ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | 自己表現, 語学習得
2016年11月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.65 | 演劇で英語が上達する!
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal1611/
船津徹『演劇で英語が上達する!』(株式会社 児童英語研究所、2016年)
突然ですが、みなさんは「演劇」にどのような印象を持っていますか?
「文化部の代表」「地味」「個性的な人がやること」など、あまり良い印象を持っていない方が多いですね。日本では認知度も社会的地位も低い「演劇」ですが、欧米では学校カリキュラムに組み込まれるなど、演劇の価値は社会的に高く評価されています。
イギリスでは「演劇」が必修科目になっている私立学校が多くあります。また課外活動としても人気が高く、ほとんどの子どもは社会に出る前に、大なり小なり「演劇」を経験しています。
アメリカでも演劇部(シアターやドラマと呼ぶ)は運動部と並んで人気が高い課外活動です。中学・高校では演劇部に入部するためのオーディションがあり、数少ない役を巡って熾烈な戦いが繰り広げられます!
欧米で「演劇」が大人気の理由は「コミュニケーション力」を高めてくれるからです!「演劇」の技術である、よく伝わる発声・発音方法、よく伝わる表情の作り方、よく伝わるしぐさやジェスチャーを学ぶことで、コミュニケーション力を豊かに高めることができるのです。
多文化社会においてはコミュニケーション力は必須です。異なる文化や言語を持つ人との意思疎通をスムーズにするにはコミュニケーション力を鍛えておくことが必要なのです。
日本の子どもは自己表現が苦手です。意見をはっきり言わない、感情を表に出さない、小さな声でボソボソ話す、ジェスチャーを使わない、全てにおいて控えめな表現を好みます。おしとやかで控えめなのは日本人の美徳であり素晴らしいのですが、グローバル社会では「控え目なだけ」では世の中を渡っていけません。
いざという時にはしっかりと「自己表現」できる力を備えておくことが必要であり、それを身につける最適の方法が「演劇」です。
人前で堂々話す方法、表情、身振り、手振りを使って意思疎通する方法、相手に伝わりやすい発声・発音の方法、相手に親しみを与える話術など、コミュニケーションスキルの全てが「演劇」を通して身につくのです。
「演劇」の効果はコミュニケーション力だけに留まりません!演劇経験者は「英語習得が早い!」のです。私は日米で25年以上英語教育に携わっていますが、稀に英語を超特急で身につける人に出会うことがあります。そんな語学の達人のほとんどが「演劇経験者」です!
| 語学習得にも演劇は効果的!
ハリウッドで活躍する俳優のマシ・オカさん。人気ドラマ『HEROS/ヒーローズ』で準主役を演じて、その名を世界で知られるようになりました。ハワイが舞台の人気ドラマ『Hawaii Five-O』にも出演しています。
マシ・オカさんは、日本語と英語を流暢に操るバイリンガルとして知られていますが、実はスペイン語とフランス語も流暢に話すことができる語学の達人なのです!
台詞を覚える力、話し方を真似る力、表情や仕草を真似る力、効果的に表現する力、明瞭な発声方法など、演劇で培った技術は語学習得に活かされるのです。
特に英語は抑揚(イントネーションやピッチの変化)が大きく、口を大きく動かし、表情とジェスチャーを豊かに使って話す言語ですから、演劇のテクニックを使って学ぶと習得が早いのです。
日本語を話す時と同じように無表情で抑揚の少ない話し方をしていても「英語の正しい発音」は身につきません。英語の呼吸法、口やあごの使い方、口周辺の筋肉の使い方などを身につけるには「演劇」が一番です。
「演劇」を学ぶことによって、コミュニケーション力が高まり、語学習得のスピードが加速します。いい所だらけなのです。
日本でも子どもの演劇クラスや演劇ワークショップなど、演劇を気軽に学べる機会が増えました。子どもから「演劇をやりたい!」と言うケースは少ないですから、親が主導して「演劇」を経験させてあげてください!
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。