活用下さい。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表、言語学者。上智大学言語科学研究科言語学専攻修士。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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