ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | 自立心, 褒め方
2016年9月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.63 | アメリカ人の褒める子育て
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal1609/
船津徹『アメリカ人の褒める子育て』(株式会社 児童英語研究所、2016年)
アメリカ人の子育てで特徴的なのが「褒める」ことです。「Good job!/よくできたね」「I’m proud of you!/誇りに思うよ」など、日本人からすると「大げさ過ぎるのでは?」とういほど子どもをよく褒めます。
最近では科学的な検証が進んだこともあり、日本でも「褒める子育て」が定着してきています。ただ日本人がアメリカ人を真似て、何でも子どもを「えらいね」「すごいね」と褒めていると、ちょっとちぐはぐなことになるのです。
アメリカ人の子育ては「自立心を育てる」という目的が根底にあります。だから子どもを褒める場合も「自分でできて、すごいね!」「人の手を借りないでできたね!」という「自立への賞賛」が込められています。自分の意思で行動できるのはすごいことだよ!と子どもに教えているのです。
アメリカ人は「自分の意思で行動できた→褒める=自立を促す」です。
一方、日本人の子育ては「協調性のある子に育てる」「行儀のいい子に育てる」という「しつけ目的」が根底にあります。だから子どもを褒める時も「言うことを聞けてえらいね」「我慢できてえらいね」というように、指示やルールに従えたことを褒めるケースが多いのです。
親から褒められれば、子どもは嬉しいですから「次も我慢しよう」と努力します。これは親にとって都合が良いことなのですが、「褒める子育て」の本来の目的である「自立心」はなかなか育ちません。日本人は「言うことを聞けた→褒める=従順を促す」なのです。
| 「達成したこと」を褒める
子どもが手伝ってくれたり、よい事をしたり、何かを頑張った時には素直に「えらいね!」と褒めてあげてください。ただそれに加えて、子どもが自分の意思で達成したことを見つけて褒めるように意識してもらいたいのです。
自分でトイレができた!自分で服が着れた!自分でボタンをはめられた、自分で靴が履けた!自分で顔を洗えた!自分で歯が磨けた!そんな小さな成長を見つけて「でできたね!」と褒めてあげてください。
子どもは自分の意思でしたこと、やる気でチャレンジしたことを周囲から認められて、褒められると「自信が大きく」なるのです。子どもが「ママ見て!」というのは自分でできた小さな達成を褒めてもらいたいのです。(単に親の気を引きたい場合もありますが)子どもの小さな成功や達成を見逃さずに「自分でできたね!」と褒めてあげるのが親の大切な仕事です。
| 「良い部分」を褒める
小さな成長を認められ、褒められて育った子は「自信」が大きくなります。自信が大きく育っている子は自発的な「やる気が」ありますから、勉強も習い事も意欲を持ってチャレンジするようになります。
子どもの成長や達成を褒める機会を増やすには、子どもの意思を尊重し、やりたいことをやらせてあげてください。「ダメダメ」と行動を制限することを控えて、子どもの意思でやろうとしていることをやらせてあげてください。子どもの成長を見つける回数が増えて「すごいね!」と褒める機会がグンと増えます!
アメリカ人の「褒め方」にはもう一つ特徴があります。
それが「良い部分を褒める」こと。「アマンダはよく通る声をしているね」「ジェニファは笑顔が素敵だね」「ジョシュアは友だちに親切だね」「ザックはパズルが得意だね」と、子どもの持っている「素晴らしい部分」や「強み」を褒めるのがアメリカ流です。
「ジェニファは美人だね」と全体を褒められるよりも「目が可愛いね」「笑顔が素敵だね」と具体的に褒められた時の方が子どもの自信は大きくなります。
実際に「計算が早くてすごいね!」と言われて育った子どもは、算数を武器に人生を歩んでいけるようになる、そんな例がたくさんあります。子どもの「強み」を見つけたら、具体的に褒めてあげてください。「自分は計算が早いんだ!」と、子どもは自分の優れた所をより強く意識できるようになり、実際にその部分が伸びていきます。
船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。